フリーランス国際協力師の原貫太(@kantahara)です。今回はみんな大好きお金の話、NGOの給料事情を詳しく解説します。
僕はNGOを起業し、職員として働いていた経験があるため、「NGOの給料事情はどうですか?」とよく質問をされます。
NGOの給料に対しては安いイメージを持つ人もいるかもしれませんが、NGOの平均年収は341万円(女性346万円・男性331万円)なので、日本で平均的な生活を送ることは十分可能です。
その一方、30代以降になると特に男性の場合はNGOの給料と一般企業の給料に大きく差が開く現実もあります。
NGOの給料や待遇、NGOの給料がどこから出るのか、NGOを起業する場合の給料事情まで、元NGO職員がわかりやすく解説します。
NGOの給料は平均年収341万円。男性331万円、女性346万円。
国際協力NGOセンターとNPO法人Green ProjectによるNGOセンサス2017によると、NGOに勤める有給職員の平均年収は341万円です。性別でみると女性の平均年収が346万円、男性の平均年収が331万円となっています。
NGO職員の平均年収
- 20代:276万円
- 30代:326万円
- 40代:380万円
- 50代:392万円
- 60代:335万円
男性NGO職員の平均年収
- 20代:262万円
- 30代:310万円
- 40代:382万円
- 50代:375万円
- 60代:345万円
女性NGO職員の平均年収
- 20代:288万円
- 30代:333万円
- 40代:378万円
- 50代:404万円
- 60代:315万円
20代の平均年収に注目すると、276万円。女性の平均年収が288万円、男性の平均年収が262万円となっています。
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NGOと一般企業の給料を比較すると男性は低く女性は高い傾向がある
NGOの給料と一般企業の給料を比較すると、男性NGO職員の給料は相対的に低く、逆に女性NGO職員の給料は相対的に高い傾向があります。
男性NGO職員の場合
30代男性のNGO職員の給料と一般企業の給料を比較してみましょう。
★NGO職員
★民間企業
- 30代前半男性の平均年収:384万円
- 30代後半男性の平均年収:425万円
(民間企業の平均年収の参考はこちら➡30代の平均年収・手取り【男女別推移・東京大阪名古屋など都道府県別推移】|平均年収.jp)
両者を比較すると、NGOの給料は民間企業よりかなり安いですよね。
独り身の男性なら問題なく生活できると思いますが、結婚して、子どもができて…と家族が増え、誰かを養わなければいけない状況になると、共働きでもない限りこの給料では厳しいでしょう。
NGOセンサス2017によると、NGOの有給職員は男性が全体の35%、女性が65%となっています。NGO職員に男性が少ない大きな原因が、民間企業に比べて男性の給料が低いことかもしれません。
僕の周りでも、20代はNGOで働いたけど、結婚や子育てを機に30代になってから民間企業に転職した…という男性は多いですね。
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女性NGO職員の場合
逆に女性の場合は、NGO職員の給料が一般企業の給料よりも相対的に高くなることがあります。30代を見てみましょう。
★NGO職員
★一般企業
- 30代前半女性の平均年収:315万円
- 30代後半女性の平均年収:300万円
もちろん年代や勤め先の起業にもよりますが、30代女性の場合はNGO職員の平均年収の方が一般企業の平均年収よりも高いのです。
日本の一般企業における女性の労働環境に問題があることが大きな原因とは思いますが、特に女性の場合は「NGOの給料は民間企業より低いから…」というイメージは、必ずしも正しいとは言えません。
NGOの給料はどこから出ている?
