原貫太の国際協力ブログ

フリーランス国際協力師原貫太のブログです。国際協力やNPO・NGO、アフリカ、社会問題などのテーマを中心に解説しています。

なぜ戦争は儲かるのか?世界の闇「軍需産業」をわかりやすく解説

「なぜ戦争は儲かるのだろう?」

「戦争が起きると、どんな企業が儲かるのだろう?」

 

フリーランス国際協力師の原貫太です。今回はこのような疑問にお答えします。

 

なぜ、世界から戦争はなくならないのか?誰もが人生で一度は考えたことがある疑問でしょう。

 

民族や宗教の違い、イデオロギーの対立…。世界から戦争がなくならない原因は、様々にあります。

 

ですが、現代では戦争というのは一つのビッグビジネスになっており、戦争が起きることによって、莫大な利益を上げている企業があります。

 

これもまた、世界から戦争がなくならない大きな原因です。

 

戦争はなぜ儲かるのか?軍需産業や武器ビジネスの実態、さらには過去の歴史を紐解きながら、戦争が儲かる仕組みを見ていきましょう。

 

 

YouTubeでも解説しました。動画のほうが絶対分かりやすいです

 

なぜ戦争は儲かるのか?

戦争 儲かる

 

なぜ戦争は儲かるのか?

 

その理由を一言で説明すれば、世界には戦争に関わる企業や労働者がたくさんおり、戦争が起きると様々な産業に利益がもたらされるからです

 

逆に言えば、この世から戦争がなくなってしまえば、莫大な数の企業が倒産し、失業者に溢れてしまいます。

 

戦争や軍事には、たくさんの企業が関係しています。

 

兵士が使用する銃を生産している武器メーカー。

兵士が着用する軍服を生産しているアパレルメーカー。

兵士がジャングルの中で使うフェイスペイントを生産している化粧品メーカー。

戦場で乗り回す戦車や装甲車、軍用機を生産している重機メーカー。

 

このような企業は、戦争や軍拡競争が起きれば起きるほど、国家や軍隊からたくさんの発注が入り、より多くの利益を上げることができるのです。

 

戦争で儲ける軍需産業の規模

戦争 儲かる

 

軍隊で使われるものを製造したり、販売したりする産業を、軍需産業と呼びます。

 

ストックホルム国際平和研究所が公表した軍需産業に関するデータによると、武器の製造や軍事関連のサービスを提供する企業・世界トップ100社による2017年の売上は、なんと44兆2800億円。

 

戦争や軍事に関わるビジネスだけで、毎年44兆円以上もの経済効果があるということです。

 

ちなみにトップ100社のうち、42社が軍事大国アメリカの企業で、これらの企業だけでも約25兆円もの売上を出しています。

 

もし世界から戦争というものが完璧になくなってしまえば、この44兆円もの売上がゼロになってしまうのです。

 

武器の製造や軍事サービスに関わる企業で、世界で最も売上を出しているのはアメリカのロッキード・マーティン社。2017年の売上は約5兆円です。

 

ロッキード・マーティン社で働く人の数は、世界全体で約11万人もいます。このことからも、万が一世界から戦争という概念がなくなってしまえば、膨大な数の人が失業してしまうことが分かります。

 

アメリカでは軍需産業の存在によって毎年莫大な利益が生み出されており、たとえ戦争が起きていない平時であっても、多くの人たちの生活が軍需産業によって成り立っています。

 

戦争で儲ける武器ビジネス

戦争 儲かる

 

軍需産業の中でも、特に戦争によって直接的に儲けているのが武器の生産に関わる企業、いわゆる武器ビジネスです。

 

例えばアフリカのどこかの国で紛争が起きれば、政府軍や反政府軍によって、大量の武器が購入されます。

 

特にアフリカの戦争では自動小銃や機関銃などの小型武器が使われていますが、この小型武器の生産には世界92カ国1249社以上が関わっており、そのほとんどが先進国の武器企業です

 

特に世界最大の武器生産国であるアメリカでは、銃器の販売店はマクドナルドの10倍もあると言われており、たくさんの人たちが武器関連の企業で働いています。

 

戦争という「火」に「油」を注ぐのが武器ですが、戦争が起きれば起きるほど、武器企業は直接的に儲けることができるのです

 

ちなみに武器の生産に関わる企業に対しては、「死の商人」という蔑称が使われることがあります。

 

戦争によって民間人や兵士が犠牲になったとしても、世界中で戦争が起きたり、軍備を拡張したりする必要があれば、軍需産業の利益は増えていくからです。恐ろしいですね。

 

戦争で儲かることは歴史が証明している

戦争 儲かる

朝鮮戦争で破壊されたソウル市内の建物。Wikipediaより引用

 

戦争が起きると様々な産業が儲かり、経済成長に繋がるということは、過去の歴史が証明しています。

 

多くの日本人にとって馴染みがあるのは、日本史の授業で習う第二次世界大戦の終結直後に起きた朝鮮特需ではないでしょうか?

