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原貫太公式ブログ「世界まるごと解体新書」

アジア・アフリカでの活動からニュース解説記事、ライフハックまで。原貫太が世界をまるごと解体します。

4歳の少女をレイプ―女性にとって最悪の場所、アフリカ最大の紛争コンゴの性暴力

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アフリカ大陸中央部に位置しているコンゴ民主共和国(Democratic Republic of the Congo)の紛争は、周辺数か国を巻き込みながら、第二次世界大戦後に起こっている紛争としては、世界最多である540万人以上の死者を産み出している。

 

シリア、イラク、アフガニスタン、パレスチナ、ウクライナなどの紛争がテレビや新聞を通じて私たちに届けられる一方で、コンゴ民主共和国の紛争は、死者540万人以上という規模であるにもかかわらず、メディアが取り上げることはほとんどない。日本においては、この紛争の存在すら知らない人がほとんどだろう。もしかしたら、コンゴ民主共和国という国自体も、それほど知られていないかもしれない。

 

この「無関心」が、コンゴの人道危機を更に深め、紛争下に生きる人々の生活を更に苦しめることへと繋がっている。特に、コンゴ東部にはあらゆる武装組織が跋扈しており、字義通り「無法地帯」が広がっている。アフリカに滞在していた時(2017年1月~3月)、現場で長く活動している人から、「アフリカで危険すぎて入れない地域は二つ。一つがソマリア南部、そしてもう一つがコンゴ東部だよ」と聞かされていた。

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コンゴ紛争を戦った子ども兵たち(写真提供:認定NPO法人テラ・ルネッサンス)

 

戦場に駆り出された子どもたち

コンゴ民主共和国の紛争では、多くの子ども達が軍隊へと徴兵・徴用され、「使い捨て道具」として危険な戦闘へと駆り出されてきた。これまでで少なくとも3万人以上もの子どもが兵士にさせられ、コンゴ東部地域のある戦闘では部隊の6割~7割が子ども兵だったとも言われている。子ども同士が銃を向け合い、殺し合いをしている様子は、想像に難い。

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子ども兵の役割は様々だ。敵対勢力との戦闘や村の襲撃に加担させられたり、人間地雷探知機として地雷原の上を歩かされたり、新たな子どもの誘拐を任されたりする。その他にも、武器や食料などの荷物運びといった雑用から、女の子であれば、性的虐待や強制結婚をさせられることもある。

 

また、軍隊によっては麻薬やアルコールによって子ども兵を洗脳するところもあり、彼らは肉体的にも精神的にも大きな傷を負うことになる。仮に軍隊を脱退することができたとしても、幼い頃に教育の機会を奪われ、戦うことしか教えられてこなかった彼らが一般の社会で生計を立てることはとても難しい。それどころか、家族や地元の人々から偏見や差別を受けるなど、厄介者として扱われることもあるのだ。従軍中に麻薬やアルコールの中毒となってしまった元子ども兵は、当然社会復帰も難しくなる。

 

傷つけられた女性たち

子ども兵と同様、この紛争によって大きな被害を受けているのが、女性だ。

 

コンゴ民主共和国、特に東部は、「女性にとって世界最悪の場所」と言われることもある。日々数百人もの規模でレイプが横行していることもあるからだ。コンゴ紛争では、深刻な数の「女性に対する性的暴力の被害」が報告されている。国連人口基金によると、「1998年以降、推定20万人の女性と少女が性的暴力の被害を受けた」とも言われている。対象となるのは成人女性だけでなく、10歳にも満たない少女までもがその被害に直面している。中には、4歳の女の子がレイプされたとも言われるほどだ。前線で戦う兵士が自身の性的欲求を満たすために行われることもあるが、多くの場合攻撃先の家族を「崩壊」させるために、レイプが「武器」として使用されることがある。

 

コンゴ東部では、反政府軍だけでなく、政府軍側の兵士による女性への性的暴力も行われており、その手法は、家族やコミュニュティーの前で行う集団強姦や性器を刃物で傷つけるなど、残忍なものが数多く報告されている。

 

性的暴力を受けた女性たちは、肉体的に傷つけられるだけでなく、PTSD(心的外傷後ストレス障害、Post Traumatic Stress Disorder)を患うなど、精神的にも大きな傷を抱えることになる。夫や家族からも「汚れている」「エイズに感染している」と見捨てられ、生まれ故郷からも見放されてしまうことが多々あるのだ。

 

一方で、コンゴで起きている紛争は、先進国に暮らす私たちと決して無関係だと言えない。この世界最大とも言われる紛争の大きな要因を担っているのが、現代の生活に欠かせない存在となったスマートフォンを始めとする電子機器だ。これら電子機器には大量のレアメタル(希少金属)が使用されているが、例えば、電子回路のコンデンサに使われているタンタルという鉱石の推定埋蔵量の6割以上はコンゴに眠っていると考えられており、またコルタンの埋蔵量の6割から8割もコンゴに存在すると言われている。