NGOの給料(人件費)は基本的に①自己資金と②助成金の二つが財源となっています。
自己資金には、例えば
- 寄付…クラウドファンディングやマンスリーサポーターを通じて集める寄付など
- 会費…NGOの正会員が払っている年会費・月会費など
- 事業収入…イベントや講演、物品販売などの収入
があたります。
一方の助成金ですが、NGOが何かしらのプロジェクトを行う場合、最初から「人件費」が助成金の中に組み込まれていることが多いです。こういった助成金は、各種財団やJICAなどから支給されています。
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NGO職員はあくまでもサラリーマン。福利厚生や手当も問題ない
NGOに就職したい人が給料の次に気になるのは、福利厚生や通勤手当の有無だと思います。こちらも「NGOセンサス2017」で調査結果が出ています。
これを見ると、通勤手当は96%、社会保険は96%、労働保険は94%のNGOが用意しています。
僕はNGOを起業した経験があるのでわかるのですが、NPO法人格を持つNGOが職員を雇用する場合は、社会保険や厚生年金への加入が義務付けられています。その辺りは普通の会社と何ら変わりありません。
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自分でNGOを起業する場合、給料はさらに低い
今回の調査に回答しているNGOは「NPO法人」または「認定NPO法人」の資格をすでに取得している団体がほとんどです。
この記事を読んでいる方が「NGOで働きたい!」となった時、就職先の候補になるのは基本的にNPO法人、もしくは認定NPO法人です。
「NGOセンサス2017」より引用
ですが、就職ではなく自分でNGOを立ち上げることに興味がある人もいると思います。僕自身はNGO起業の経験があるので、自分でゼロからNGOを立ち上げる場合の給料事情も簡単に紹介しておきます。
結論的には、自分でNGOを起業する場合は「NGOだけではまず食べていけないルート」だと思ってください。
当然ですが、NGOを起業してすぐの頃というのは、人件費(給料)にたくさんのお金を割く余裕はありません。NGOの一番の目的は、国際協力によって社会課題を解決することですからね。
一年目の給料は月に5万円とか、よくても10万円とかだと思います。
ですので、NGOでの仕事とは別にバイトをしたり、副業で稼いだりする必要があります。僕は役員報酬という形で月6万円ほど貰っていましたが、その他にブログや本で毎月10万円ほど収入があったので、何とか食べていくことはできました。
僕の周りでも、NGOを起業しながらバイトで生計を立てたり、会社に勤めながら副業でNGOを起業している人がいます。
NGOを起業する場合、よほど事業型のNGOで収益性が期待できない限り、最初の数年間はNGOからの給料だけで食べていくことは難しいのが現実です。
ただ、NGOの仕事と並行し、ブログやYouTubeでの情報発信にも力を入れれば、副収入で毎月5~10万円を安定的に稼ぐことは不可能ではありません。僕の場合はNPO法人を起業しながら、ブログだけで毎月10万円稼ぐことができるようになりました。
アメリカのNGOの給料は月230万円?!
海外NGOの給料事情も少しだけ紹介しておきます。
アメリカのNGOで副代表を務めていた知人に聞いたところ、月給は2万ドルだったらしいです。日本円に換算すると約230万円ですね。ハンパないですね…。
日本にせよアメリカにせよ、NGOの規模も団体によってピンキリなので、一概に言うことはできません。
しかし「NGOの給料は安いから食べていけない」というのは、少し偏ったイメージです。むしろ海外のNGOでは好待遇の場所も多く、「NGOはエリートが働く場所」というイメージもあります。
特にアフリカをはじめとした発展途上国の場合、ただでさえ失業率が高い国が多いため、NGO職員は超エリートとも考えられています。
大きな国際NGOの職員になると、一年目から日本円で月給20~30万円くらいは貰えるらしいので、現地では「金持ち階級」に分類されます。
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NGOの給料 まとめ
- NGOの給料、平均年収は341万円。女性は346万円、男性は331万円。
- NGOと一般企業の給料を比較すると、男性は低く女性は高い傾向がある
- NGOの給料は自己資金と助成金から出ている
- 団体にもよるが、NGO男性職員の給料は一般企業より安くなることが多い
- NGO職員はあくまでもサラリーマン。福利厚生や待遇も基本的には問題ない
- 自分でNGOを起業する場合、給料はさらに低い。最初は月5~10万円程度
- アメリカのNGOで働いていた知人の給料は月230万円だった
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