国際協力NGOコンフロントワールドを起業してから、半年以上が経った。
早稲田大学在学中に、途切れることなく続けてきた国際協力活動。サークルにも所属せず、飲み会にもほとんど出ることなく、ストリートチルドレン支援から元子ども兵士の支援まで、僕は3年半以上もの間、援助の世界で活動してきた。
今年の夏にはコンフロントワールドのスタッフとして、自衛隊が派遣されていた南スーダンの難民支援を行っていた。滞在中はSNSを活用し、現地の状況を発信することにも努めている。
現役の大学生が夏休みを丸々アフリカで過ごし、テクノロジーを利用して難民支援の様子を発信する。その姿は、有難いことにたくさんの人から注目を集めた。NPO/NGOの活動はしばしばボランティアとして認識されることが多いが、僕はこの活動を一生の仕事にするため、今は就職活動はせずにコンフロントワールドの事業化を進めている。
その様子は、早稲田大学からのインタビュー取材でも答えた。
時に葛藤する日もあった。数日前まで、数週間前まで、親を失った難民の子どもたちと一緒にいたのに、日本に帰国して大学に行けば、みんな世界のことには関心もなく、授業中に爆睡したり、飲み会で騒いだりしている。
そこに、良い、悪いといった単純な答えを見出すことはできないけど、日本もアフリカも両方を知る僕にとって、その「格差」を目の前にするのが、正直に辛い日もあった。
僕がこの活動を始めた原点は、大学一年生の春に遡る。フィリピンのスタディツアーで、現地滞在の最終日に偶然物乞いをする女の子と出会ったことが、僕を国際協力の世界へと導いた。
そもそもこのスタディーツアーに参加したのは、大した動機からではなかった。「久しぶりに海外旅行がしたい」「頑張って勉強している英語を実践的に使いたい」。そんなありきたりな動機に加えて、正直に、一番の動機は「就活の時に使える話題が欲しい」だった。
なのに、物乞いする一人の少女とたまたま出会ったことで、自分が目を向けるべき問題は、他にもたくさんあることに気づかされた。そして、その瞬間に芽生えた「"世界の不条理"に立ち向かいたい」という信念は、今なおこの活動を続けるための大きな原動力となっている。
考えてみれば、すごく面白い。
大学3年生になったらインターンをして、4年生になったらリクルートスーツを着る。未だに日本の社会では、大学卒業後は企業に就職することが「常識」だと考えられている。
僕もそれが「常識」だと思い込んでいたから、大学一年生の時にフィリピンに足を運んで、「意識高い系」になろうとした。それなのに、気づいたら今はアジアを飛び出し、アフリカで支援活動をして、しまいには就活をやめてNGOを起業している。元を辿れば、就活の話題作りで始めた活動なのに。
「常識」に反した行動をすれば、周りは大抵ドン引きする。それが、社会ってもんだ。フィリピンから日本に帰国し、僕が本格的に国際協力を始めたときには、周りから「すぐ辞めちゃうんじゃない?」とも言われた。
でも、3年半続けて、実績を少しずつ積み上げてきた今、そんなことは誰にも言われなくなった。
国際協力を仕事にすると決めた時、正直に不安はあった。同じ志を持った仲間が現れるのかという不安。ちゃんと収入を得られるのかという不安。アフリカで安全に活動を続けられるのかという不安…。
でも、自分の信念を持ち、真摯に活動を続けていれば、応援してくれる人が必ず現れる。コンフロントワールドのスタッフは20人以上にまで増え、マンスリーパートナーとして活動を応援してくれる人も少しずつ増えてきた。
ひょんなことから人生が回り始めるなんて、ザラにある。僕のフィリピンでの経験がそうだった。やるかやらないかで迷うくらいなら、とりあえずやってみることの大切さを僕はこの経験から学んだ。
世界に目を向けてみれば、紛争や貧困に苦しんでいる人たちが今この瞬間もたくさんいる。ストリートチルドレン、子ども兵士、難民…現場で彼らの苦しみを目の当たりにした人間として、僕は心に誓ったんだ。
世界を無視しない大人になろうと。
コンフロントワールドが掲げる「不条理の無い世界の実現」という大きなビジョン。道は遥かに長ければ、一歩一歩着実に、その歩みを進めていきたい。