原貫太の国際協力ブログ

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アフリカを苦しめる資源の呪いとは?天然資源が豊富なほど、発展できない理由

「なぜアフリカには天然資源が豊富な国もあるのに、発展することができないのか?」

「アフリカを苦しめる『資源の呪い』とは、いったい何だろうか?」

 

このような疑問にお答えします。

 

フリーランス国際協力師の原貫太です。個人でアフリカ支援をしながら、YouTubeやブログでアフリカが抱える問題を発信しています。

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現地で難民問題の調査に関わっていた時の様子

 

アフリカに対しては「未開の地」「経済的に貧しい」とイメージを持つ方も多いですが、実はアフリカ大陸には石油や鉱物など、豊かな天然資源が眠っています。

 

その一方で、豊富な資源が存在するにもかかわらず、その恩恵を国民が受けられず、大多数の人が貧困生活を送っている国も多いのです。

 

なぜアフリカには資源が豊富に存在するのに、国民はその恩恵を受けられないのか?

アフリカを苦しめる「資源の呪い」という概念を説明します。

 

 

YouTubeでも解説しました。動画のほうが分かりやすいです

 

アフリカを苦しめる資源の呪いとは?

資源の呪いとは、石油や鉱物などの天然資源が豊富に存在すればするほど、まるでそれに反比例するかのように工業化や経済成長のスピードが遅いという、ある種のパラドックスを指す経済用語です。

 

2001年にノーベル経済学賞を受賞したアメリカの経済学者ジョセフ・スティグリッツは、このように述べています。

 

概して資源が豊富な国は、資源に恵まれない国々よりも上手くいっていない。それらの国々が経済成長するスピードは遅く、しかも格差が広がっている。私たちの予想とは正反対だ。
On average, resource-rich countries have done even more poorly than countries without resources. They have grown more slowly, and with greater inequality – just the opposite of what one would expect. (引用元:From Resource Curse to Blessing)

 

普通に考えたら、資源が豊富にあればあるほど、経済成長することができると思われます。

 

ですが、実際の世界を見てみると、まるでその資源によって呪われているかのように、逆に経済成長できないという実態があるのです。

 

このようなことから、資源の呪いは「paradox of plenty:豊富さの逆説」と呼ばれることもあるのです。

 

なぜ資源の呪いは起きるのか?

アフリカ 資源の呪い

 

なぜ資源が豊富にある国ほど、経済発展することができないのか?それにはいくつかの理由があります。

 

資源採掘以外の産業が発展しにくいから

一つは、資源に依存することによって、他の産業が育ちにくくなってしまうからです。

 

石油や鉱物など、豊富な天然資源が存在する国では、その資源の輸出だけでも十分に国の収入が賄われてしまうため、他の産業が発展しにくくなってしまいます。

 

かつては日本でも、石炭が採掘される鉱山の周辺地域では街が発展し、資源の恩恵をその周辺の地域住民も受けることができていました。

 

ですが、現在は資源を採掘するためのテクノロジーが発展しているため、このような「おこぼれの恩恵」を受けることができません。

 

また、資源採掘の技術を持っているのは外国資本のため、資源から生まれる利益の多くが外国に流れてしまうという理由もあります。

 

資源採掘に関わる一部の政治家や企業が利益を伸ばしていく一方で、資源の採掘はそれほど雇用の創出にはつながらないため、資源が豊富に存在することの恩恵を一般市民も享受することは難しいのです。

 

汚職や政治腐敗が蔓延するから

二つ目は、汚職や政治腐敗が蔓延するから。特にアフリカの場合、資源の権益がもたらす汚職や政治腐敗は大きいです。

 

資源が豊富なアフリカの国々では、資源関連の利権に絡んでいる一部の政治家や大企業には大金が入ってきます。

 

その権益を一度でも抑えた政治家は、既得権益を手放したくないため、独裁政権に陥る傾向があります。実際に、アフリカ大陸には独裁政権の国が多いです。

 

