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アフリカの内戦はなぜなくならない?【4つの原因をアフリカ支援のプロが解説】

フリーランス国際協力師の原貫太(@kantahara)です。これまでアフリカの内戦で傷ついた難民や元子ども兵の支援活動に携わってきました。

アフリカの内戦で傷つく子どもたち

内戦で故郷を追われた難民の子供たちと筆者

 

ヨーロッパの植民地支配から独立した後のアフリカでは、幾度となく内戦が起きています。現在も南スーダンやコンゴ民主共和国など、アフリカには内戦に苦しむ国が多いです。

 

なぜアフリカでは内戦がなくならないのか?その原因は、アフリカの中だけにあるのではありません。

 

アフリカの内戦が起きる原因には、奴隷貿易や植民地時代などのアフリカの負の歴史、また先進国による経済的な搾取が大きく関係しています。

 

アフリカ支援を仕事にする僕が、アフリカで内戦がなくならない4つの原因を詳しく解説します。

 

 

アフリカの内戦はなぜなくならない?4つの原因をアフリカ支援のプロが解説 

アフリカで内戦がなくならない原因は様々ですが、この記事では4つの原因を解説します。

 

  1. 奴隷貿易が「アフリカ人によるアフリカ人の支配」という構造を生み出したから
  2. 植民地支配がアフリカに「民族の分断」をもたらしたから
  3. アフリカの資源を手に入れたい先進国が内戦を助長しているから
  4. アフリカで内戦が起きると先進国の武器産業に莫大な利益がもたらされるから

 

それぞれの原因を詳しく見ていきましょう。

 

アフリカの内戦がなくならない原因① 奴隷貿易が「アフリカ人によるアフリカ人の支配」という構造を生み出したから

アフリカの地図

 

アフリカで内戦が続く原因として、最初に忘れてはならないのがヨーロッパによる奴隷貿易です。

 

15世紀末にポルトガルがアフリカ大陸に到達してから、アフリカでは400年もの間奴隷貿易が続きました。推定1500万人以上のアフリカ人が強制的に拉致されたと考えられています。

 

アフリカ人はまるで野生動物のように扱われ、ヨーロッパ人がアメリカ大陸や西インド諸島で作ったプランテーションで、強制労働をさせられました。

 

この奴隷貿易によってアフリカの発展が著しく妨げられたのはもちろん、アフリカの民族同士の対立、ひいてはアフリカの内戦に繋がっていく火種が巻き散らかされたのです。

 

ヨーロッパ人たちは、自分たちにとって都合の良い従順なアフリカの民族には武器を渡し、他の民族を襲わせ、奴隷狩りをさせました。彼らは自分たちの手を汚すことなく、アフリカ人にアフリカ人を集めさせたのです。

 

奴隷貿易時代に作り出されたのが、「アフリカ人によるアフリカ人の支配」という構図です。この構図は、現代までアフリカで内戦が続く根本的な原因になりました。

 

この奴隷貿易は、19世紀前半にヨーロッパが廃止を決定してから200年近く経つため、今では過去の歴史としか認識されていないかもしれません。

 

しかし、その後に訪れる植民地時代、また現代まで続くアフリカの内戦を考える上では、奴隷貿易は非常に重要な歴史的出来事であったことは言うまでもありません。

 

アフリカの内戦がなくならない原因② 植民地支配がアフリカに「民族の分断」をもたらしたから

アフリカ・ルワンダ内戦の犠牲者の遺骨

ルワンダ虐殺の跡地で撮影した犠牲者の遺骨

 

アフリカで内戦がなくならない二つ目の原因は、ヨーロッパが植民地時代に導入した「分断統治」にあります。

 

19世紀中頃から進められたアフリカ探検によって、アフリカ大陸に眠る豊富な資源に注目が集まると、資本主義が勃興していたヨーロッパ諸国は資源の供給地や新たな市場としてアフリカに目を向けます。

 

そして1900年頃までには、エチオピアとリベリアを除き、アフリカ全土がヨーロッパ諸国によって分割されてしまいました。

 

この植民地時代に、ヨーロッパがアフリカ大陸に持ち込んだのが、いわゆる「分断統治」です。この分断統治は、植民地から独立した後のアフリカで「民族紛争」が勃発する大きな原因になりました。

 

いくつか例を挙げて解説します。

 

例えばウガンダを植民地支配していたイギリスは、ウガンダの南部を優遇する一方、北部の人々を冷遇しました。この分断統治によって、ウガンダ北部に暮らす住民の不満は、イギリスだけではなくウガンダ南部にも向くようになります。

 

