フリーランス国際協力師の原貫太(@kantahara)です。大学から始めた国際ボランティアの活動を、現在も仕事として続けています。
「国際ボランティアをやりたい。でも、自分が生活するためには収入も必要。だから身銭を切るボランティアではなく、経費や報酬が支給される仕事としてやりたい。」
そんな悩みを持つ人は、最初のキャリアとしてまずは「青年海外協力隊」を検討しましょう。
この記事では、
- 国際ボランティアを仕事にするとはどういうことか?具体的にどんな職業があるのか?
- なぜ国際ボランティアを仕事にするなら、最初のキャリアとして青年海外協力隊がおすすめなのか?
を解説します。
国際ボランティアを仕事にするとは?
国際ボランティア(海外ボランティア)を仕事として続けていくには、以下のような職業に就く必要があります。
- NGOの海外駐在員になる
- 発展途上国でソーシャルビジネスをやる
- フリーランスで国際協力をやる☚僕はこれ
この3つの職業は、一般的な国際ボランティアのような草の根での国際協力活動を、仕事としてやれる可能性が高いです。
ただ、この記事ではもう少し広く考え、「国際ボランティアを仕事にする=国際協力を仕事にする」とします。
生活するのに十分な給料をもらいながら、仕事として持続的に国際協力を続けている人たちを「国際協力師」と呼びます。国際協力師には以下7つの職業があります。
- 国際公務員(国連職員など)
- 政府機関職員(JICA職員など)
- 政府機関専門家(JICA専門家など)
- NGO職員(日本ではNPO法人職員)
- 開発コンサルタント
- ソーシャルビジネス
- フリーランス国際協力師
この中でも現地の人たちとの距離が近く、一般的な海外ボランティアのように草の根で仕事をする可能性が高いのがNGO職員、ソーシャルビジネス、フリーランスです。
ただ、国連職員やJICA職員でも現場レベルで仕事をすることはありますし、開発コンサルタントにも草の根支援に近い形で働く人はいます。
また、NGO職員も海外駐在員だけではなく、国内事務所の広報担当といった働き方もあります
そのため国際ボランティアを仕事にしたいと考えたら、仕事としての国際協力に携わる国際協力師を目指すようにしましょう。そのほうがキャリアの選択肢を広げることができます。
以下の記事も読んでみてください。
➡国際協力師とは?定義、資格、給料、新しい働き方まで徹底解説【初心者必見】
国際ボランティアを仕事にしたいなら、まずは青年海外協力隊を検討すべき3つの理由
国際ボランティアに関心があり、国際協力を仕事にしたい人は、最初のキャリアとして青年海外協力隊を検討しましょう。理由は3つ、
- 青年海外協力隊は国際ボランティア制度ではあるが、無償ではない。経済的負担がほとんどない。
- 青年海外協力隊を経験すれば、帰国後のキャリアアップをしやすい。
- 2年間のボランティア活動で、自分が本当に国際協力をやりたいのか考えられる。
です。一つ一つ詳しく解説します。
青年海外協力隊はお金が出る国際ボランティア。経済的負担がほとんどない。
青年海外協力隊は日本で最も有名な国際ボランティアです。日本政府が行う政府開発援助(ODA)の一環として、国際協力機構 (JICA)が実施する国際ボランティア制度です。
「国際協力=青年海外協力隊」と捉えている人もいるくらい、日本では有名ですね。ただ、青年海外協力隊は国際協力を仕事にしているわけではなく、あくまでもボランティアの一つだと理解しておきましょう。
青年海外協力隊は、無給で行われる一般的なボランティアとは違います。海外に派遣されている間は毎月75,000円の国内手当がもらえる他、渡航費や現地での生活費も支払われます。
ボランティアの人たちには、経済的負担はほとんどありません。
さらに派遣前に行われる訓練では、英語や現地語の語学研修を2ヶ月受けることができます。もちろん授業料はかかりません。
日本で2か月も語学スクールに通ったら、数十万円の出費になりますからね。それだけでも青年海外協力隊は美味しい話です。
★関連記事★
ボランティアを仕事にする人が増える、そんな時代がもうすぐ来る【方法は3つ】 - 原貫太のブログ
協力隊でのボランティア経験は、帰国後のキャリアアップに活かせる
青年海外協力隊は税金によって運営されている国際ボランティア制度です。
残念ながら、中にはボランティア活動そっちのけで、ほとんど遊ぶかのように過ごす人もいるため「税金を無駄にするな!」と批判にさらされることもあります。
