フリーランス国際協力師の原貫太(@kantahara)です。
国際協力を仕事にする人を「国際協力師」と呼びますが、国際協力師になるためには英語は必須、少なくとも英語ができるに越したことはありません。
「英語ができなくても国際協力師にはなれる」と主張する人もいますが、海外の現場で国際協力に携わりたい人や国際機関で働きたい人にとっては、英語は絶対に必要です。
「国際協力師になるなら英語は絶対に必要」と僕が主張する理由と、具体的な英語力の伸ばし方を解説します。
国際協力師になるには英語が必要である3つの理由
国際協力師になるためには英語が必要だと僕が考える理由は3つあります。
国際協力師になると英語でコミュニケーションする機会が多いから
アフリカをはじめとした国際協力の現場では、英語を使ってコミュニケーションを取ることがとても多いです。
上の写真は僕がウガンダで活動していた時の様子です。ウガンダはイギリスが植民地支配していたこともあり、基本的に国内では英語が通じます。
南スーダン難民居住区で活動していた時も、仕事で使用する言語は英語のみでした。英語を話せない難民の方と会話をする時は、英語を話すことができる現地スタッフの通訳を介してコミュニケーションを取っていました。
フランス語圏のブルンジで活動していたこともありますが、ここでも日本人のNGO駐在員と現地スタッフは、すべて英語でやり取りしていましたね。
もちろん、現地語を話せるに越したことはありません。挨拶レベルの簡単な言葉でも話せれば、現地の人たちが心を開いてくれやすくなります。現地語がペラペラなら、現地の生活にも溶け込みやすくなります。
でも、すべての現地語を覚え、使い分けるのはまず不可能です。ちなみに僕が活動するウガンダでは、56種類の現地語があります。
だからこそ、あらゆる場面で通じる英語を習得しておくことは、現場での国際協力に携わるためには必要なのです。
国際協力師になると英語で情報収集する必要があるから
国際協力師になると、国際協力に関する様々な情報収集を英語でやる必要があります。
例えば発展途上国の現場に入って調査活動をする前には、まずは国連や現地の政府が出している情報をインターネットで調べます。こういった情報の多くは、英語で書かれています。
僕の場合は、南スーダン難民居住区で調査活動を開始する前に、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)が出している『Regional Response Plan』に目を通していました。
日本語でも探せばある程度の情報は手に入りますが、英語に比べるとその量は圧倒的に少ないです。
最近は日本語でも国際協力に関する情報を手に入れやすくなりましたが、それでも英語に比べると圧倒的に量は少ないため、国際協力師になると英語での情報収集が必要になります。
国際協力師になるためには海外留学がベターだから
国際協力師になりたい人の中には、アメリカやイギリスに留学し、国際関係論や開発学などを学びたい人もいるでしょう。
国際協力師の中でも国際機関に就職したい人は、欧米の有名大学院で修士号を取得しておくことが望ましいと考えられています。特に開発学では、権威ある大学院はイギリスやアメリカに集中していますね。
僕はアメリカに交換留学で渡り国際関係論を専攻していましたが、当然留学をするには高い英語能力が求められます。
学部留学の場合、TOEFLで概ね61〜80点が必要、大学院留学の場合は概ね81点〜100点が必要とされています。
一流の学校に留学したい場合は、それ以上の得点が求められます。(残念ですが、TOEICは日本の中でしか役に立ちません)
もちろん単なる語学留学ではなく、現地学生のみならず世界中から留学生が集まる大学での勉強は、
- 論文や教科書を読み込むためのリーディング・スキル
- 教授や学生の話を聞くためのリスニング・スキル
- レポートや論文を書くためのライティング・スキル
- ディスカッションに参加するためのスピーキングスキル
など、あらゆる英語の能力が必要になります。
若手日本人の国連職員登竜門とされている「JPO試験」でも、2年以上の仕事経験や関連領域での修士号取得に加えて、TOEFLで高い得点を持っておくことが要求されます。
最低でも100点は必要とされていますが、実際に合格するほとんどの人は満点に近いらしいです。国際協力師としてキャリアを積み上げていくためには、やはり英語力が必要になるのです。
国際協力に携わる日本人が苦手な英語能力は「スピーキング」
国際協力に携わる日本人でも、4つある英語能力のうち、一番苦手なのはスピーキングだと言われています。
世界の紛争地を飛び回り、国際協力の現場で長年活躍されている国際協力師・瀬谷ルミ子さんは、著書『職業は武装解除』の中でこのように書いています。
日本人は、書類選考はいつも高評価なのに、電話面接が苦手な人が多い──。
これは、国連の応募者に限ってだが、よく言われていることだ。ちなみに、この評価は語学力というより、コミュニケーション能力の問題なのだと思う。
瀬谷さんも指摘しているように、これは語学力の問題(単なるスピーキング能力の問題)だけではなく、元々のコミュニケーション能力も関係しているでしょう。
ただ、英語でのコミュニケーションとなった時には、学校教育でスピーキングの機会をほとんど得なかった日本人は、さらに絶望的な結果になります。
英語力を伸ばすためには、語彙や文法の基礎があることが前提です。だから、中学生、高校生は学校の勉強を馬鹿にしてはいけません。
でも、英語でのコミュニケーションが取れるようになるためには、とにかく話す機会を作り、まずは英語を話すことに対する「抵抗感」を無くすことです。
僕はオンライン英会話で英語力を鍛え、国際協力を仕事にした
「国際協力師になるには英語が必要です」と偉そうに書きましたが、今では国際協力を仕事にしている僕も、大学に入ったばかりの頃はほとんど英語を話せませんでした。
そんな僕は大学2年生からオンライン英会話をはじめ、とにかく英語をたくさん話す努力をしました。
もちろん、その後アメリカに留学したことがきっかけで英語力が伸びた事実はあります。ですが、実はアメリカに行く前には、既に英語をかなり話すことができるようになっていました。
その理由は、アメリカ留学が始まるまで毎日オンライン英会話をやっていたからです。
僕がやっていたDMM英会話にはアフリカをはじめ、いわゆる「発展途上国」に住んでいる講師の方もいます。そういった方と英語で現地の社会課題に関する議論をすれば、英語力と同時に現地の情報も手に入るのは、一石二鳥です。
なお、おすすめのオンライン英会話は以下の記事で詳しく紹介しています。これから英語の勉強に本腰を入れようとしている人は、こちらの記事もあわせて読んでみてください。
www.kantahara.com
こちらの記事もよく読まれています。あわせてご覧ください➡国際協力師とは?定義、資格、給料、新しい働き方まで徹底解説【初心者必見】 - 原貫太のブログ
ちなみに国際協力系ブロガー仲間の鈴木亜香里さんは「国際協力をやるのに英語は不要」と言い切っています。その理由も面白いので、興味のある方は読んでみてください➡国際協力に英語力は不要と言い切る3つの理由 - NGOミャンマー駐在員のハリキリノート