原貫太の国際協力ブログ

フリーランス国際協力師原貫太のブログです。国際協力やNPO・NGO、アフリカ、社会問題などのテーマを中心に解説しています。

国際協力をやる意義とは?なぜ日本ではなく海外を支援するべきなのか?

フリーランス国際協力師の原貫太です。国際協力に取り組んでいると、こんな質問をよくされます。

 

「なぜ日本にも困っている人たちがいるのに、わざわざ海外を支援するのか?」

「日本にもたくさん問題があるのに、それでも国際協力をやる意義とは何か?」 

 

国際協力をやってみたい…。でも、家族や友人から「なぜ日本ではなく海外?」と質問されると、上手く答えることができない。そんな悩みを持つ人も多いと思います。

 

国際協力をやる意義とは何か?なぜ日本は海外支援をやるべきなのか?

 

この記事では国際協力をやる意義を論理的、かつ客観的な視点から5つ解説しました。

 

後半では「海外よりも日本の問題を解決しろよ」と攻撃的に批判してくる人を2秒で瞬殺する魔法のフレーズも紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

 

 

国際協力をやる意義とは?

国際協力をやる意義

 

国際協力とは、主には発展途上国が抱える貧困などの問題を解決するため、国境を超えて行う海外支援の活動を意味します。

 

しかし、日本にもホームレスや障碍者など困っている人たちはたくさんいます。それにもかかわらず、なぜわざわざ日本人の僕たちが海を越えて、他国を支援する国際協力をやるべきなのでしょうか?

 

発展途上国の現状は日本よりも圧倒的に悲惨だから

日本人の僕たちが国際協力に取り組む意義は、シンプルに発展途上国の現状は先進国の日本よりも遥かに悲惨だからです。

 

たしかに日本にも、ホームレスや子供の貧困など、様々な社会課題が存在します。それらの中には、目を覆いたくなるような状況もあるでしょう。

 

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しかし、世界レベルの客観的なデータに目を通すと、アフリカをはじめとして発展途上国の現状は、やはり日本よりも圧倒的に悲惨だというのが事実です。

 

例えば発展途上国には「絶対的貧困」と呼ばれ、人間としての必要最低限のニーズ(衣食住)すら満たすことができず、毎日大変な状況下で生活を送っている人たちがいます。

 

絶対的貧困は日本円にして一日200円以下の生活を指しますが、サハラ砂漠より南のアフリカでは実に5人に2人が絶対的貧困です。

国際協力とは 具体的に

川で汲んできた水をそのまま飲むウガンダの子供たち

 

もちろん戦後すぐの日本には「絶対的貧困」が存在しましたが、特に生活保護制度などが整えられた後は、日本から絶対的貧困はほぼ根絶されました。

 

SDGs(持続可能な開発目標)の目標一つ目でも貧困の根絶が掲げられていますし、発展途上国が抱える貧困問題を解決することは、この時代に生きる人間の一つの使命です。それだけでも、国際協力をやる意義があると言えるでしょう。

 

その他の客観的なデータからも、国際協力をやる意義を説明することができます。

 

例えば教育、医療、所得などのデータに基づき、その国の開発がどれくらい進んでいるかを示す「人間開発指数」というものがあります。

 

この人間開発指数のランキングを見ると、日本を含む先進国が上位にランクインしている一方、下位の国はそのほとんどがアフリカなどの発展途上国です。

国際協力をやる意義

人間開発報告書2019・日本語概要版より引用

 

国際協力をやる意義

人間開発報告書2019・日本語概要版より引用


人間開発指数で下位の国では、平均寿命が日本の半分近かったり、下痢などの本来なら予防できる病気で子供たちが亡くなっていたりと、日本よりも圧倒的に大変な状況が続いています。

 

同じ人間であるのに、生まれた国が違うだけでこれほど生活に差があるのが、今僕たちが生きている世界の現状です。

 

一つの客観的事実として、発展途上国に暮らす人たちの方が圧倒的に厳しい生活を送っているからこそ、国際協力をやる意義があるのです。

 

国際協力を通じて日本は世界に恩返しをするべきだから

国際協力をやる意義

 

日本自身がこれまで世界中からたくさんの援助を受けてきたから、その恩返しをするために国際協力をやる意義があります。

 

日本も第二次世界大戦に敗けた直後は、今でいう「発展途上国」の状態にありました。70年以上も前だからこそ、もしかしたら今のアフリカ以上に深刻な状況もあったかもしれません。

 

しかし、日本はその後奇跡的な経済成長を見せ、まだ終戦から20年も経っていない1964年には東京オリンピックが開催されました。日本史の歴史で「もはや戦後ではない」という言葉を習った人も多いはずです。

 

これだけ日本が経済成長できた背景には、アメリカをはじめ、世界中から援助を受けていたことがあります。

 

例えば東海道新幹線や東名高速道路といったインフラは、世界銀行からの莫大な融資によって建設されました。また、ユニセフは日本の子供たちのために約65億円、現在の価値で約1300億円もの莫大な寄付をしてくれました。

 

そういった「援助を受けてきた過去」を思い返せば、経済的に成長し、世界のリーダーの仲間入りを果たした今、日本が国際協力をやる意義というのは自然と理解できるはずです。

 

日本は発展途上国の資源や労働力に頼っているから

これまで日本は自国の産業を発展させるため、原材料や一次産品、資源の多くを発展途上国から輸入してきました。その輸入先の国々には、いまだ貧困や紛争といった問題を抱えている国も含まれます。

 

また、日本は元々は「戦後の賠償責任」という名目で特にアジア圏の発展途上国に対する国際協力を始めましたが、その背景には「日本の経済成長のため」といった目的もありました。

 

