「NPO法人の給料はいくらだろう?」
「NPO法人は非営利団体のはずなのに、給料はどこから出るのだろう?」
こんな疑問にお答えします。
フリーランス国際協力師の原貫太です。大学在学中にNPO法人を起業し、代表として働いていました。
NPO法人とはNon-Profits Organizationの頭文字を取った略称で、日本語では特定非営利活動法人を意味します。
「非営利」という呼び名から無給をイメージする人も多いですが、NPO法人の正規職員になれば給料は支払われます。内閣府が実施した調査によれば、NPO法人の平均年収は231万円です。
今回の記事では、NPO法人の給料に関するデータや自らもNPO法人を設立した経験から、NPO法人の給料事情をわかりやすく解説します。
- NPO法人の給料は平均年収231万円
- NPO法人の給料は組織によって大きな差がある
- NPO法人の給料はどこから出る?
- NPO法人の給料は事業内容や活動地域によって異なる
- NPO法人を設立すると最初の給料はいくら?
- まとめ
YouTubeでも解説しました。動画のほうが分かりやすい方はこちらをご覧ください⇩
NPO法人の給料は平均年収231万円
内閣府が実施した「特定非営利活動法人に関する実態調査」によると、全国のNPO法人の常勤職員の給料は平均年収231万円となっています。
NPO法人の常勤有給職員の平均年収が225万円、認定または特例認定NPO法人の平均年収が245万円です。
なお、この調査の「人件費」は給料手当、アルバイト手当の合計額であり、役員報酬や福利厚生費、法定福利費、交通費は含んでいません。
実際、新卒でNPO法人に就職した友人の初任給は20万円前後でした。また、国際協力を行うNPO法人で海外駐在員を務める知人は年収230万円前後と語っていたので、この調査の内容は実感値ともズレていません。
*認定NPO法人はNPO法人の進化版。国税庁や所轄庁に認定されると、寄付に関する優遇が受けられる。NPO法人が認定NPO法人になるには、その活動がある程度以上社会から必要とされている、または認められていることを証明する基準(パブリック・サポート・テスト)をクリアする必要がある。
*「特定非営利活動法人に関する実態調査」はこちら
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NPO法人の給料は組織によって大きな差がある
この調査は事業規模の大きさに関係なく、全国のNPO法人を対象にして行われたものです。零細NPOから日本を代表する大型NPO法人、また海外NGOの日本支部なども含まれます。
そのため、常勤職員の給料にも大きな差が見られます。
上の図を見るとわかるように、給料の最大値が年収950万円である一方、最小値は年収0.1万円、つまり1000円です。
また、以下の図からわかるように、多くのNPO法人では常勤の有給職員を雇っていません。半分以上のNPO法人が給料を出しているのは1人、または0人しかいません。
さらに以下の図を見ると、常勤ではなく有給職員全般にしても、NPO法人全体の3割以上はスタッフの誰にも給料を出していないことがわかります。
以上の内容から、日本のNPO法人の多くはボランティアや無給のインターンによって支えられており、限られた資金で活動していることがわかります。
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NPO法人の給料はどこから出る?
NPO法人の給料は基本的に「自己資金」と「助成金」から出ています。自己資金には例えば寄付や会費、事業収入があたります。一方の助成金は、NPOが事業拡大などの際に財団や公的機関から支給してもらう資金を指します。
- 寄付…マンスリーサポーターやクラウドファンディングを通じて集める寄付など
- 会費…NPO法人の正会員が払っている年会費や月会費など
- 事業収入…事業の受益者から受け取る費用やイベント・講演会の売上、物品販売からの収入など
NPOの中でも給料が高い団体は、三つ目の事業収入の割合が大きい印象がありますね。
というのも、寄付で集めたお金を人件費にガッツリあてるは、なかなか難しいです。 例えば国際協力系のNPOには「7割の原則」というものがあり、寄付で集めた金額のうち最低でも7割は海外の支援活動に使うべきという考え方もあります。
一方で事業収入というのは、NPOが何らかのサービスを提供することで得た収入です。事業収入は基本的にどんな風に使おうがNPOの自由なので、人件費にも充てやすいです。
もう一つの助成金ですが、NPO法人が事業継続や拡大をする際、財団や公的機関などから助成金を支出してもらうことがあります。こういった場合、助成金の中に「人件費」が組み込まれていることが多いです。
NPO法人の給料は事業内容や活動地域によって異なる
NPO法人の中でも比較的給料の高い団体は、国内で行っている事業からの収入の割合が多いです。
その一方、例えば国際協力を行うNPO法人(いわゆるNGO)の場合、メインの活動内容が発展途上国の貧しい人たちを助ける支援になるため、その多くは寄付金によって支えられています。
そのため、給料(人件費)にはあまり多くのお金を充てることができないという課題に直面する国際協力系のNPO法人は多いです。
寄付金で受け取った収入は、できる限り現地での活動に充てるべきと考えられていますからね。
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またNPO法人の給料は、活動地域や事務所の所在地によっても異なります。東京をはじめとした都市部であれば事業展開も行いやすく、またイベントや講演会を通じた収入も得やすいですが、地方のNPO法人の場合はこういった事業収入を増やすのは簡単ではありません。
さらに、助成金を受託するために必要なセミナーや各種説明会の多くも、都市部で行われています。地方のNPO法人の中には、助成金を受託するのにも苦労している団体が多い現状もあります。
そのため、給料の高いNPO法人は都市圏に集中し、地方のNPO法人は零細…という、地域間でのNPO法人の給料格差も存在すると言われています。
NPO法人を設立すると最初の給料はいくら?
僕は大学在学中にNPO法人を設立し、代表として活動していたことがあるのですが、最初の頃は完全にボランティアでした。つまり、給料は0円です。
大学卒業後から給料をもらい始めましたが、設立当初は人件費にお金を割く余裕はほとんどなかったので、給料は月収6万円でした。年収に換算すると100万円も行きませんね。
僕の周りにはNPO法人を起業した人がいますが、ほとんどの方はNPO設立当初の給料は月5万~10万円程度です。そのため、最初の頃はNPO法人の給料だけで食べていくことは難しく、バイトや派遣の仕事もやっていた人が多いですね。
一方で、NPO法人の多くは副業をOKにしている団体も多く、僕自身もNPO法人で働きながらブログや本から副収入を得ることで生計を立てていました。
NPO法人の設立に興味がある人は、最初の1~2年はNPO法人からの給料だけで食べていくことは難しいため、早めに副業も始めておくことをおすすめします。
例えばNPO法人の仕事と並行して、ブログやYouTubeでの情報発信にも力を入れれば、副収入で毎月5~10万円を安定的に稼ぐことは不可能ではありません。
僕の場合はNPO法人を起業しながら、大学卒業までにブログだけで毎月10万円を稼ぐことができるようになりました。
まとめ
NPOは「非営利団体」と訳されるため、給料は出ないと勘違いしている人も多いです。
たしかに一般企業に比べると年収は低くなる傾向はありますが、決して生活できないレベルではありません。
また、寄付市場も年々大きくなるにつれて、NPO職員の給料や待遇も改善されていくことが予想されています。
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