「YouTubeやテレビの広告で目にするワールドビジョンとは、いったいどんな団体なのだろう?寄付先として信頼できるのか?」
こんな疑問を解決するべく、この記事ではワールドビジョンの団体概要や取り組んでいる活動の紹介、またワールドビジョンジャパンが運営する寄付制度「チャイルドスポンサーシップ」の仕組みについて解説します。
なお、この記事を書いている原貫太は学生時代にNPOでのインターンシップやNPO法人の起業を経験し、2019年からはフリーランスとして海外支援に携わっています。これまで6年以上の間、NPO活動に関わってきました。
海外支援やNPO活動に長く関わってきた経験を活かし、業界の人間だからこそ知っている情報も含めて、ワールドビジョンという団体について解説します。
この記事を読んでもらえれば、ワールドビジョンに寄付して大丈夫かどうか、ご自身で判断できるようになるはずです。ぜひ最後までご覧ください。
- ワールドビジョンとはどんな団体?
- ワールドビジョンはどんな活動をしている?
- ワールドビジョンジャパンが運営する寄付制度チャイルドスポンサーシップとは?
- ワールドビジョンジャパンは寄付先として信頼できる?
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ワールドビジョンとはどんな団体?
まずはワールドビジョンの団体概要や設立された歴史、ワールドビジョンの日本支部であるワールドビジョンジャパンについて解説します。
70年以上の歴史を持つ世界屈指の国際協力団体
ワールドビジョンとは、1950年にアメリカ人宣教師ボブ・ピアスによって設立された、世界屈指の活動規模を誇る国際協力団体です。現在は世界約100か国で国際協力活動を行っています。
ワールドビジョンの創立者であるボブ・ピアスは第二次世界大戦後、戦争によって荒廃した中国を訪れ、一人の女の子の支援活動を始めました。
そこでの支援活動を通じ、ボブ・ピアスは「すべての人々に何もかもはできなくても、誰かに何かはできる」と考えるようになります。
この「何もかもはできなくても、何かはきっとできる」という言葉は、ワールドビジョンの大事な理念として、スタッフや支援者にも広く共有されています。僕の知人の支援者も、このブログに寄せてくれた口コミの中でこの言葉を使っていました。
➡チャイルドスポンサーシップを10年続けた人に感想を聞いた【リアルな口コミ】 - 原貫太の国際協力ブログ
その後、より多くの人たちに支援を届けるため、アメリカ・オレゴン州でワールドビジョンを設立したのがワールドビジョンの始まりです。
小さな規模から大きな規模まで、世界には数万の国際協力団体がありますが、第二次世界大戦直後から活動しているワールドビジョンは、世界で最も歴史のある国際協力団体の一つです。
当初は朝鮮戦争によって傷ついた人たちや孤児の支援、またハンセン病や結核患者の支援から活動が始まり、1960年代からは日本の子供たちに対する支援活動も開始しています。
現在は先進国の仲間入りを果たし、「支援する側」に回っている日本ですが、かつてはワールドビジョンから支援を受けていた時期もあるのです。
設立から70年以上が経ち、現在は約100か国で国際協力活動を展開しています。「国際協力やNPOの業界では、ワールドビジョンを知らない人はいない」と言っても過言ではありません。それくらい歴史があり、著名な国際協力団体です。
日本支部は1987年に設立、32か国以上で活動
ワールドビジョンの日本支部がワールドビジョンジャパンです。皆さんが寄付するお金は、このワールドビジョンジャパンに届きます。
ワールドビジョンジャパンは1987年に設立され、1999年には特定非営利活動法人、通称=NPO法人として認証されました。
その後、2002年には国税庁から認定NPO法人と認定されています。「認定NPO法人とは何か」に関しては、記事後半部分で詳しく説明します。
ワールドビジョンジャパンが設立された1980年代後半は、インターネットもなければ、最近流行っているクラウドファンディングもありません。
そんな時代から30年以上も活動を続けているワールドビジョンジャパンは、日本の中でも最も歴史のある国際協力団体の一つです。
2019年度の活動概要を見てみると、ワールドビジョンジャパンだけでも世界32か国で159の事業を行っています。
支援者の数も6万人以上おり、日本のNPOの中では最も活動規模の大きな団体の一つですね。
布教を目的にした怪しい宗教団体ではない
「ワールドビジョンジャパンは怪しい宗教団体なのではないか?」と疑問を持っている人もいるかもしれません。
実際にGoogleで検索してみると「ワールドビジョンジャパン 宗教」といった候補が出てきます。
ワールドビジョンは創設者がキリスト教の宣教師であること、またキリスト教の精神に基づき活動していることから、キリスト教系の団体ではあります。
しかし、ワールドビジョンは布教を目的に活動する宗教団体ではなく、あくまでも国際援助を行うことが目的の団体です。ここは誤解しないように注意してください。
僕自身もNPO法人を起業したことがあるのでわかりますが、日本でNPO法人を設立する場合、「宗教活動や政治活動を主な目的としていないこと」が条件として課されます。
つまり、ワールドビジョンジャパンは創設者がキリスト教の宣教師であり、キリスト教の精神に基づいて活動する団体ではあるが、布教活動が目的ではなく、純粋に国際協力活動をすることが目的の団体と考えてください。
ワールドビジョンの評判を知りたい方は、こちらの記事もあわせて読んでみてください。
➡ワールドビジョンの評判は?宗教団体?国際協力のプロが超丁寧に解説します - 原貫太のブログ
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ワールドビジョンはどんな活動をしている?
