「NPO法人ってなんか怪しい…」
「怪しいNPO法人を見分けるには、どうすればいいのだろう?」
こんな疑問にお答えします。
フリーランス国際協力師の原貫太です。大学在学中にNPO法人を起業し、新卒でNPO職員になりました。
2019年からはフリーランスに転向し、個人で国際協力の仕事を続けています。
残念ながら今の日本には、「NPO法人=怪しい」「NPO法人=胡散臭い」と感じる人もまだ多いのが現状です。
NPO法人が犯罪組織の隠れ蓑として使われた事件も過去起きているため、仕方ない側面もあるかもしれません。
しかし、大半のNPO法人は貧困や格差、環境問題など、社会課題を解決することを目指して真摯に活動に取り組んでいます。
NPO法人を起業し、代表を務めた経験も踏まえながら、怪しいNPOを見分けるための5つのポイントを解説します。
YouTubeでも解説しています。動画のほうが分かりやすい方は、こちらをご覧ください⇩
怪しいNPO法人を見分ける5つのポイント
NPOについて調べたり、NPOに寄付しようと考えた時、そのNPOに怪しい匂いを感じたら、以下5つのポイントをチェックしてみましょう。
- NPO法人格を持っているか?
- 働いているスタッフの顔が見えるか?
- ホームページやSNSが更新されているか?
- 定期的な活動報告が行われているか?
- メディアの掲載歴があるか?
すべてのポイントを満たすNPOなら、信用してもらって大丈夫です。
NPO法人格を持っているか?
怪しいと感じたNPOがあれば、まずはその団体が「NPO法人格」を持っているかどうか確認してみましょう。
注意してほしいのは、日本では「NPO法人」を名乗るためには所轄庁への届け出や申請が必要ですが、「NPO」を名乗るには特に届け出は必要ないという点です。
NPOはNon-Profits Organizationの略称で、「非営利団体」を意味します。そのため非営利的な活動・社会的な活動を行っている団体であれば、広い意味ではあらゆる団体がNPOを名乗ることが出来てしまいます。
何なら大学の任意サークルでも、「NPO」を名乗ることは可能です。
一方で、「NPO法人」を名乗る場合は定款を作ったり、役員を揃えたりした上で所轄庁から認証されなくてはなりません。NPO法人格を持っていない団体が「NPO法人」を名乗っていれば、それは違法行為です。
そのため、気になっているNPOがただの「NPO」なのか、それとも「NPO法人」なのかをまずはチェックしてみましょう。
残念ながら、過去にはNPO法人が犯罪組織の隠れ蓑として使われていたケースもあるため、これだけでは不十分です。
しかし、最低条件としてその団体がNPO法人格を持っているのかどうかは、最初にチェックしておくようにしましょう。
ちなみに、日本には「認定NPO法人」というNPO法人格のレベルアップしたバージョンもあります。
認定NPO法人になるためには厳しい審査があり、日本に5万団体以上あるNPO法人の実に2%しか認定NPO法人の資格を持っていません。
そのため対象のNPOが「認定NPO法人格」まで持っていたら、その団体は社会的に信用されていると言うことができます。
働いているスタッフの顔が見えるか?
怪しいと感じるNPOがあれば、その団体で働くスタッフや役員の顔が見えるかどうかチェックしてみましょう。
NPO法人には「働いている人の顔や氏名を公表しなければならない」といった義務は課せられていません。
しかし、スタッフや役員の顔・名前を公表しているNPOは、何か不祥事が起きてしまった時、社会的に責任を負うだけの覚悟があると捉えることもできます。
また、寄付者の方たちからの信頼や応援を獲得するために、働いているスタッフがブログを書いたり、積極的に人前に出て講演しているケースもありますね。
ホームページに「代表挨拶」「役員紹介」「スタッフ紹介」といったコーナーを用意しているNPO法人も多いです。少なくとも「代表挨拶」はチェックしてみましょう。
また、代表や役員の名前でGoogle検索をしてみたり、代表がSNSをやっているか調べたりするのも、信頼できるNPOを見分けるためにできることです。
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ホームページやSNSが更新されているか?
