「NPO法人はどこから収入を得ているのだろう?」
「NPO法人の資金規模はどれくらいなのだろう?」
こんな疑問にお答えします。
フリーランス国際協力師の原貫太です。大学在学中にアフリカ支援のNPO法人を設立し、新卒でNPO職員になりました。
2019年からはフリーランスに転向して、個人でアフリカ支援をしています。
NPO法人は「非営利団体」と訳されるため、どこから収入を得ているのかと疑問に思っている人もいるかもしれません。
しかし、実は株式会社とは違って、NPO法人には多様な収入源があるのです。
NPO法人が活動を継続していくためには、安定的な収入源が必要です。NPO法人の収入源にはどんなものがあるのか、NPO法人の資金規模はどれくらいか解説します。
NPO法人の収入源は?
NPO法人の収入源には寄付や会費、助成金・補助金、受託事業収入、事業収入などがあります。
株式会社とは違い、収入源が多様であることがNPO法人の特徴です。
寄付
一つ目の収入源は寄付です。多くのNPO法人の活動は寄付によって支えられています。
近年はインターネットを活用して不特定多数の人たちから資金調達をするクラウドファンディングが浸透したことで、寄付を集めやすい環境が整いました。
また、クラウドファンディングや単発寄付のような一回きりの寄付ではなく、毎月決まった金額を寄付してもらう「マンスリーサポーター制度」を用意しているNPO法人も多いです。
マンスリーサポーターの場合、毎月一定の寄付がそのNPOに入ってきます。安定的な運営をするためには、マンスリーサポーターを多く集めることが大切です。
信頼できるNPO法人の見分け方は、こちらの記事で解説をしました。
➡怪しいNPO法人を見分ける5つのポイント【知らないとダマされます】
会費
二つ目の収入源は会費です。会費とはその名の通り、NPO法人の会員が支払うお金です。
会員には大きく2種類、正会員と賛助会員があります。
正会員とは、組織の意思決定の権限(議決権)を持つ会員であり、企業で言うところの「株主」です。
一方の賛助会員とは、議決権は持ちませんが、団体の趣旨や活動内容に賛同し、資金面で支援する会員を指します。実質、寄付者とほぼ同じ立場です。
例えば正会員の会費は年間1万円、賛助会員の会費は年間5000円など、NPOの組織運営の議決権を持つ正会員の方が会費が高くなっています。
正会員を多く集めると毎年決まった会費がNPOの収入として入るようになりますが、その一方で組織運営にかかわる利害関係者も増えてしまうため、できる限り会員よりも寄付者、もしくは賛助会員を多く集めることがベターです。
助成金・補助金
三つ目の収入源は助成金・補助金です。
助成金とは、民間の財団からNPO法人の活動を支援するために提供される資金を指します。
一方の補助金は、同じくNPO法人の活動を支援するために提供される資金ですが、提供元が国や地方自治体などの行政機関になります。
助成金や補助金を得るためには、専用の申請用紙を記入したり、場合によっては簡単な面接審査などが行われたりすることもあります。
また、NPO法人を設立してすぐに申請できる助成金や補助金は限られており、「法人格を取得してから3年以上の活動実績がある」などの条件が設けられている場合も多いです。
受託事業収入
四つ目の収入源は受託事業収入です。受託事業収入とは、行政や企業から委託される事業についてくる資金を指します。
例えば行政だけでは解決できない社会課題がある時、行政からNPOに事業が委託され、一緒に資金が渡されます。
受託事業収入にはまとまった資金が手に入ったり、軌道に乗れば安定的な収入源にできたりといったメリットがあります。
その一方、NPO法人を設立してもすぐに受託事業収入を得ることはできません。受託事業を受ける場合にも、活動実績等が必要です。
複数のNPO法人が取り組む社会課題に関する事業であれば、他のNPO法人と収入のパイを分け合うことになったり、既に実績があるNPO法人にばかり事業が委託されてしまうデメリットもあります。
事業収入
五つ目の収入源は事業収入です。事業収入とは言葉の通り、NPO法人が何らかの事業・サービスを行い、そこから得る収入を指します。
例えば国際協力系のNPO法人であれば、発展途上国で作られたフェアトレード商品を販売したり、講演やイベントを開催したりすることで得る収入を指します。
「NPOは『非営利団体』なのだから、事業で金儲けしてはいけない」と言われることがありますが、誤解です。NPOも株式会社と同じように、事業を行って問題ありません。
NPO法人がやってはいけないのは、事業から生まれた収益を役員や会員の間で分配することです。これが、株主の間で利益分配が認められる株式会社との違いです。
NPO法人の資金規模は?
株式会社とは違って多様な収入源があるNPO法人ですが、実態としてはNPO法人の資金規模はそれほど大きくありません。
日本のNPO法人の年間収入額は、
- 500万円未満…30%
- 500万円以上1000万円未満…11%
- 1000万円以上3000万円未満…18%
- 3000万円以上5000万円未満…10%
- 5000万円以上1億円未満…12%
- 1億円以上…19%
となっています。
全体の3割を占めている年間収入規模が500万円未満のNPO法人の場合は、有給職員は1人、もしくは全員がボランティアという場合がほとんどです。
仮に1人でも有給職員を雇用した場合、月給18万円で計算しても人件費だけで年間200万円以上がかかりますからね。
その一方で、年間収入規模が1億円以上のNPOも2割あります。こういった収入額が多いNPO法人の場合は、海外発NGOの日本支部という形のNPO法人の場合も多いです。
今のNPO業界では、資金不足に苦しむNPO法人と、潤沢な資金で大規模な事業を行っている大型NPOとの格差が大きいというのも、一つの実態なのです。
さいごに
NPO法人には多様な収入源がある一方で、それぞれの収入源を軌道に乗せるまでには一定の時間が必要になります。
寄付や会費だけではなく、事業収入も増やしていくなど、多様な収入源を充実させることで安定的なNPO運営をできるようにしたいですね。
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