「哲学に興味を持った。まずは初心者向けの、わかりやすい哲学書から読みたい」
「たくさんある哲学書の中で、初心者が絶対読むべきおすすめの本はどれだろう?」
こんな疑問にお答えします。
哲学には「難しい」「つまらない」というイメージを持つ人も多いはず。哲学書には内容が堅く、難解な本も多いため、初心者が難しい本を読んでしまうと哲学を嫌いになってしまうかもしれません。
でも、今回紹介する哲学書は「哲学=難しい・つまらない」といったイメージを根底から覆し、あなたが哲学にどっぷりとハマるきっかけになるはずです。
僕が実際に読んだ哲学書の中で、眠れなくなるほどに面白かった哲学書を10冊厳選して紹介します。
哲学初心者が読むべきおすすめ本10選
哲学初心者が読むべきおすすめの本は、こちらの10冊です。
- その悩み、哲学者がすでに答えを出しています
- 武器になる哲学
- 史上最強の哲学入門
- 正義の教室 善く生きるための哲学入門
- 自分の頭で考えたい人のための15分間哲学教室
- 嫌われる勇気
- 幸せになる勇気
- 「今、ここ」にある幸福
- 愛とためらいの哲学
- 愛するということ
その悩み、哲学者がすでに答えを出しています
現代人が抱えるあらゆる悩みに対して、歴史上の哲学者たちの思想や名言を引用しながら答えを導き出していく本です。
- 「将来、食べていけるか不安」という悩み⇒アリストテレスの思想を引用しながら解決
- 「やりたいことはあるが、行動に移す勇気がない」⇒ルネ・デカルトの思想を引用しながら解決
- 「常に漠然とした不安に襲われている」⇒トマス・ホッブズの思想を引用しながら解決
人間の悩みには、ある程度の「共通項」があります。例えば人間関係や仕事、お金、健康、生き方など、人間の悩みって大体はこれらに集約できますよね。
一人で悩んでいても答えが出ず、不安な日々を送っている人もいるかもしれません。
でも冷静に考えれば、人類には長い歴史があります。哲学の歴史だけでも2500年以上あるので、同じような悩みに直面してきた人って、他にも必ずいるんですよね。
だからこそ、頭のいい歴史上の哲学者たちが、人間の悩みに対してどのような答えを導き出したのか知るだけでも、不安な気持ちが和らぎます。
「哲学で人生の悩みを解決する」という視点は哲学の面白さを認識させてくれますし、色んな哲学者の思想に触れられる一冊なので、初心者の方はまずこの本から読んでみることをおすすめします。
武器になる哲学
ビジネスマンで哲学に興味を持った初心者の方、もしくは実生活で哲学がどのように役立つのか知りたい人におすすめの本です。
哲学と言うと、これまでは「役に立たない」「ビジネスには活かせない」と考えられていましたが、実は今、哲学に対する見方が大きく変わってきています。
世界の有名な起業家にも学生時代は哲学を学んでいた人が多いし、例えばGoogleやAppleなどの名だたる企業は「顧問哲学者」を雇っていることでも有名です。
ビジネスには答えのない課題に立ち向かわなければいけない瞬間がありますが、その「答えのない課題に立ち向かう」というのが、まさに哲学なんですよね。
著者の山口周さんも経歴が面白い方で、慶応義塾大学大学院の哲学科出身でありながら、現在は経営コンサルタントとして活躍しています。
哲学初心者の中には「哲学なんて勉強したところで、本当に役に立つのか…?」と疑心暗鬼になっている人もいるかもしれません。そんな人にこそ、読んでみてほしいおすすめ本です。
史上最強の哲学入門
哲学入門書の中では有名な一冊です。著者は哲学を楽しく、わかりやすく解説しているブログが大人気の飲茶(やむちゃ)さん。
漫画『バキ』をオマージュしたような構成になっており、討論する場を用意して、そこに歴史上の有名な哲学者を32人集め、それぞれ持論を展開してもらう形で話が進んでいきます。