怪しいと感じたNPOがあれば、そのNPOのホームページやSNSの有無をチェックしてみましょう。
まず、インターネットがこれだけ普及した今の時代にホームページの一つすら持っていないNPO法人は怪しい、というか法人としての基本的な部分が成っていません。
ほとんどのNPO法人は寄付を集めながら活動していますが、寄付者に活動報告をしたり、お知らせを出したりする必要があるのに、ホームページがないのは時代遅れです。
また、仮にホームページを持っていても、最終更新が一年前や二年前で終わっているNPOも個人的には怪しいと感じますね。
日本には5万団体以上のNPO法人が存在しますが、ほぼ活動休止状態にあるNPOも少なくありません。そういったNPO法人に寄付してしまうと、寄付したお金が誰の手にも渡ることなく、どこかに消えてしまう可能性もあるからです。
また、そのNPOのSNSもチェックすることもおすすめします。しっかりと活動しているNPOは、FacebookやTwitterなどのSNSで頻繁に活動報告やお知らせをアップしているからです。
SNSを積極的に更新し、事業の経過報告やスタッフの働いている様子をアップしているNPOは、信頼できると考えてもらって大丈夫です。
定期的な活動報告が行われているか?
NPOの多くはマンスリーサポーター、つまり月額制の寄付会員を集めています。そのため何らかの事業や支援活動を行っているNPOなら、寄付者向けに定期的な活動報告を行っているはずです。
ホームページやSNSで活動報告を行っているケースもありますが、半年に一回、どれだけ少なくても一年に一回は活動報告会やイベントを開催しているはずです。
NPOに寄付しようと考えている人なら、そういった会に一度は出席してみてもいいかもしれませんね。
また、NPO法人は基本的に年次報告書や機関誌を出していますし、こういった報告書では会計報告・収支報告も行っています。
NPO法人の中にはほぼ休止状態にあるという団体もありますから、定期的な活動報告が行われているかどうかもチェックしてみましょう。
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メディアへの掲載歴があるか?
怪しいと感じたNPO法人があれば、そのNPOの名前をGoogle検索に打ち込み、新聞やネットニュースなどメディアへの掲載歴があるかチェックしてみましょう。
NPOは活動に対する社会的認知を広げるためにも、たくさんの寄付者を獲得するためにも、積極的にメディア露出している団体が多いです。
メディアへの掲載歴を見れば、そのNPOが社会的にどのような評価をされているのか、第三者視点で判断することも可能です。
立ち上げ間もない時期のNPO法人はメディアへの掲載歴が少ないですが、NPOの代表者に対するインタビューなどは見つけられるかもしれません。
代表がどんな想いでNPOを立ち上げたのか、どんな想いでNPOの活動に取り組んでいるのか、チェックしてみましょう。
僕自身もNPO法人を起業して間もない頃は、小さいメディアのインタビューにも積極的に答えるようにしていました。
そのインタビューでまずは僕のことを知ってくれて、その後に代表を務めるNPO法人に寄付してくれた方もたくさんいましたね。
対象のNPO法人を特集した記事がないか、代表の方がインタビューを受けていないかどうかチェックしてみましょう。
怪しさをぬぐえない人は、NPOに直接問い合わせよう
怪しいNPO法人を見分けるためのポイントを5つ紹介しました。この5つすべてを満たすNPO法人であれば、まず信用してもらって大丈夫です。
それでも怪しさを拭えない人、寄付する気にまでなれない人は、NPOに直接問い合わせてみましょう。年次報告書やパンフレットを郵送してもらえたり、 直近のイベントや活動報告会に招待してくれるかもしれません。
特に寄付の場合、最終的には怪しいか怪しくないかという判断軸ではなく、応援したいかどうかという判断軸で寄付をするべきだと思います。
「このNPOなら、自分のお金を役立ててくれるはずだ。」
「このNPOは応援したいから、自分のお金を自由に使ってもらって構わない。」
そういった想いで寄付をできることが、寄付者・NPO、お互いにとって一番気持ちいいはずです。
そのためにはNPO法人自体に対する信用度を高めていくよりも、そこで働いている「人」と知人・友人になったり、互いに顔の見える人間関係ができることが大事です。
その意味でも、NPOのスタッフから直接話を聞ける機会があるといいですね。
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