フリーランス国際協力師の原貫太(@kantahara)です。
日本の社会問題を勉強したいけど、具体的に何があるのかわからない。そんな方向けに、この記事では2020年の日本が抱えている社会問題をランキング形式で10個紹介します。
それぞれの社会問題の概要もわかりやすく解説したので、全部を読んでもらえたら明日からドヤ顔で社会問題を語れるはずです。
YouTubeでも解説しました。動画の方がわかりやすいはずです!
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日本の社会問題には何がある?ランキング形式でワースト10を発表
日本の社会問題ワースト10をランキング形式で発表しますが、僕の主観で順位に深い理由はありません。
ご自身でもランキングを作るならどうなるか、ぜひ考えながら読み進めてくださいね。
第10位 ブラック奨学金
日本の社会問題、第10位はブラック奨学金です。
今の日本では大学生の時に奨学金を借りすぎて、大人になってからその返済で苦しんでる人が多いという状況があることを知っていますか?
日本の大学の学費は、世界的に見るとかなり高いレベルなんですよね。
もちろんアメリカやイギリスの大学には、さらに学費が高い大学もあります。しかし、ヨーロッパの多くの国では学費が無料や数万円台の大学もあるので、平均的に見ると日本の大学は学費が高いと言われています。
その一方、日本の家計の収入は1990年代以降減少傾向にあり、大学に通うためには奨学金に頼らないといけない人たちが増えています。今は2人に1人が何らかの奨学金を利用し、 3人に1人は日本学生支援機構の奨学金を借りているという状態なんですよね。
ただ、海外では奨学金のほとんどが給付、つまりお金をもらえる奨学金であるのに対して、日本の奨学金のほとんどは貸与、つまりは借金です。
この借金が今、大きな社会問題になっています。大学生の間に奨学金をたくさん借りてしまうと、大学を卒業した時点で数百万円の借金を抱えてしまっている状況もあるからです。
中には、大学を卒業しても給料の良い職業に就けず、奨学金返済のために風俗業界で働かなければらない貧困層の女性もいるらしいです。『東京貧困女子』という本の中でも、社会問題化する奨学金が解説されていました。
中村 淳彦 東洋経済新報社 2019年04月05日頃
そもそも奨学金という名前を使っていることがおかしいですよね。奨学金と言わず、ストレートに「借金」「学生ローン」と呼べばいいのに、奨学金という呼び方をされてたら、いいものに見えちゃいますよね。
この記事を中学生や高校生が読んでいたら、借りるタイプの奨学金はあくまでも借金と理解しておきましょう。
第9位 外国人技能実習制度問題
日本の社会問題、第9位は外国人技能実習制度問題です。
外国から受け入れている技能実習生の労働環境が社会問題化している話を、ニュースで一度くらいは聞いたことあるのではないでしょうか。
長時間労働をさせられたり、パワハラやセクハラまがいの事をされたり、賃金がちゃんと払われなかったりといった様々な問題が起きています。
そもそも外国人技能実習制度とは、主に発展途上国の労働者を一定期間日本で受け入れ、技術や知識を学んでもらい、その人の国の発展に生かしてもらうことを目的としています。
なので、本来は「国際協力」の一つなんですよね。
しかし、実態は技能実習とは程遠い内容になっていて、実習生をただ低賃金の外国人労働力として見なしている企業もあります。こういった状況が、社会問題として深刻化しているのです。
第8位 ジェンダー不平等
日本の社会問題、第8位はジェンダー不平等です。
ジェンダーとは、社会的意味合いから見た男女の性区別を指します。日本は国際的に、男女格差の非常に大きな国の一つと言われているんですよね。
ジェンダー不平等に関する数値にはたくさんの指標がありますが、例えば2019年12月に発表された世界経済フォーラムによるジェンダー・ギャップ指数では、2019年の日本は153か国中121位という結果になっています。
2018年の110位から、さらに順位を下げているんですよね。
日本のジェンダーギャップ指数が高い理由の一つが、女性の政治参加度が低いことです。
有名な政治家をイメージした時に、女性の政治家が頭の中に湧いてきますか?テレビやネットで目にする有名な政治家って、ほとんどが男性ですよね。
ちなみに日本の政治分野のジェンダーギャップ指数は153か国中144位となっており、調査対象国の中ではワースト10に入っています。