隣国のルワンダでも同じように、宗主国であるベルギーは少数派のツチ族を優遇し、多数派のフツ族を虐げました。これによって、国民の約85%を占めるフツ族の不満はベルギーだけではなく、優遇されていたツチ人にも向いたのです。 

 

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なぜヨーロッパ諸国は、アフリカを植民地支配する際にこのような分断統治を導入したのか?その理由は、アフリカ各国の中に分断を持ち込み、違う民族同士で対立させることによって、植民地支配を円滑に進めるためです。

 

植民地時代に導入された分断統治は、アフリカの国々が独立した後に内戦、いわゆる民族紛争が起きる根本的な原因になります。

 

イギリスから独立した後のウガンダでは、植民地時代に虐げられていた北部から反政府組織「神の抵抗軍」が誕生し、植民地時代に優遇されていた南部を中心とする政府軍との間で内戦が勃発します。

 

また、ベルギーから独立した後のルワンダでは、植民地時代に冷遇されていた多数派のフツ族と優遇されていたツチ族の間で内戦が勃発し、100日間で80万人が亡くなる民族大虐殺が起きています。

 

植民地時代にヨーロッパ人がアフリカを分断したことによって、それまでアフリカ人が維持してきた平和な社会は根本から破壊され、現在も内戦が続く大きな原因になったのです。

 

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アフリカから内戦がなくならない原因③ アフリカの資源を手に入れたい先進国が内戦を助長しているから

アフリカの子供

 

アフリカには豊富な資源が眠っていますが、アフリカではこの資源をめぐって内戦が起きています。現在も内戦が続く南スーダンを例に考えてみましょう。

 

南スーダンは2011年に独立を果たした世界で最も若い国ですが、独立する前の「スーダン南部」の時代から、石油権益を巡った内戦が続いています。

 

この石油を巡った内戦の背景には、何としてもそれを手に入れたい先進国の「思惑」があります。実際、アメリカは莫大な石油が眠っているとされるスーダン南部に目を付け、1970年代から介入していました。

 

しかし、冷戦時代の影響を受けて北部にあるスーダン政府が反米政権になると、アメリカはスーダン南部の反政府勢力に武器や資金を流し込むようになりました。これによって、スーダン北部とスーダン南部の内戦は激化したのです。

 

最終的には、北部スーダンと南部スーダンの国境線や石油の利益配分なども未確定のまま、アメリカは南スーダンの独立を後押しします。言葉は悪いかもしれませんが、アメリカは石油権益を手に入れるため、南部スーダンを引きちぎったのです。

 

また、南スーダンの隣国コンゴ民主共和国東部で起きている内戦も、この国に眠る豊富な資源が関係しています。

 

コンゴ民主共和国で続く内戦の大きな原因になっているのが、現代の生活には欠かせない存在となったスマートフォンなどの電子機器です。

 

これらの電子機器には、大量のレアメタル(=希少金属)が使用されています。例えば電子回路のコンデンサに使われるタンタルという鉱石は、推定埋蔵量の6割以上がコンゴに眠っていると考えられています。

 

実はこのレアメタルは、コンゴ東部の武装勢力の資金源となっており、内戦の規模を広げ、長引かせている大きな原因になっているのです。

 

スマホやタブレットが売れ、先進国でレアメタルの需要が高まれば高まるほど、武装勢力に多くの資金が流入し、その結果として内戦による犠牲者が増えるという構造が出来ています。

 

このようにアフリカで内戦がなくならない原因は、アフリカで豊富に眠っている資源も大きく関係しているのです。

 

アフリカから内戦がなくならない原因④ アフリカで内戦が起きると先進国の武器産業に莫大な利益がもたらされるから

アフリカの内戦で傷つく子どもたち

コンゴ紛争を戦った子ども兵士たち。写真提供:認定NPO法人テラ・ルネッサンス

 

アフリカで内戦が起きれば、先進国の武器産業に莫大な利益がもたらされます。これもまた、アフリカで内戦が終わらない大きな原因です。

 

通常兵器の約9割は、アメリカ・イギリス・フランス・中国・ロシアの5大国によって生産されています。ちなみに言うと、この5か国は国連の安全保障理事会で拒否権を持つ国々。恐ろしいですね。

 

なぜ武器の生産が減らないのか?その理由を簡単に言えば、武器の生産や売買によって儲ける企業が世界中に存在し、それを仕事にする人たちがたくさんいるからです。

 

また、一部の政治家の活動資金が武器産業から出資されていることもあります。そのため政治家たちも、武器産業に対する規制が下手にかけられないというジレンマが存在します。

 

アフリカで内戦が勃発し、武器の需要が増えれば増えるほど、先進国の武器産業は儲かる。このような構図があるため、アフリカでは内戦がなくならないのです。

 