ワールドビジョンの活動は以下の3つを柱にして行われています。
- 開発援助
- 緊急人道支援
- アドボカシー
開発援助とは、発展途上国の経済発展や福祉向上のために行われる援助のことです、基本的には治安の安定した国で行われます。
一方の緊急人道支援活動とは、紛争や自然災害発生時に行われる人命救助や苦痛の軽減などを目的にした支援活動を指します。
また、三つ目のアドボカシーとは、ワールドビジョンが取り組む社会課題を広く市民社会に啓発したり、国際機関や政府に対して政策提言を行ったりする活動を指します。
ここでは一つの具体例として、ワールドビジョンがアフリカ・ウガンダ北部の難民居住区で行っていた緊急人道支援を紹介します。実際に現地で働いていた僕が目にした活動です。
この写真を撮影した当時、2017年2月はウガンダの隣国である南スーダンの内戦が勃発して間もない頃でした。
命からがら隣の国ウガンダまで逃げてきた難民の人たちは、人間として必要最低限のニーズ、つまりは衣食住すら十分に満たすことができていません。
そんな難民たちに対して、ワールドビジョンは食糧を配給する支援活動を行っていました。こういった人間として生きていくために必要最低限のニーズを満たしてあげる活動が緊急人道支援です。
僕が難民の方に「食糧はどうしていますか?」とインタビューすると、
「ワールドビジョンが支援してくれているから、そのおかげで食べていくことができている。ワールドビジョンには本当に感謝している。」
こんな答えをしてくれる難民の方もいました。
ちなみにですが、ウガンダを含めてアフリカにはキリスト教圏の国が多いです。日本では「宗教が関係する団体…?怪しいのでは…?」と感じてしまう人もいますが、むしろキリスト教系の団体であるワールドビジョンは、現地では信頼されやすい傾向にあります。
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ワールドビジョンジャパンが運営する寄付制度チャイルドスポンサーシップとは?
ワールドビジョンジャパンが運営する「チャイルドスポンサーシップ」とは、一体どんな寄付制度なのか?その仕組みや金額の妥当性について解説します。
手紙や写真のやり取りを通じて、途上国の子どもとつながる支援プログラム
チャイルドスポンサーシップとは、手紙や写真でのやり取りを通じて、途上国に暮らす子どもとつながることができる支援プログラムです。
チャイルドスポンサーシップで子ども一人あたりを支援するのには、月額4500円がかかります。一口あたり4500円なので、一人の子どもを支援するためには毎月4500円、二人の子どもを支援するためには毎月9000円が必要です。
日本だけでも5万人以上がチャイルドスポンサーとしてワールドビジョンを支援しており、例えばプロゴルファーの東尾理子さんや、株式会社ZOZOファウンダーの前澤友作さんなど、多くの著名人もチャイルドスポンサーシップに参加しています。
➡チャイルドスポンサーになった芸能人8名を紹介【あの超大物ハリウッド俳優も】 - 原貫太のブログ
お金が直接子どもに手渡されるわけではない
チャイルドスポンサーシップは、よくある「里親制度」とは違います。ワールドビジョンへの寄付が直接子どもの手に渡るわけではないので、その点は誤解しないように注意してください。
チャイルドスポンサーシップを通じて支援したお金は、教育や保健衛生、生計向上、栄養など、子どもたちを取り巻く「環境」を包括的に支援するために使われます。
寄付者には子どもがマッチングされますが、その子どもが現地のコミュニティーの代表的な存在として、寄付者に感謝のメッセージを書いてくれるのです。
これからワールドビジョンに寄付する人の中には、もしかしたら「里親になって直接子どもにお金を渡したい」と考える人もいるかもしれません。
しかし、貧しい生活を送る子供に多額のお金を渡してしまうと、自分でやりくりすることが出来なかったり、支援してもらえなかった近隣住民との間に格差を生み出すことに繋がるなど、新たな問題が発生しかねません。
長期的な視点に立って現地の発展を考えると、より包括的なアプローチをする方が、国際協力の手法としては望ましいのです。
このあたりはチャイルドスポンサーシップの公式ホームページでも分かりやすく解説されているので、あわせてチェックしてみてください。
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月額4,500円は他のNPOと比べると高額だが、妥当
