原貫太の国際協力ブログ

フリーランス国際協力師原貫太のブログです。国際協力やNPO・NGO、アフリカ、社会問題などのテーマを中心に解説しています。

NPO法人は儲かるだと?設立者が残酷な実態を教えてやる【給料は月6万】

「NPO法人を設立したら儲かるのだろうか?」

「NPO法人って非営利団体だけど、儲けを出してもいいの?」

 

 こんな疑問にお答えします。

 

フリーランス国際協力師の原貫太です。大学在学中にNPO法人を設立し、代表として働いていました。

 

「NPO法人は寄付や助成金をもらえるから、ボロ儲けできるらしい」と思ってNPOを設立しようと考えている方、絶対にやめておきましょう

 

NPO法人を設立しても、寄付や助成金でボロ儲けできることはありません。なぜならNPOを設立しても、すぐに寄付や助成金は貰えないからです。

 

 

NPO法人は儲かるだと?

NPO法人 儲かる

NPO法人の代表として講演をしていた時の様子

 

NPO法人は寄付や助成金で儲かると思っている人がいますが、現実はそんなに甘くありません。

 

NPOを設立して間もない頃は寄付が集まることもありませんし、助成金に申請することもできないからです。

 

NPO法人を設立してもすぐに寄付は集まらない

NPO法人を設立しても、最初の1~2年は寄付が集まりません。なぜなら活動実績もないし、社会からの信用もないからです。

 

寄付をする人たちは、NPOの活動実績を見て、寄付するかどうかを判断します。冷静に考えてみてください。全く活動実績がないNPO、設立されてすぐのNPOに、あなたは寄付したいと思いますか?

 

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設立者の知人などであれば、話は別です。僕はNPOを起業した後、知人に声をかけまくり、たくさんの方から寄付を集めることができました。

 

NPOを設立してすぐに行ったクラウドファンディングでは50万円以上を資金調達し、その後も月額1000円のマンスリーサポーターを100名近く集めました。

 

NPOを設立してこれだけの寄付を集めることができましたが、それでも起業してから半年がたった段階で、毎月安定して入ってくる寄付収入は10万円程度でした

 

これでは設立者の自分を含めて、有給スタッフを雇うことすらできません。そのため、最初の一年は完全にボランティアで働いていました。

 

NPO法人の中には、寄付だけで毎月1000万円近く集める団体もあります。しかし、そういったNPOは設立から10年~20年が経っていたり、海外NGOの日本支部という形で活動するNPO法人です。

 

NPO法人を設立しても、活動実績や社会的な信用がないうちは、広く一般の人たちから寄付を集めることはできません。

 

NPO法人を設立してもすぐに助成金は貰えない

NPO法人を設立すると国や地方自治体、財団から助成金や補助金がもらえると考えているかもしれませんが、設立後間もないNPO法人は、申請することすらできません

 

多くの助成金プログラムでは、その応募要件に「法人格を取得してから3年以上が経過していること」という条件があります。

 

もちろんNPO法人格すら持っていない団体だと、申請できる助成金・補助金はかなり限られます。

 

NPOを任意団体で設立した後、NPO法人格を取得するまでには約一年かかります。

 

さらに「NPO法人になってから3年以上活動していること」という条件が課せられると、助成金を申請するまでに4年近くがかかります。

 

中には「NPO法人格を取得してから3年以上」という条件がない助成金や補助金もありますが、もちろんそういったプログラムは倍率も高く、簡単に申請が通ることはありません。

 

NPO法人を設立すると国や地方自治体から一律で資金が支給されることも原則ないため、「NPOを設立すれば助成金がもらえるから儲かる」という考え方は捨てましょう。

 

NPO法人を設立しても給料は月6万円

NPO法人の平均年収は231万円です。内閣府が実施した「特定非営利活動法人に関する実態調査」でデータが出ています。

 

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また、NPO法人を自分で設立する場合、最初の一年は無給もしくは月給5~10万円を覚悟してください。

 

僕は大学を卒業してすぐ、自ら起業したNPO法人に就職しましたが、初任給は6万円でした。

 

当初は9万円だったのですが、自らの判断で3万円減らしています。

 

※正確には「給料」ではなく「役員報酬」という形で受け取っていました。

 

NPO法人を設立する最大の目的は、社会問題を解決するためです。僕の場合はアフリカの難民を支援するためにNPOを起業しました。

 

だからこそ、寄付などを通じて集まった資金は人件費に充てるのではなく、できる限り多くを支援活動に使うことが必要です。

 

そのため、自分の判断で給料の金額を減らしました。

 

給料を出すためには、寄付を集める必要があります。寄付を集めるためには、実績を出す必要があります。

 

そして実績を出すためには、最初のうちは給料をカットしてでも、活動に回す必要があります。

 

そのためNPOを設立しても最初の数年は、どうしても安月給で働かなくてはならないのです。

 

間違っても2~3年で年収1000万円を超えることも、寄付でボロ儲けできることもありません

 

NPO法人は儲けてはいけない?

NPO法人 儲かる

アフリカで難民支援に関わっていた時の原貫太

 

「NPO法人は非営利団体だから儲けてはいけない」と考えている人がいますが、これは誤解です。NPO法人が儲けること自体は問題ありません。

 

NPO法人も株式会社と同じように、利益を出して大丈夫です。むしろ利益を出し続けなければ事業を拡大することは出来ないし、スタッフを増やすこともできません。

 

ただ、株式会社のように儲かった利益を役員や会員で分配することは、NPO法人には認められていません。

 

NPOはNon-Profits Organizationの略称です。日本語では「非営利組織」と訳します。

 

この「非営利」という呼び方が「NPOは儲けてはいけない」と誤解を招く大きな原因になっています。つまり、

 

NPO→非営利団体→営利に非ず→無報酬で行う→ボランティア

 

という図式が、頭の中にある人が多いのです。

 

でも、NPOの「非営利」とは、活動によって得た利益を役員や会員といった構成員に分配してはならないという意味での「非営利」だと理解してください。

 

株式会社のように「今年は儲かったからみんなで分けよう」というのはダメですが、役員や職員に給料を払うことは何ら問題ありません。

 

さいごに

NPO法人を設立する一番の目的は、社会問題を解決することにあるべきです。

 

儲けるためというのはNPO法人を設立する動機として不純ですし、そもそもNPOで一儲けしてやろうというのは、現実的に厳しいです。

 

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