アフリカで起きた内戦のリアル ウガンダ元少女兵の体験談

アフリカの内戦で傷つく女性

元少女兵アイーシャさんへのインタビュー中の様子。奥は筆者

 

アフリカで内戦が続く4つの原因を解説しましたが、これだけでは話の規模が大きく、アフリカの内戦をリアルに考えることは難しいと思います。

 

アフリカの内戦をよりリアリティを持って理解してもらうため、僕がウガンダ共和国で出会った元少女兵士、アイーシャさんの体験談を紹介させてください。

 

ウガンダ内戦では3万人以上の子ども兵が生まれた

1980年代後半から、20年以上内戦が続いたウガンダ共和国。僕は子ども兵問題のリアルに迫るため、大学4年生のときにこの国を訪れました。

 

ウガンダでは内戦中、反政府組織「神の抵抗軍」によって、3万人以上の子どもが誘拐され、兵士として戦わされてきた過去があります。一説では、神の抵抗軍は兵力の約8割を子ども兵士に頼っていたとも言われます。

 

子ども兵士は水汲み、食事の準備、荷物運びといった雑用から、政府軍との戦闘や村の襲撃、新たな子どもの誘拐まで、多くの仕事につかされました。

 

内戦には少女兵も駆り出された 

「少年兵」という言葉に聞き覚えがある人は多いでしょう。しかし、子ども兵士の中には女子、つまり「少女兵」も存在します。

 

アフリカでは、多くの内戦で少女兵の存在が確認されています。ウガンダの内戦でも、多くの女子が兵士として強制的に徴兵されました。

 

少女兵は荷物運びや炊事といった雑用に使われるのはもちろん、中には大人兵士と強制結婚させられ、エイズに感染してしまう者もいます。

 

僕が出会ったアイ―シャさんも、元少女兵の一人です。彼女はわずか12歳で誘拐され、26歳で脱退するまでの実に14年間、望まない兵士として過ごすことを余儀なくされました

 

以下は僕の書いた本『世界を無視しない大人になるために 僕がアフリカで見た「本当の」国際支援』でも紹介した、彼女の従軍中の体験談です。その内容を、本の中から引用します。

 

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2000年12月19日の真夜中、アイーシャは反政府軍である神の抵抗軍(LRA)に誘拐された。当時、わずか12歳だった。そこには、数え切れないほど多くの困難が彼女を待ち受けていた。

 

「一日中重い荷物を持たされ、森の中を走りました。休息は夜に少し取るだけ。非常に辛く、苦しいものでした」

 

「水も食料もない状態で、本当に辛かったです。軍隊にいる間、常に戦闘が続いていました。昔はいつ死んでもおかしくないという思いで生きていました」

 

神の抵抗軍での厳しい生活に慣れることは、非常に難しかったと彼女は話す。人が殺されるところを、数え切れないほど目の当たりにした。襲撃や、軍隊という過酷な環境に彼女を慣れさせるため、神の抵抗軍はアイーシャにその現場を見せたがっていたのだ。

 

2000年から2003年までの3年間、北部ウガンダの茂みを歩き回った。その後、ウガンダ政府軍による神の抵抗軍の掃討が勢いを増すと、ウガンダに滞在することは厳しくなる。2004年、彼女らは合計4回にわたって拠点をスーダン内へと移した。

 

「とても長い距離を歩かされて、4日間ずっと移動し続けたこともありました」。スーダンに拠点を置いている間も、越境してきたウガンダ政府軍によって何度か掃討があったため、拠点を更にコンゴ民主共和国へと移した。

 

彼女は、日夜「神の抵抗軍」と行動を共にしなければならなかった。それは、若い彼女にとって非常に辛く、苦しみを伴うものだった。

 

コンゴ民主共和国滞在時、彼女は脱走を試みる。脱走のリスクは当然大きかった。脱走に失敗して再度捕まれば、それに対する上官からの罰は非常に厳しく、非人道さを極めていた。

 

他の子ども兵が脱走することを防ぐために、脱走しようとして捕まった者は、見せしめとしてひどい罰を受けるのだ。時にそれは、命を失う事にも繋がった。

 

「ある夜に他の仲間と脱走を試みましたが、捕まり、鞭で200回叩かれました。それからは脱走する事は諦めました」

アフリカ 紛争

筆者がインタビューを行ったウガンダ北部グルの街

 

コンゴの密林を、反乱軍と共に動き回る。そんな生活が長く続いたある日、彼女に子どもが産まれる。

 

少女兵の多くは、従軍中に反政府軍の兵士と強制結婚をさせられ、子どもを授かることもある。中には、兵士との性交渉中にHIVに感染し、帰還後もエイズを発症する、また穢れた存在だと差別や偏見を受け、コミュニティから疎外されるなど、社会復帰がより困難な状態に置かれる。