国際協力団体の一般的なマンスリーサポーターは月額1,000円から申し込むことができます。かつて僕が代表を務めていたNPO法人では、一口500円から募集していました。
そのため、チャイルドスポンサーシップの一口あたり月額4,500円という金額は、決して安い金額ではありません。
しかし、手紙や写真のやり取りを通じて現地の子どもとつながることができるチャイルドスポンサーシップ独特の仕組みを考えると、個人的には4,500円という金額は妥当だと思います。
たしかに多くのNPOでは月額1000円からマンスリーサポーターになることができますが、ワールドビジョンのように現地の子どもと日本の支援者をマッチングしてくれることはありません。
また、現地の人たちが寄付者に手紙を書いてくれることもほとんどありませんし、送られてくる報告書も一律の内容です。
職員が5人~10人の小さなNPOでは、チャイルドスポンサーシップのような寄付制度を維持するのは不可能でしょう。ワールドビジョンのような大きな団体だからこそ、チャイルドスポンサーシップの仕組みが成り立っています。
こういった背景にも目を向けてみると、一口4,500円という金額設定は、決して高すぎる金額ではありません。
ワールドビジョンジャパンは寄付先として信頼できる?
「ワールドビジョンジャパンは実態が不透明な団体なのではないか…」
「自分の寄付したお金はちゃんと現地に届けられるのだろうか…」
こんな不安を持っている方もいるかもしれませんが、結論的にはワールドビジョンジャパンは寄付先として信頼してもらって大丈夫です。その理由は二つあります。
国税庁から認定された認定NPO法人だから
ワールドビジョンジャパンは2002年に認定NPO法人として国税庁から認定されています。
この「認定NPO法人」ですが、簡単に説明すると「NPO法人のグレードアップ版」です。社会的に信頼されているNPO法人のみ、認定NPO法人の資格を取ることができます。
NPO法人は日本に5万団体以上ありますが、ワールドビジョンジャパンのように所轄庁から認定を受けている認定NPO法人は全体の2%、わずか1,095団体しかありません。
認定NPO法人になるためには、要件の一つとして「パブリック・サポート・テスト」という審査があります。
パブリック・サポート・テストとは、広く市民からの支援を受けているかどうかを判断するためのテストです。例えば審査の一つとして「3,000円以上の支援を毎年100人以上から安定して受けているか」などがあります。
認定NPO法人の資格は取得するだけではなく、継続することも簡単なではありません。経理や監査で毎年厳しい審査があります。
ワールドビジョンジャパンは20年近く認定NPO法人としての資格を維持していることから、寄付先として信頼できると言えます。
ちなみに認定NPO法人に寄付したお金は、寄付金控除の対象になります。僕もいくつか認定NPO法人に寄付していますが、毎年1月~2月に「寄附金受領証明書」が郵送されてくるため、確定申告時にそれを使うと税金控除になります。
寄付する側にもメリットがあるというのが、認定NPO法人の大きな特徴です。
支援金の8割以上が現地事業に充てられている
自分の寄付したお金がちゃんと現地の活動に使われているか?大部分が人件費に使われてしまっはていないか?寄付者であれば気になるポイントです。
ワールドビジョンジャパンは、チャイルドスポンサーシップで受け取った支援金のうち81.5%を現地での活動に充てています。
81.5%という数字が良いのか悪いのかわからない方もいると思いますが、NPO業界には「7割の原則」という言葉があります。
これは「NPOは寄付で集めたお金のうち、最低でも7割は現地での支援活動に充てるべき」という考えを指します。
比較的活動規模の大きな団体はどこも「7割」というのを一つの基準にしているので、ぜひ他団体もチェックしてみてください。
いずれにせよ寄付金のうち8割以上を現地事業に充てているワールドビジョンは、十分に現地での活動に寄付金を使っていると評価できます。
チャイルドスポンサーシップの実態をさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も読んでみてください。
➡チャイルドスポンサーシップの実態を海外支援のプロが解説【うさんくさくないです】 - 原貫太のブログ
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