つまり、日本政府がODA(政府開発援助)によって途上国にインフラを整備し、その後日本企業が進出して、現地の安い労働力を使いながら車などの生産を行う…といった歴史があるのです。

 

これまで発展途上国の資源や労働力に頼ってきたからこそ、その恩返し的な意味で国際協力をやる意義もあります。

 

また、これからも発展途上国の資源や労働力に頼り続けるためには良好な関係を築く必要がありますが、そのためにも日本が国際協力をやる意義があるのです。

 

発展途上国の自立をサポートし、不平等なグローバルの仕組みを変えていくべきだから

国際協力をやる意義

 

発展途上国で暮らす人たちが自立するのをサポートし、不平等なグローバルの仕組みを変えていくためにも、国際協力に取り組む意義があります。

 

現在の世界の政治経済の仕組みは、決して公正(フェア)ではありません。いわゆる先進国と発展途上国、また富裕層と貧困層の間には絶大な格差が存在します。

  

「資源の呪い」という言葉があります。本来なら資源が豊富な発展途上国は、その資源を自国で活用できていれば、莫大な経済発展を手に入れられていたはずです。

 

例えば中央アフリカのコンゴ民主共和国には、スマホをはじめとした電化製品の製造に使われるレアメタルが豊富に眠っています。

 

しかし、実状を見るとコンゴは世界最貧国の一つですし、特にコンゴ東部では20年以上もの間ずっと内戦状態が続いています。

 

なぜ資源があるのに、経済発展できないのか?それは、その資源のほとんどを先進国が持って行ってしまっているからです。

 

このように、資源が豊富に存在する国は逆に経済成長できない状態を「資源の呪い」と表現することがあります。

 

この先進国と発展途上国の間にある不公正な仕組みを変えていくには、発展途上国の人たちが「自立」し、尚且つ自分たちの国のことは自分たちで決めていく「自治」が大切です。

 

ただ、現在の世界の仕組みでは、発展途上国の人たちが自分たちの力だけで「自立」と「自治」を手にするのは難しい。

 

だからこそ、海外の人間が発展途上国の人たちの自立と自治をサポートをしてあげるためにも、国際協力に取り組む意義があるのです。

 

国際協力で培った支援のノウハウは日本国内でも活かせるから

国際協力をやる意義を考えると、どうしても「海外か?国内か?」という二択で考えがちですが、これからは国際協力を通じて培った支援のノウハウを日本国内でも活かせる時が来るはずです

 

例えば2011年に東日本大震災が起きた際、これまで海外の紛争地域や自然災害が起きた地域で緊急支援に携わっていた国際協力NGOが活躍しました。

 

また、例えば海外で子どもの貧困や教育格差の問題に取り組むNGOが、支援のノウハウを日本国内の相対的貧困の問題を解決するために活かせるはずです。

 

日本は「課題先進国」と表現されることもあります。これから少子高齢化が進めば、今以上に社会課題が増えることも予測されています。

 

そんな状況だからこそ、海外の支援活動に取り組むことで、日本国内の問題を解決する糸口が見えてくる。これもまた、国際協力をやる意義の一つです。

 

 

日本よりも圧倒的に悲惨な状況にある発展途上国を助けるべきだから。

これまで世界から援助を受けてきた分、今度は日本が他国を支えるべきだから。

日本は発展途上国の資源や労働力に頼っているから。

発展途上国の「自立」をサポートし、不公正なグローバルの仕組みを変えていくべきだから。

国際協力で培った支援のノウハウは日本国内でも活かせるから。

 

この5つが国際協力に取り組む意義です。論理的かつ客観的な視点から国際協力の意義を説明する場合、この5つだけでも十分です。

 

「なぜ日本ではなく海外を支援するのか?」と批判されたら

国際協力をやる意義

国際協力に関する発信をしていると、たまに「海外よりも日本の困っている人たちを助けろよ」と、攻撃的な批判をされることがあります。

 

建設的な批判ではなく、攻撃的な批判に晒された場合、このように言い返しましょう。

 

「では、あなたは日本の問題に対して何をやっているのですか?」

 

この一言で、批判してくる人の大体は怖気づきます。なぜなら、ただ攻撃的な批判をしてくる人というのは、何も行動していない自分を自己肯定するため、他人を批判している人だからです

 

頑張っている他人をマウンティングすることで、何も行動を起こしていない自分を自己肯定しているだけなんですよね。

 

例えばNPO等に所属し、日本のホームレスや貧困問題に取り組んでいる人が、攻撃的な態度で「国際協力をやる意義なんてあるんですか?日本の問題に取り組むべきではないですか?」と言ってくることは、まずありません。

 

たとえ批判的な視点があっても、あくまでもその先には情報交換・情報共有をすることで、より良い社会を作るためにどんな協力ができるかを見据えています。

 

だから、もし周りの人が「国際協力じゃなくて日本の問題に取り組みなよ」と非難してきたら、

 

「では、あなたは日本の問題に対して何をしているんですか?私は国際協力をやる意義があると考えているから、海外を支援します。日本の問題はあなたが取り組んでください。」

 

と、ズバッと言い返してやりましょう。

 

さいごに

なぜ日本にも困っている人たちがいるのに、海外支援をするべきなのか。それを説明する「国際協力の意義」を解説してきました。

 

客観的な視点から国際協力の意義を考える場合には、今回紹介した5つだけでも十分です。

 

しかし、国際協力というのは壮大なテーマだからこそ、国際協力に取り組むひとり一人が自らの視点で「なぜ自分は国際協力をやるのか?」「なぜ日本ではなく海外を支援するのか?」といったテーマを考えることも大事です。

 

国際協力に興味のある方は、ぜひ自分でも「なぜ日本が海外を支援するのか?」「国際協力をやる意義とは何か?」考えるようにしましょう。

 

 

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