政治は日本社会の根幹を担っているものだからこそ、その政治でこれだけのジェンダーギャップがあると、それが他の社会問題にも影響しそうですよね。
第7位 過労死(長時間労働)
日本の社会問題、第7位は過労死や長時間労働です。
2015年12月25日には、当時大手広告会社の電通で働いていた高橋まつりさんが自殺されたことが大きな社会問題になりました。
当時の残業時間は認定されただけでも月に100時間を超えており、長時間労働が常態化していたと言われています。
日本には「過労死ライン」というものがあり、過労死ラインでは一ヶ月の残業時間が80時間と定められています。月20日出勤とすると1日4時間以上の残業で、毎日12時間労働していることになります。
過労死は「Karoushi」として、英語でそのまま辞書に載っているんですよね。日本発の社会問題と表現することもできるかもしれません。
第6位 食品ロス(食品廃棄)
日本の社会問題、第6位は食品ロスです。
まだ食べることができるにもかかわらず廃棄されてしまう食品のことを、食品ロスと言います。日本では年間646万トンもの食べ物が、まだ食べることができるにもかかわらず廃棄されているんですよね。
この量はなかなか想像できないかもしれませんが、1秒間におにぎりが約3000個近く捨てられている計算になります。
人数に換算すると、日本は約3000万人が一年間生き延びるために必要な食料を、まだ食べることができるにもかかわらず廃棄しています。
要は日本が捨ててしまっている食品だけで、飢餓で苦しむ世界の人たち約3000万人を毎年救うことができるということです。
646万トンという食料廃棄量は、世界全体の食糧援助量の約1.7倍と言われています。日本も世界の貧しい国々に食糧援助をしていますが、片方の手では食糧を援助しながら、もう片方の手では大量の食品を捨てている状況です。
世界では毎日約3万人の子どもが飢餓や栄養不足を原因に亡くなっていることを考えると、食品ロスの問題には世界の不条理を感じますよね。
第5位 若者の自殺
日本の社会問題、第5位は若者の自殺です。
日本の若者の死因第1位は交通事故でもガンでもなく、自殺です。多くの人が自ら命を絶っています。
厚生労働省の統計によると、10~39歳の死因第一位が自殺となっており、多くの若者が生きづらさを抱えていることがわかります。
国際的にも、15~34歳の死因一位が自殺となっているのは、G7(先進7か国)の中でも日本だけなんですよね。
自殺の原因として最も多いのは、学校での問題です。4割を超えています。続いて健康や家庭の問題がそれぞれ3割です。
特に10代の若い人は、自宅と学校だけが生活のすべてという人も多いですよね。そのため学校でも家でも問題を抱えてしまうと、自分の居場所を感じることができなくなってしまい、自ら命を絶ってしまう人が多いのです。
第4位 うつ病
日本の社会問題、第4位は「うつ病」です。ここでいう「うつ病」は、いわゆるうつ病だけではなく、統合失調症や適応障害など精神疾患全般を指していると考えてください。
厚生労働省の発表によると、精神疾患が原因で医療機関にかかっている患者数は近年大幅に増加しており、平成26年は392万人、平成29年は400万人を超えています。
特にうつ病や統合失調症、不安障害といった病気が多いらしいです。
病院に通っている人だけでも400万人ですから、実態としてはもっと多いことが想像できます。なんとなく鬱っぽくても精神科や心療内科には通っていない人たちも含めたら、人数はさらに増えるはずです。
僕自身も過去に適応障害抑うつという、ほぼうつ病に近い病気になったことがあるのですが、適応障害だけでも日本に100万人以上いると言われています。
日本には未だに「うつ病は甘え」「うつ病になる人は精神的に弱い」と間違った認識をしている人が多いですが、そういった社会の雰囲気も、日本のうつ病患者が多い大きな理由だと思います。
第5位、第4位と「若者の自殺&うつ病」など、精神的な社会問題を取り上げましたが、厚生労働省が2010年に試算した自殺やうつによる経済的損失の調査によると、うつ病による経済的損失は7,700億円、自殺も含めると2兆7,000億円という金額になるそうです。
第3位 子どもの貧困
日本の社会問題、第3位は子どもの貧困です。
厚生労働省の報告書によると、日本の17歳以下の子どもの貧困率は13.9%。約7人に1人が貧困状態です。
40人クラスなら、そのうち5人から6人は貧困家庭の子供ということですね。