 

朝鮮特需とは、1950年から53年にかけて起きた朝鮮戦争に伴い、アメリカ軍から日本に発注された物資やサービス需要を指します。

 

第二次世界大戦で敗戦国となった当時の日本では不況が続いていました。

 

ですが、朝鮮戦争が起きたことによって、アメリカ軍から様々な物資やサービスの発注がもたらされます。

 

それによって繊維産業や木材産業、鉱業、さらには食料飲料産業など、日本の産業全体に利益がもたらされました。

 

戦争と経済成長の歴史をさらにさかのぼると、ユダヤ人大虐殺「ホロコースト」を主導したナチスドイツは、ドイツ経済の混乱から生み出されたと言われています。

 

第一次世界大戦に敗戦したドイツには、巨額の戦時賠償が求められましたが、それによって当時のドイツ経済はひどいインフレを起こし、大混乱に陥りました。

 

このような経済不況を背景に台頭したのが、アドルフ・ヒトラー率いるナチス・ドイツです。

 

ナチスは失業問題を解決するために再軍備の計画を推進し、第一時世界大戦によって生じた経済的不況を戦争で儲けることによって乗り切ろうと、第二次世界大戦に踏み出しました。

 

ひとたび戦争が起きれば様々な産業に利益がもたらされることは、過去に起きた戦争によって、少なくとも一時的には経済が潤ったという歴史を見れば理解できるかと思います。

 

戦争で儲かる仕組みを変えるには?

戦争 儲かる

 

戦争で儲かる仕組みを変えるために、僕たちにできることはあるのか?

 

残念ながら、軍需産業の顧客は基本的に国家になるため、僕たちのような一般の消費者ができることは限られています。

 

ですが、企業には消費者だけではなく、企業活動を行うための資金を拠出してくれる投資家や銀行も関わっています。

 

特に銀行が持っているお金の出所は、元はと言えば僕らのような預金者です。戦争で企業が儲かる仕組みを変えるためには、お金の流れに目を向けてみましょう。

 

世界のどこかで戦争が始まりそうであれば、利益になると判断した投資家や銀行が、軍需産業にお金を投資するかもしれません。

 

だとすれば、お金の流れを変えること、言い換えれば自分たちがお金を預けている銀行が、そのお金を何に投資しようとしているか監視し、問題があればその銀行にお金を預けるのをやめるということが、僕たちにできることのひとつです。

 

例えばイラク戦争が起きた時には、アメリカは戦費をまかなうために大量のアメリカ国債を発行しましたが、それらアメリカ国債の多くを購入していたのは日本政府や銀行でした。

 

これはつまり、僕たちが銀行に預けたお金や国に納めていた税金が、アメリカ国債を通じてアメリカの軍需産業に流れ込んでいた。

 

さらに言えば、間接的にではありますが、僕たちのお金がイラク戦争を長引かせることに繋がっていたと考えることもできます。

 

どれだけ戦争反対を訴えていたとしても、間接的にではあれ自分たちのお金が戦争を遂行するための資金に流れていたとしたら、それは戦争を支持していることと同じです。

 

戦争を引き起こすことに繋がるようなお金の流れを変えていくためには、まずは僕たち自身が銀行への預金や国に納めた税金が、何に使われているかに意識を向けなければなりません。

 

例えば世界の紛争で使われていたクラスター爆弾を作っていた企業は、日本の銀行を含む世界の金融機関から3.2兆円もの融資を受けていました。

 

これに対して世界中のNGOや市民団体が声を上げた結果、三大メガバンクを含む日本の銀行など、多くの金融機関がクラスター爆弾を製造する企業への投資や融資を禁止することになったのです。

 

そして、2010年にはクラスター爆弾禁止条約が発効され、この武器ビジネスは、世界的に撤退せざるを得ない状況に追い込まれました。

 

自分たちのお金の流れに関心を持った市民社会が声を上げた結果、戦争で儲ける武器ビジネスを撤退させることが出来たのです。

 

これはあくまでも一例に過ぎませんが、どんな社会問題であれ、その社会問題が存在することによって儲けている企業や組織が存在する場合が多いです。

 

そういった企業や組織が、どこからお金を得ているのか、そのお金の流れに着目する。

 

そして、自分たちが銀行に預けているお金や国に納めている税金が軍需産業に流れてしまってはいないか意識を向けることが、僕たちにできることの一つです。

 

さいごに

軍需産業や武器ビジネスの実態を解説しながら、なぜ戦争は儲かるのかを見てきました。

 

戦争でも受けている企業や政府というのは、裏で世界を牛耳っているような存在です。あまりにも大きな話で、無力感を覚える方もいるかもしれません。

 

ですが、人は微力だとしても、無力ではありません。

 

まずは世の中の問題を知ることから、世界を変えていきましょう。原貫太のYouTubeチャンネルもぜひ観てもらえたらと思います。