 

最近になってようやく広く知られてきたが、このレアメタルはコンゴの武装勢力の資金源となっており、紛争の規模を広げ、そして長引かせている一因を担っている。先進国の「豊かな生活」は、コンゴに生きる人々の犠牲の上に成り立っていると言えるだろう。

 

「絶望」から立ち上がる一人の女性

言葉にならないような苦しみを経験したコンゴの女性たち。しかしながら、認定NPO法人テラ・ルネッサンスが現地で行っている活動によって、自尊心を取り戻した女性がいる。

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ステラさん(仮名)は、元々小さな農村で生まれ育った。長期化する紛争の影響によって、経済的には決して恵まれない生活を送っていたが、家族と共に幸せな日々を過ごしていた。

 

ところが、ステラさんはわずか13歳の時に男性兵士からレイプされ、そして両親も紛争に巻き込まれて亡くなった。性的暴力を受けた彼女は、近隣住民からの差別や偏見の対象となり、それからの彼女は生きる術もなく、一人過ごす辛い日々が続いた。

 

テラ・ルネッサンス理事長の小川真吾氏が初めてステラさんに出会った時は、性的暴力を受けたこと、また紛争で両親を亡くしたことから彼女は心に大きな傷を負っており、「私は誰からも必要とされていない人間なんだ」とすら語っていた。その後、ステラさんを支えたいと考えた小川氏は、彼女と一緒に洋裁の職業訓練を始めた。

 

訓練を始めてすぐの頃は、ミシンを上手に扱うことができず、なかなか上手くいかない毎日。しかし、訓練を重ねるごとに少しずつ技術が上達し、ステラさんは自分の手で洋服を作ることができるようになった。そして初めて、自分で作った洋服を身に付けたお客さんから「ありがとう」と言われた時の感想を、彼女はこう話す。

 

「生きていて良かった。私は、誰かに必要とされている人間だと思えるようになりました。」

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写真提供:認定NPO法人テラ・ルネッサンス

 

私自身、2017年1月~3月にアフリカ東部のウガンダに滞在して、反政府組織「神の抵抗軍」に誘拐され、強制的に子ども兵士とされた人たちと、一緒に時間を過ごしていた。

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知れば知るほど、話を聞けば聞くほど、その不条理さ、複雑さ、問題の根深さに、一瞬「絶望」すらも感じそうになる子ども兵問題。12歳で誘拐された元少女兵アイ―シャさんから直接話を聞いた時、従軍中の経験を辛そうに、そして悲しそうに話す彼女に対して、私は何と声をかければいいのか分からなかった。この問題に対して、微力すぎる自分が、何も出来ない自分が、本当に悔しかった。

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ただ私は、社会復帰施設で訓練に臨む「元子ども兵」たちの顔を、今でもはっきりと覚えている。私には想像も出来ないほど、壮絶な幼少期を過ごしてきた彼女たち。それにも関わらず、彼女らの顔には笑顔が溢れ、そして未来への希望を語っていた。彼女らの変わる力に、何度も驚かされた。

 

人は、何度だって立ち上がれる。何度だって、挑戦することができる。そんな当たり前過ぎることを、コンゴ、そしてウガンダで力強く生きている彼女たちが、私に教えてくれている、そんな気がした。

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テラ・ルネッサンス理事長小川真吾氏とコンゴの女性たち(写真提供:認定NPO法人テラ・ルネッサンス) 

 

子ども兵問題・コンゴ紛争・紛争資源/鉱物問題を知る

『ぼくは13歳、職業、兵士』・・・テラ・ルネッサンス創設者鬼丸昌也&理事長小川真吾共著。子ども兵士一人一人のストーリーから、アフリカの紛争、子ども兵士が生まれてしまう決定的な要因、私たちの生活との繋がりまで、これ一冊で「子ども兵問題」を深く知ることができる

 

『ぼくらのアフリカに戦争がなくならないのはなぜ?』・・・テラ・ルネッサンス理事長小川真吾著作。アフリカで紛争が無くならない原因は決してアフリカだけにあるのではなく、歴史的背景や先進国の利害と深い関わりがあることを、小川の現場での経験などを踏まえながら、丁寧な筆致で解き明かしていく。きっと、多くの人にとって「目から鱗」であると共に、読了後にはアフリカの紛争をどこか遠くの世界の出来事で終わらすことができず、自分自身に課せられた責任や使命に気づかされるだろう。

 

『資源問題の正義―コンゴの紛争資源問題と消費者の責任』『私は、走ろうと決めた。 ― 「世界最悪の地」の女性たちとの挑戦』・・・記事内でも言及したように、コンゴ紛争とスマートフォンを始めとした電子機器は深い繋がりがある。一方で、グローバル・サプライチェーンがますます複雑化する今日、一筋縄でその問題を解決することは到底できない。まずは、消費者としての正しい行動ができるように、知ることから始めて欲しい。