でも、海外でのボランティア活動に真摯に携わりたい人にとっては、とにかく美味しい制度であることは間違いありません。なぜなら金銭面の心配をすることなく、海外での活動経験を積めるからです。
僕自身も大学4年生でNGOを起業するまでは、実は卒業後の進路として青年海外協力隊を候補にしていました。
国際協力業界を見ても、NGOや国連で働く人の中には、青年海外協力隊の出身者がたくさんいます。以下のインタビュー記事で紹介した認定NPO法人テラ・ルネッサンスのアフリカ駐在員、鈴鹿達二郎さんも元青年海外協力隊です。
➡【長編インタビュー】国際NGO駐在員がアフリカから学んだ人と「繋がる」生き方 - 原貫太のブログ
国連職員やJICA職員、NGO職員など、仕事としての国際協力に携わる「国際協力師」になるためには、以下3つの資格が必要だと言われています。
- 英語力(TOEFL100点以上)
- 大学院修士
- 2年以上の海外勤務経験
青年海外協力隊を経験すると、3つ目の条件を自動的にクリアできます。
さらに事前の語学研修や現地での活動を通じて英語力も高められますし、再就職準備金を活用し、帰国後に大学院進学することも可能でしょう。
国際協力師になるために必要な資格は以下の記事で解説しているので、あわせて読んでみてください。
➡国際協力師とは?定義、資格、給料、新しい働き方まで徹底解説【初心者必見】
本当に国際ボランティアを仕事にしたいのか、ゆっくり考えられる
国際ボランティアを仕事にしたい人に、しっかりと考えてほしいことがあります。
「あなたはどれくらい本気で国際協力をやりたいですか?」
国際協力に足を踏み入れるのは簡単です。青年海外協力隊以外にも、たくさんのボランティア制度があります。
でも、ボランティアではなく仕事として国際協力を続けていくことは、簡単なことではありません。そこにはたくさんの壁があります。
国境なき医師団の看護師として、シリアやイエメンなど世界中の紛争地で活動されてきた白川優子さんが以下のように語っています。
国際協力に対して情熱や憧れがある若者はたくさんいるかと思います。それはとても良い事です。このような情熱や憧れがなければ、まず一歩は踏み出せません。
ただし、それだけだと現実に直面した時に潰れかねません。「自分は世界を変えるのだ」「戦争を止めて、貧困をなくすのだ」というような規模の大きな情熱や目標で始めてしまうと、途端に現実の壁が立ちはだかります。現地の人々が置かれている状況には複雑で長い歴史や、個人では太刀打ちできないような背景などがあります。
(中略)
壁はたくさん現れるかと思いますが、1つの壁にぶち当たったからといって挫折せず、その現実を受け入れて柔軟に対応していかないと進まない事ばかりです。(「これから人道支援の道を目指すあなたが今から取り組むべき5つの事」より引用)
★関連記事★
白川優子が語る、人道支援の道を目指す人が今から取り組むべき5つのこと
青年海外協力隊は2年間、ボランティアとして海外に派遣されます。
慣れない環境で様々な壁にぶつかりながら、自分自身と向き合い、「私は本当に国際協力をやりたいのか?」と考えさせられる機会がたくさんあるはずです。
僕自身、学生時代にボランティアとして長く活動してきた経験があったからこそ、今ではこの仕事に心からの情熱を注ぐことができています。
生半可な情熱や気持ちではなく、本気で国際協力をやりたいのか。その問いとしっかり向き合うためにも、青年海外協力隊の2年間という時間を活かしましょう。
さいごに
国際ボランティアは、決して生半可な気持ちで関わることはできません。
興味を持つのは自由です。しかし、国際ボランティアを仕事にして発展途上国で活動し続けるのは、簡単なことではありません。
その意味でも、まずはスタディツアーなどで海外に足を運んでお試しのボランティア活動を経験した後、「国際協力は面白い」「もっと国際ボランティアをやってみたい」と思えたら、青年海外協力隊にエントリーしてみるのがいいと思います。
僕のブログでは国際協力やボランティアに関する記事をたくさんアップしていますので、ぜひ他の記事も読んでみてくださいね。
【国際ボランティアへの関わり方、一緒に考えてみませんか?】
「国際協力に興味はあるけど、自分はどうやって関わればいいのか分からない…」
「社会問題やボランティアについて、語れる人が身近にいない…」
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