独裁政権の国が恐れるのは、他国からの侵略や民衆による反対運動です。そのため政府は、教育や医療、社会福祉よりも、軍備の増強にお金をかけることを優先してしまいます。

 

その結果として、富の再分配が起きにくくなり、貧富の格差が拡大。資源の権益に絡んでいる政治家や大企業が私腹を肥やしていく一方で、一般の市民は苦しい生活を強いられるのです。

 

実際にアフリカでは、資源採掘に絡んでいる人や組織は莫大な資産を保有する一方、国民の大多数は1日100円以下で生活していることも頻繁にあります。

 

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資源を巡った紛争が起きるから

三つ目は、資源の権益をめぐって争いが起きるから。特にアフリカの場合、資源の権益をめぐった紛争が起きることも、発展できない大きな理由になっています。

 

例えばアフリカ中央部に位置するコンゴ民主共和国は、金や銅、レアメタルなど豊富な資源が眠っていることで有名です。

 

ですが、コンゴではそれらの資源を手に入れるために、周辺国が侵略行為をしてきたり、さらには民兵同士の争いが起きたりしています。

 

資源の権益を手に入れることができれば、豊かになれる。そのためには、同じように資源を手に入れたい勢力と闘わなければならない―。

 

このように考えている国や組織が多く、紛争が勃発しやすいため、経済発展できないのです。

 

資源の呪いに苦しみ続けるコンゴ

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コンゴに暮らす子どもたち。写真提供:認定NPO法人テラ・ルネッサンス

 

アフリカ大陸の中でも、最も「資源の呪い」に苦しみ続ける国の一つが、コンゴ民主共和国です。

 

コンゴ民主共和国は、金や銅、ゴム、木材、スズ、コバルト、ダイヤモンドなど、豊富な天然資源が眠ることで有名です。

 

近年世界的に注目されているのが、コンゴ東部に眠る希少金属、いわゆる「レアメタル」の存在です。

 

僕たちが普段の生活で使用しているスマートフォンやパソコンなどの電子機器には、レアメタルの一つ、コバルトが使われています。

 

世界で産出されるコバルトのうち、約50%がこのコンゴに集中していると言われているのです。

 

その一方でコンゴは、豊富に眠る天然資源のせいで、植民地時代にヨーロッパ人が到来して以来、様々な搾取に苦しんできました。

 

中でも人類史上最悪の歴史の一つとして知られているのが、19世紀にベルギー国王のレオポルド2世によって行われたコンゴの私領地化です。

 

私領地下とはつまり、日本の面積の約6倍もある非常に広大なコンゴの土地が、レオポルド2世というたった一人の人間の土地にされてしまったということです。

 

コンゴに暮らしていた先住民の人々は、ゴムをはじめとした天然資源を採取するため、劣悪な環境で強制労働をさせられました。

 

ノルマを満たさない労働者は手首を切断されるなど、現地では様々な残虐行為も行われ、伝染病なども含むコンゴ人の犠牲者数は、この間だけでも数百万人に上ると言われています。

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Wikipediaより引用

 

コンゴには様々な天然資源が眠っているにもかかわらず、この豊かな資源から生まれた利益がコンゴの人々に還元されることはありませんでした。

 

本来であれば、その豊かな天然資源を自分たちで利用し、経済的に恵まれた国になっているべきコンゴ。

 

ですが、生活の質や経済発展の度合いを示す指標「人間開発指数」では、コンゴは常に世界最貧国の一つになっています。

 

現在でも、資源が豊富に眠っているコンゴ東部では紛争が続いており、まさにコンゴは「資源の呪い」に苦しみ続けてきた国だと言うことができます。

 

さいごに

アフリカを苦しめ続ける資源の呪いについて解説してきました。

 

資源の少ない国の日本に暮らす僕たちからすると、石油や鉱物など、資源が豊富に眠る国に対して羨ましく感じるかもしれません。

 

ですが、これまでの歴史を見ても、現在の世界情勢を見ても、資源が豊富に存在すればするほど、経済成長することが難しいというパラドックスが存在するのです。

 

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