「新卒で国際協力を仕事にする方法を知りたい。」
「仕事は無理でも、インターンやボランティアで国際協力をやる方法はあるだろうか…?」
こんな疑問を解決します。
フリーランス国際協力師の原貫太です。僕は大学在学中にNGOを起業し、新卒で国際協力の仕事に就くことができました。2019年からはフリーランスに転向しています。
新卒、特に大学を卒業してすぐに国際協力の仕事をするのは、簡単なことではありません。
そのため今回は仕事だけではなく、ボランティアや有給インターン、ソーシャルビジネスも含めて、新卒で国際協力に携わる方法を9つ紹介します。
記事後半部分では大学院新卒の場合や、そもそも新卒で国際協力の道を目指すべきかについても説明しているので、ぜひ最後までご覧ください。
国際協力に新卒で携わる9つの方法
仕事やインターン、ボランティアなど、国際協力に新卒で携わる方法は全部で9つあります。
- 青年海外協力隊
- フリーランス
- 現地で起業する
- NGOを起業
- NGOに就職
- NGOでインターン
- JICAの新卒採用
- 開発コンサルタントに就職
- 社会的企業に就職
今回は上から順に、国際協力活動の現場との距離が近い順にまとめました。ひとつ一つ詳しく見ていきましょう。
青年海外協力隊
新卒で国際協力に携わる方法、一つ目は青年海外協力隊に応募することです。大学在学中からエントリーし、大学を卒業したら海外に2年間派遣されます。
青年海外協力隊は仕事ではなく、あくまでもボランティア活動ですが、無給ではありません。渡航費や現地での生活費はもちろん、海外に派遣されている間は「再就職準備金」という名の”給与”が毎月約5万円支給されます。
経済的負担はほとんどないため、ボランティアとは言えども、生活ができなくなる心配はありません。そのため新卒で国際協力に関わりたい人には、僕は一番におすすめしています。
また、国際協力を仕事にするための最初のキャリアステップとしても、僕は青年海外協力隊をおすすめしています。2年間海外での実地経験を積めるほか、帰国後に大学院進学するための貯金も貯まるからです。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
➡海外ボランティアを仕事にするには?まずは青年海外協力隊を検討すべき3つの理由 - 原貫太のブログ
フリーランス
新卒で国際協力に携わる方法、二つ目はフリーランスになることです。僕の肩書にもなっている「フリーランス国際協力師」ですね。
大学在学中から自分の力だけでお金を稼げるようになれば、卒業後に就職する必要がありません。特にブログやYouTubeなど、パソコン一台で収入が得られるようになれば、インターネット環境さえあればどこでも仕事をすることができます。
そのため発展途上国で国際協力活動に携わりながら、自分の生計を立てることも可能になるのです。
もちろん新卒でフリーランス国際協力師になることは簡単なことではありませんが、学生の間からスキルを磨いておけば、決して不可能ではありません。
現地で起業する
新卒で国際協力に携わる方法、三つ目は現地で起業することです。
大学を卒業してすぐに現地で起業するのは難易度が高いですが、新卒でまずは青年海外協力隊に進み、2年間の活動中にコネクションや起業のためのスキルを身に着け、活動終了後にまた現地に戻って起業する…という人はチラホラいます。
ただ、日本と比べて給与水準の低い発展途上国で起業する場合、「援助」よりは「ビジネス」になる傾向があります。自分の生計を立てていく必要もありますからね。
いわゆる”草の根支援”に携わりたい場合は、フリーランスやこの後に紹介するNGO起業を僕はおすすめします。
NGOを起業
新卒で国際協力に携わる方法、四つ目はNGOを起業することです。
僕は大学在学中に任意団体でNGOを起業し、その後NPO法人化まで完了させました。生計を立てていくことを考えれば、任意団体で終わるのではなく、できる限り早くに法人化するべきです。
法人化をしていれば、助成金や寄付を得やすくなります。
★関連記事★
NPO法人の給料は231万円。そのお金はどこから出る?元NPO職員が解説 - 原貫太のブログ
大学生の中には、サークル活動で国際協力に関わっている人も多いですが、その活動を卒業後も続けたければ、在学中にNPO法人化することをおすすめします。
