「国際協力にはどんな種類があるのだろう?」
「どのような国際協力の活動が行われているのだろう?」
こんな疑問を解決します。
フリーランス国際協力師の原貫太です。日本とアフリカを往復しながら、個人で国際協力に関わっています。
国際協力と一言で表しても、どんな組織や人が行っているのか、どんな活動内容があるかは様々です。
例えばユニセフや国境なき医師団といった団体名は聞いたことある人が多いと思いますが、他にも色んな種類の組織、さらには僕のような個人でも国際協力に関わっている人がいます。
今回の記事では国際協力に関わっている6種類のアクターと、10種類の活動分野について解説します。
国際協力に取り組む6種類のアクターとは?
国際協力に取り組んでいるアクターには、大きく6種類があります。
- 国際機関
- 政府
- NGO
- 企業
- 開発コンサルタント
- 個人
それぞれの組織・人がどのように国際協力に関わっているのか、簡単に解説します。
国際機関
国際協力に取り組むアクター、一つ目は国際機関です。国際機関はさらに4種類に分かれます。
- 国際連合
- 国連総会により設立された国連の下部機関
- 専門機関
- その他の国際機関
国際機関の仕事は様々ですが、発展途上国の困っている人たちを直接的に支援する活動だけではなく、国際的な条約や議定書の制定にも関わるなど、ミクロ・マクロ両方の視点から国際協力に関わっています。
その一方で、国連のような国際機関には問題や批判も付き物です。国連が抱える問題点については、こちらの記事で詳しく解説しました。
➡国際連合の問題点を日本一わかりやすく解説【拒否権はなぜ使われる?】 - 原貫太の国際協力ブログ
政府
国際協力に取り組むアクター、二つ目は政府です。
国際協力は各国の政府によっても行われており、政府による国際協力をODA(政府開発援助)と呼びます。
日本の場合は、ODAは基本的にJICA(国際協力機構)が担当しています。
JICAの場合、医療や教育面で貧困層の人たちを直接的に支援する国際協力だけではなく、例えばカンボジアやケニアなど途上国の道路建設をやったり、川に橋をかけたり、上下水道を整備したりなど、いわゆるインフラ面の国際協力も行っています。
NGO
国際協力に取り組むアクター、三つ目はNGOです。
NGOとはNon Governmental Organizationの略称で、日本語では「非政府組織」と呼びます。政府ではない、市民が運営する組織がNGOです。
国連や政府に比べて、NGOは現地の人たちとより近い距離で国際協力をしている組織が多いです。
国連や政府のような大きな組織では支援が届きにくい人たちに対して、一人ひとりに寄り添った国際協力をしているイメージですね。
NGOは日本だけでも400以上、小さな団体も含めるとそれ以上の数が存在すると言われています。NGOを詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
➡NGOとは何か?元NGO職員が日本一わかりやすく、簡単に解説します! - 原貫太のブログ
上の写真でも紹介しているNGO職員・鈴鹿達二郎さんへのインタビューはこちらをご覧ください。
➡NGO駐在員がアフリカ人から学んだ、人と”繋がる”生き方【鈴鹿達二郎さんインタビュー】 - 原貫太のブログ
企業
国際協力に関わるアクター、四つ目は企業です。企業による国際協力は大きく2種類に分けられます。
- ソーシャルビジネス
- CSRに伴う国際協力
ソーシャルビジネスは、社会問題の解決を目的とするビジネスを指します。収益を上げながらも、同時に社会課題の解決を目指すビジネスです。
例えばアフリカでは蚊が媒介するマラリアによって亡くなる人がたくさんいますが、マラリアが流行している地域で安価かつ高機能の蚊帳を売ることも、ソーシャルビジネスの一つです。
蚊帳の売上で事業を継続するための利益を出しながらも、同時にマラリアによる乳幼児死亡率などを下げることができます。
また、「企業の社会的責任」と呼ばれるCSRの一環で国際協力を行っている企業もあります。事業の収益の一部を、発展途上国やNGOの活動に寄付するのです。
前述のソーシャルビジネスに比べると間接的にはなりますが、これも企業による国際協力の一つです。
★関連記事★
仕事を通じて社会貢献する3つの方法【CSR・CSV・プロボノとは?】 - 原貫太の国際協力ブログ
開発コンサルタント
国際協力に関わるアクター、五つ目は開発コンサルタントです。
開発コンサルタントとは、主に新興国で開発援助や経済・貧困対策、インフラ施設や教育、保険・医療などの分野で、政府やJICA、日本企業などから依頼を受けて仕事をする職業を指します。
開発コンサルタントの場合、JICAから依頼を受けて途上国のプロジェクトに関わることが多いです。
イメージとしては、プロジェクトの企画立案はJICAが担当し、実際に動くのが開発コンサルタントの専門集団…といった感じですね。
開発コンサルタントに関しては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
➡開発コンサルタントとは?必要なスキルから年収、やりがいまで解説 - 原貫太のブログ
個人
国際協力に関わるアクター、六つ目は個人です。
僕のようにフリーランスとして国際協力をやることもできますし、人によってはアフリカに一人で渡り、個人で学校を運営しているような人もいます。
個人で国際協力をやる場合は、国連やJICA、NGOのように、組織からの給料が支払われることはありません。
そのため個人で国際協力をやる上では、これまでは「いかにして生計を立てるための収入を得るか」が大きな課題でした。
しかし近年は、世界中のどこにいてもインターネットに繋がることができます。そのため僕自身は、ブログを書いたり、YouTubeチャンネルを運営したりすることで、自らの収入を生み出しながら個人での国際協力を続けています。
また、国連やJICA、NGOに比べると、個人で国際協力をやるインパクトはとても小さいですが、その一方でインターネットの力を使うことにより、社会に対する影響力を拡張することはできます。
YouTubeでも国際協力や世界の問題に関する発信を続けているので、ぜひご覧ください。
国際協力にはどんな活動分野があるの?