哲学には難しそうなイメージが付き纏いますが、この本は使われている言葉や表現が非常に簡単で、哲学の初心者でも理解しやすい内容となっています。
YouTuberのマコなり社長もおすすめしていましたね。とにかく分かりやすい哲学書を読んでみたいという方におすすめの本です。
正義の教室 善く生きるための哲学入門
『史上最強の哲学入門』と同じ著者、飲茶さんの本です。「本当の正義とは何か?」という答えのない哲学的課題を、ストーリー仕立てで考えていく一冊です。
「火事の現場で30人の幼児と自分の娘一人のどちらかしか助けられない状況に直面した時、どちらを助けるのが正しいのか?」
こういった答えのない正義に関する問題を、平等・自由・倫理という3つの観点から考えます。
トロッコ問題を知っていますか?トロッコが暴走していて、このままでは線路の先にいる5人がひき殺されてしまう。
その一方、線路の切り替えスイッチを押して電車を退避線に誘導すれば、5人は助けられるが退避線にいる1人が死んでしまう。
この場合、どちらの選択が正しいのか?5人を救うのに1人を殺すのは正しい判断といえるのか?
元々は1967年にイギリスの哲学者フィリッパ・フットが考案した思考実験ですが、ハーバード大学のマイケル・サンデル教授がNHKの『白熱教室』や『これからの「正義」の話をしよう』 で取り上げたことで有名になりました。
トロッコ問題と同じように、本当の正義とは何かを考える一冊です。作家の佐藤優さんも「抜群に面白い。サンデル教授の正義論よりもずっとためになる」とおすすめしていますね。
飲茶さんが書く哲学書はどれもわかりやすく面白いため、他の本もチェックしてみてください。
自分の頭で考えたい人のための15分間哲学教室
哲学入門書としては『自分の頭で考えたい人のための15分間哲学教室』も有名な一冊です。
哲学のコアとなるコンセプトが学べるのはもちろんですが、例えば
- 人はいくらお金を手にすれば幸せになれるか?
- 紛争地でのドローン使用は人道的に認められるか?
など、自分の頭で考えさせる問いが多数掲載されています。
哲学という学問は、単に知識や歴史を学んで終わりにする学問ではありません。自分の頭で思考するプロセスにこそ、哲学の醍醐味があります。
タイトルにもある通り、自分の頭で考えたい人、思考することが好きな人におすすめの一冊です。
嫌われる勇気
『嫌われる勇気』は超有名な本ですが、まだ読んだことない方はぜひとも読んでください。心の底からおすすめします。
僕はうつ病を患った時に『嫌われる勇気』を読んだのですが、人生観が根底から覆りました。僕にとっては人生のバイブルです。
うつ病になる前の僕は「他人からどう思われているか」「嫌われたくない」といったことを考えすぎた結果、自分自身が疲れてしまい、心を病んでしまいました。
しかし、『嫌われる勇気』で紹介されているアドラー心理学を知ったことで、自分だけの人生を生きるということが、いかに大切かを学びましたね。
人間関係に悩んでいる人や、周りの顔を気にしてしまいやすい人には、『嫌われる勇気』をおすすめします。
「人生とは何か?どう生きるべきか?」という哲学的命題を考える上でも、非常におすすめの一冊です。
哲学を極めた哲人と、人生に悩む青年の会話形式で話が進んでいくので、読書が苦手な人や哲学初心者の方でもサクサク読めてしまうはずです。僕は8周読みました笑
幸せになる勇気
『嫌われる勇気』の続編です。『嫌われる勇気』を読み、もっとアドラー心理学を勉強したいと思った方は、こちらも読んでみてください。
『嫌われる勇気』よりも多少難解な部分が多く、少し読みにくいと感じる人もいるかもしれませんが、アドラー心理学をさらに深く学びたい人はぜひ読んでおきましょう。