NPO法人の起業にはお金がかかりませんし、最近はバーチャルオフィスやリモートワークが普及して起業のハードルも下がっているので、新卒で国際協力NGOを起業するハードルは年々下がっています。
法人格はNPO法人だけではなく、一般社団法人などもありますしね。
ただ、新卒で国際協力NGOを起業する場合、最初のうちの給料は月5万~10万円程度を覚悟してください。
そのため、ある意味フリーランス的な働き方も同時に必要で、副業やアルバイトをしなければ生計を立てることは難しいです。
NGOを起業した場合の給料事情は以下の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。
➡NGOの給料は341万円。そのお金はどこから出るの?元NGO職員がぶっちゃける - 原貫太のブログ
NGOに就職
新卒で国際協力に携わる方法、五つ目はNGOに就職することです。
これができれば個人的には一番いいと思いますが、新卒でNGOに就職するのは狭き門です。なぜならNGOは限られた資金や人員で活動しており、基本的には即戦力しか採用しないからです。
新卒でNGOに就職する方法は、基本的には以下2つのルートしかありません。
- 在学中にインターン経験を長く積み、卒業後NGOに就職する
- 卒業後に青年海外協力隊を経験し、帰国後NGOに就職する
詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
➡NGOに就職するには?新卒・中途で就職する方法から必要なスキルまで解説! - 原貫太のブログ
NGOでインターン
新卒で国際協力に携わる方法、六つ目はNGOでインターンをすることです。
NGOのインターンは基本的にどこも無給ですが、たまにインターンと正職員の間くらいの役割に就き、月5万円程度支給してもらえる有給インターンもあります。
新卒でインターン生になれば時間もたっぷりあるため、週3日フルタイムで入ることもできるでしょう。そうすれば、有給インターンとして採用してもらえる可能性もゼロではありません。
ただ、月5万円では生計を立てることは難しいため、アルバイトをしたり、副業をしたりする必要はあります。NGOのインターンに興味のある方は、以下の記事も参考にしてください。
➡NGOでインターンするなら、どう団体を選ぶべき?4つの判断基準を紹介します - 原貫太のブログ
JICA新卒採用
新卒で国際協力に携わる方法、七つ目はJICAの新卒採用です。新卒で国際協力を仕事にする方法としては王道かもしれません。
一部のポストには大学院卒しか採用していないらしいのですが、JICAは毎年新卒採用を行っています。基本的な給料は一般的な国家公務員と同等か、それより少し低いと言われています。
JICAの新卒初任給は約20万円のため、一般企業とほぼ変わりません。
ただ、国際協力を仕事にしたい人にとってJICAの新卒枠は人気があるため、倍率も高いです。また、政府系機関の職員のため、フリーランスやNGO職員のような草の根の国際協力に携わることは少ないです。
開発コンサルタントに就職
新卒で国際協力に携わる方法、八つ目は開発コンサルタント会社に就職することです。
開発コンサルタントとは、主に新興国で開発援助や経済・貧困対策、インフラ施設や教育、保険・医療などの分野で、政府やJICA、日本企業などから依頼を受けて仕事をする職業を指します。
一般的に大学新卒の募集は少なく、狭き門です。特に大多数を占める中小規模の開発コンサルタント企業は即戦力が欲しいため、経験者が優遇される傾向があります。
一方で、一部の開発コンサルタント会社は大学新卒枠も募集しています。在学中に途上国でボランティア活動をしたり、NGOでのインターン経験があれば、採用の際に評価されるかもしれません。
開発コンサルタントに興味のある方は、以下の記事も読んでみてください。
➡開発コンサルタントとは?必要なスキルから年収、やりがいまで解説 - 原貫太のブログ
社会的企業に就職
新卒で国際協力に携わる方法、九つ目は社会的企業に就職することです。
社会的企業、言い換えると「ソーシャルビジネス」は、社会問題の解決を目的とするビジネスのことです。