国際協力には、例えば以下のような活動分野があります。
- 教育
- 医療・福祉
- 公衆衛生(水など)
- 農業
- 環境保護
- インフラ整備
- 金融
- 就労支援
- 平和構築
- 紛争解決
例えば「教育」では、どのような国際協力の活動が行われているのでしょうか。解説します。
教育面の活動では、例えば発展途上国の貧しい地域で学校建設をしたり、現地の先生となる人の育成をしたりするプロジェクトが行われています。
国際協力に興味を持ち始めたばかりの人だと、外国人が途上国の貧しい地域に足を運び、現地の子どもたちに直接教育をする活動を思い浮かべるかもしれません。
たしかに青年海外協力隊や一部の海外ボランティアではそのような国際協力活動も行われていますが、外国人が直接子どもたちの教育に携わるのは、持続可能とは呼べません。
なぜなら、その外国人が母国に帰ってしまえば、現地で教育に携わる人がいなくなってしまうからです。
そのため国際協力のプロジェクトにおいては、外国人が現地の子どもたちを直接教育をするのではなく、現地の子どもたちを教育する先生を養成する活動が行われることが大半です。
また、「公衆衛生」では、例えば僕がウガンダで行っていた紙芝居を使った公衆衛生の教育や、手洗いの啓発活動などがあります。
経済的に貧しい地域では、子どもたち、さらには大人までも満足な教育を受けておらず、公衆衛生に対する知識が欠如している場合があります。
日本では「外から帰ったら手を洗う」というのが常識になっていますが、これは小学校教育や、親から教えてもらったからみんな理解しているだけです。
しかし、そのような教育や支援を受けていないアフリカの貧しい子どもたちは、なぜ手洗いをするべきかわかりません。
そのような子どもたちに、紙芝居を使いながら手を洗うことの重要性や、さらには「ごみを道端に捨ててはいけない」といった内容の教育をしていました。
細かく見ると他にもありますが、この記事では10種類の活動分野を挙げてみました。
国際協力の具体的な活動内容をもっと詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
➡国際協力にはどんな取り組みがあるの?具体的な活動内容を解説します - 原貫太の国際協力ブログ
国際協力でやる活動は大きく2種類しかない
様々なアクターや活動分野を紹介してきましたが、実は国際協力で取り組む活動というのは、大きくわけると以下の2種類しか存在しません。
- 緊急援助
- 開発援助
緊急援助とは、台風や地震などの自然災害が起きた時や、どこかの国で戦争が起きている時に行われる国際協力です。「人道支援」と呼ばれることもあります。
一方の開発援助とは、基本的には治安が安定し、地元の人たちが普通に生活している国で社会福祉や教育、医療、インフラなどをより向上させるために行われる国際協力です。
緊急援助、もしくは開発援助に携わっているアクターが全部で6種類あり、より具体的には10種類の活動分野があるのだと理解しておきましょう。
さいごに
国際協力に取り組んでいるアクターの種類や、具体的な活動分野を解説してきました。
国際協力は非常に広い分野を指す言葉であり、様々な組織や人が関わっています。それぞれの組織や人がどのような活動に関わっているのか、ぜひ各ホームページも覗いてみてくださいね。
こちらの記事もよく読まれています。あわせてご覧ください➡国際協力おすすめ本32選 入門書から常識をブチ破る本、洋書までドドンと紹介 - 原貫太のブログ