 

「幼い子どもを連れながら、政府軍から逃れるために茂みの中を走るのはとても大変でした」。子どもを抱き、銃を担ぎ、身の回りの物を背負い、茂みの中を走る。その辛さを言葉にすることはできないと、彼女は語る。

 

コンゴから中央アフリカ共和国に移動し、またコンゴに戻り…、そんな生活が長く続いた。2014年、彼女は政府軍に救出されたが、2000年からの実に14年間、彼女は少女兵としての生活を強いられた。

アフリカ 紛争

ウガンダ北部、ナイル川上流。筆者撮影

 

救出後の生活は、茂みでの生活とは全く違うと彼女は語る。「人々はお互いの権利を尊重し合っています」

 

拘束されていた頃は何も言う事ができず、ただ上官からの命令に従うしかなかった。荷物を運べと言われれば荷物を運び、村を襲えと言われれば村を襲った。命令に背けば、時には殺されるまで罰が下された。

 

「拘束から逃れて戻ってきた時、私には3人の子どもがいました。持ち物は何もありませんでした。それでも、幸せでした。拘束から逃れられた、ただそれだけで幸せに感じました」

  

援助機関で社会復帰訓練を受けている心境を、彼女はこう語る。

 

「訓練所では、多くの技術を身につけることができています。以前はずっと人に頼り、物を借りていましたが、今の自分は能力を身につけ、自分で物事を行うことができるようになってきました」

 

「ここで技術訓練や基礎教育を受けられる、その事が、今の自分を幸せにしてくれます。ここでの学びを活かし、卒業後はもう一度、自分の人生を変えたい。そして、子どもたちの未来を支えたい。そう願っています」

アフリカ 紛争

洋裁の訓練を受けるアイーシャさんたち

 

アフリカで起きる内戦の原因は、アフリカの中だけにあるのではない

この記事で一番伝えたいことは、アフリカの内戦がなくならない原因は、決してアフリカの「中」だけにあるわけではないということです

 

歴史的な背景はもちろん、アフリカと先進国の間にある政治経済的な仕組みに目を向けない限り、アフリカで続く内戦の本質を語ることはできません。

 

そしてまた、数値で一括りにされがちな内戦の被害者の中には、アイ―シャさんのように、ひとり一人の「人生」が確実に存在しています。

 

僕たちが暮らす日本も、アフリカで起きている内戦と無関係だとは決して言い切れません。そのことを多くの方に知っていただけたら幸いです。

 

追伸:世界を無視しない大人になるために。 

記事を最後まで読んでくださり、ありがとうございました。改めまして、フリーランス国際協力師として活動する原貫太と申します。

 

記事の中では「アフリカの内戦の原因は…」と偉そうに語っていますが、かく言う僕自身、これまでのアフリカ支援では何度も壁にぶつかってきました

 

14年間も戦場に駆り出された元子ども兵の女性。目の前で両親を殺されたと涙ながら話す難民の女の子。精神障害を抱え、一人寂しそうに地面を見つめる男の子。

 

普段は日本の大学生として生活し、恵まれた環境で暮らしていたからこそ、彼らと直接対面する中で「どうして世界はこんなにも不条理なのか」と、何度も涙を流しました。

アフリカ 紛争

本の中でも紹介した精神障害を抱える南スーダン難民の男の子。足元には汚物が溜まり、全身にハエがたかっていた。この光景は今でも忘れることができない。

 

でも、自分なりにそこで感じる葛藤と向き合いながら、これまでアフリカでの活動を続けてきました。その軌跡をまとめた本が、僕の処女作『世界を無視しない大人になるために 僕がアフリカで見た「本当の」国際支援』です。

アフリカ 紛争

 

この本は執筆から装丁、印刷までをすべて自分でやった自費出版本です。もしかしたら「素人が書いた本なんかに700円も払えない」と思われてしまうかもしれません。

 

でも、これまで3,000人以上の国際協力を志す方たちが、この本を手に取ってくれました。ほんの一部ではありますが、いくつか読者の感想も紹介させていただきます。

 

 

アフリカの内戦や国際協力に関心のある人なら、この本はドンピシャの内容です。アフリカで起きる内戦の原因も、詳しく解説しました。

 

僕がアフリカで出会った元子ども兵や難民、ひとり一人のストーリーを中心に描いた一冊。第一章までを以下のページで全文公開しています。

世界を無視しない大人になるために【少女兵との出会い - 第一章まで無料公開】 - 原貫太のブログ

 

世界を無視しない大人になるために。ぜひ、この機会にあわせてご覧ください。よろしくお願いします!

 

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