NGOとの一番の違いは、寄付金など外部からの資金に頼ることなく、自らが事業収益を挙げながら持続可能な形で課題解決を行う点にあります。
日本で有名な社会的企業と言えば、例えば「途上国から世界に通用するバッグを作る」をミッションとする株式会社マザーハウスや、「ソーシャルビジネスで世界を変える」ことを目指し、社会起業家が集まるプラットフォームカンパニーのボーダレスジャパンなどが挙げられます。
大学院新卒なら国際協力に関わる選択肢は広がる
以上の9つは大学新卒で国際協力に携わる方法ですが、大学院新卒なら選択肢は広がります。
例えばNGOや開発コンサルタントの多くでは、募集条件に「大学院卒」を設定している場合が多いですし、またJICAも一部のポストには大学院卒を優先的に採用していると聞きます。
また、開発学や国際政治学などの分野で修士号を持っていれば、国連をはじめとした国際機関への道も開かれます。
一方で、大学→大学院とストレートで進学した人よりも、一度社会人経験を積んでいたり、青年海外協力隊として途上国で働いた経験がある人のほうが、同じ大学院新卒でも優先的に採用される傾向があります。
そのため、国際協力を仕事として持続的に続ける「国際協力師」になるためには、例えば
大学新卒で青年海外協力隊を経験→帰国後に大学院に入学→卒業後、新卒でNGO/開発コンサルタント/JICA/国連などに就職
といったルートが一番に思われます。詳しくは以下の記事をご覧ください。
➡国際協力師とは?定義、資格、給料、新しい働き方まで徹底解説【初心者必見】 - 原貫太のブログ
そもそも新卒で国際協力の道を目指すべきか?
ここまで新卒で国際協力に携わる方法を紹介しましたが、そもそも新卒で国際協力の道を目指すべきなのでしょうか?
僕の考えは、「焦って国際協力を仕事にしなくていい」です。
国際協力は一生をかけて取り組んでいくようなものです。若いうちに国際協力の道に進み、壁にぶつかって、国際協力に対する熱が冷めてしまうのが一番もったいないと思います。
仕事としての国際協力は狭き門であることは間違いないからこそ、学生のうちにしっかりと勉強し、ボランティアやインターンで経験を積んでから、本気で国際協力をやりたいのかどうかを考えましょう。
僕自身は新卒で国際協力を仕事にできましたが、大学生のうちに学生団体でのボランティアやNGOでのインターンを経験したからこそ、新卒で国際協力を仕事にする決心ができました。
実際に国際協力の業界を見てみると、新卒で国際協力の道に進んだ人はかなり少ないです。国際協力により効果的に貢献するには、視野を広げるという意味でも社会人という経験はある程度必要と思います。
社会を知る、仕事のイロハを知る。そういった意味でも、新卒でまずは一度企業に就職する人は多いですね。
サラリーマンとして企業で働きながらも、国際協力に全く関われないわけではありません。プロボノやボランティアをしたり、活動報告会に参加したりと、国際協力に関わる方法は色々あります。
★関連記事★
国際協力、日本でできることは何?寄付や情報発信、プロボノなど7つ紹介 - 原貫太のブログ
国際協力を仕事にしている人がどんなキャリアを歩んできたのか、ぜひご自身でも調べてみてください。参考までに、国際協力NGOに就職した鈴鹿達二郎さんのインタビュー記事を紹介しておきます。
➡NGO駐在員がアフリカ人から学んだ、人と”繋がる”生き方【鈴鹿達二郎さんインタビュー】 - 原貫太のブログ
さいごに
新卒で国際協力に携わる方法や、そもそも新卒で国際協力の道を目指すべきかを解説してきました。
新卒で国際協力に関わるのは、簡単なことはではありません。「どんな立場から国際協力に携わりたいのか?どんなキャリアプランを持っているのか?」と照らし合わせながら、卒業後に進むべき道を考えてください。
【国際協力に携わる方法、一緒に考えませんか?】
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青年海外協力隊やNGO職員など国際協力を仕事にしている人たちだけではなく、将来的に国際協力をやってみたい高校生や大学生も多数所属しています。
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