『幸せになる勇気』では「愛」について考える部分が多いのですが、『幸せになる勇気』を読んでおけば、この後に紹介する『愛とためらいの哲学』も読みやすくなるはずです。
「今、ここ」にある幸福
『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』を読んだ人には、いわばアドラー心理学の実践書として手にとってみてほしい一冊が『「今、ここ」にある幸福』です。
アドラー心理学の中でコアな概念であるものの、なかなか理解しにくいのが「共同体感覚」だと思います。
その共同体感覚を持つために欠かせない姿勢が「他者貢献」なのですが、『「今、ここ」にある幸福」では他者貢献についてより具体的に、実践的に学ぶことができます。
岸見一郎先生はギリシャ哲学とアドラー心理学の両方を研究されている方ですが、岸見先生だからこそ書ける一冊だと思います。
特に『幸せになる勇気』を読んで心を動かされた人には、ぜひ読んでみてほしい一冊です。
愛とためらいの哲学
恋愛を哲学したい人にぜひ読んでほしい本が『愛とためらいの哲学』です。
あなたに質問です。自分の好きな人が、自分ではない好きな人と一緒にいて幸せであれば、あなたはそのことを素直に喜べますか?
この質問に「YES」と答えることが難しい方は、『愛とためらいの哲学』を読んでみましょう。
現代の愛は、あまりにも所有の概念と結び付けられています。束縛も不倫も、相手をモノとして見てしまう態度も。
恋愛を「所有」の概念から切り離せると、それは本当の意味で幸せな生き方に繋がる。『愛とためらいの哲学』を読めば、その理由を理解できるはずです。
著者は『嫌われる勇気』を書いた岸見一郎先生です。アドラーやフロム、三木清など、多くの哲学者の知恵を借りながら恋愛を哲学する一冊になります。
巷に溢れた薄っぺらい恋愛テクニック本なんかを読むよりも、『愛とためらいの哲学』を読んだ方がいいです。恋愛を哲学したい人には、本当に素晴らしい一冊。心からおすすめします。
愛するということ
今回紹介する哲学書の中では、最も難解な一冊です。著者はドイツの社会心理学、精神分析、哲学者であるエーリッヒ・フロム。
『愛するということ』は非常に有名な一冊のため、名前くらいは聞いたことある人もいるかもしれません。
フロムが『愛するということ』で伝えたかったメッセージには、例えばこんなものがあります。
愛は「落ちる」ものではなく「踏み出す」もの。
愛は「対象」の問題ではなく「技術」の問題。
大切なのはいかに「愛される」かではなく、いかに「愛する」か。
「愛」というのは生きていると誰もが通るべき道なのに、現代人はあまりにも「愛」と真剣に向き合っていません。
僕も『愛するということ』を読んで、「愛」についてここまで真剣に考えたことなど一度もなかったと猛省しました。
今から70年近く前に出版された本ですが、現代にも通じる「問い」を投げかけてくれる一冊です。
いわゆる「本当の」哲学書のため、難解な表現や理解しにくい部分などもありますが、それでも哲学に興味のある初心者の方には、ぜひ挑戦してみてほしい本です。
本書を一読するだけですべての内容を理解することは難しいと思います。そのためYouTubeやブログなどを活用し、読書家の方による解説と一緒に読むことをおすすめします。
哲学を学び、人生を豊かにしよう
哲学初心者が絶対読むべきおすすめの本を紹介しました。
哲学は、答えのない課題に立ち向かう力を授けてくれます。ビジネス書や自己啓発本を10冊読むくらいなら、哲学書を読んだほうがあなたの人生は豊かになるはずです。
紹介した10冊はどの本も面白いので、哲学に興味ある方はぜひチェックしてみてください。
どの本から読むか迷っている人は、まずは『その悩み、哲学者がすでに答えを出しています』をおすすめします。