「これだけ経済的に発達した日本に貧困なんて存在しない」と思う人もいるかもしれませんが、たしかにアフリカで問題になっているような必要最低限の生活すら送れない絶対的貧困は、今の日本にはほぼ存在しません。
日本で問題になっているのは相対的貧困と呼ばれ、一言で説明すると日本の生活水準や文化水準と比較して貧しい状態を指します。
日本の貧困ラインは年収約125万円と呼ばれており、それよりも年収が低い家庭が貧困層です。
例えば日本の高校進学率は98.8%ですが、日本人のほとんど全員が高校に通える状況にもかかわらず、お金がないという理由で高校に進学できない状態は、相対的貧困であるということができます。
アフリカの貧困と日本の貧困は何が違うのか、この記事で解説したのでぜひご覧ください。
➡絶対的貧困と相対的貧困の違い、それぞれの問題点は?超わかりやすく解説します - 原貫太のブログ
第2位 少子高齢化
日本の社会問題、第2位は少子高齢化です。
日本では今、少子高齢化が重大な社会問題となっています。少子化や高齢化はたしかに他の先進国でも進んでいますが、日本はそのスピードが群を抜いて早いと言われています。
2025年問題について聞いたことはありますか?2025年は団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる年で、後期高齢者の数が全人口の約18%にあたる2179万人になります。
つまり、日本の約5人に1人が75歳以上になるということです。
65歳を過ぎると年金の受給が始まり、いくら医療が進歩しているとはいえ、75歳を過ぎると介護の需要も増えるため、社会保障費が逼迫していくと言われています。僕たちのような若者世代が、高齢者世代を支えなくてはいけないという状況ですね。
10位で紹介したブラック奨学金の問題でも感じますが、これからの日本を創っていく大学生などの若者世代には税金が使われない一方、高齢者の介護や社会保障に多くの税金が使われているという状況が生まれています。
こういった状況を知ってしまうと、正直に「日本に明るい未来がある」とは思えませんよね…。政治家もできる限り多くの票が欲しいから、若者ではなく人口の多い高齢者に向けた政策を実行しますからね。
若者の皆さんは、選挙には必ず行きましょう。
第1位 異常気象
日本の社会問題、第1位は異常気象です。気候変動と表現してもいいかもしれません。
2020年も日本各地で猛暑や豪雨など、たくさんの異常気象が見られました。特に九州地方では大雨によって様々な自然災害が起きていますし、史上最も危険と表現される台風も襲ってきています。
このままのペースで地球温暖化が進んでいくと、2071年~2100年の日本の夏の平均気温は4.2℃、最高気温は4.4℃上昇し、降水量は19%増加すると言われています。
2020年の今でも38度や39度などの猛暑を観測する場所がありますが、このままのペースでいくと50年後には、43度や44度といった気温があたりまえになるんですよね。
その頃には少子高齢化によって高齢者も今以上に増えていますし、熱中症で亡くなる人の数も激増することが予測できます。
局地的に大雨が降るゲリラ豪雨も大きな問題です。1時間あたりの降水量が80mm以上に達した大雨の発生回数が、ここ10年間では1年に平均して23回も発生しています。
例えば約40年前の1976年から1985年までの年平均14回と比べると、約1.6倍に増加しているのです。僕は東南アジアに何回か行ったことあるんですけど、現地で見たスコールが日本でも起きているような感じです。
日本はただでさえ地震や台風などの自然災害が多い国ですから、 それに加えて大雨や猛暑などの異常気象が増えたら大きな経済的損失に繋がりますし、 命に関わるようなケースも増えるはずです。
日本の社会問題を一覧で総まとめ
この記事で紹介した日本の社会問題を、一覧でまとめておきます。
- 第10位 ブラック奨学金
- 第9位 外国人技能実習制度問題
- 第8位 ジェンダー不平等
- 第7位 過労死(長時間労働)
- 第6位 食品ロス(食品廃棄)
- 第5位 若者の自殺
- 第4位 うつ病
- 第3位 子どもの貧困
- 第2位 少子高齢化
- 第1位 異常気象
日本の社会課題は他にもありますが、特に深刻な社会問題10個をランキング形式でまとめてみました。
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