「2軸クロールってなんだろう?1軸クロールとは何が違うんだろう?」
「2軸クロールにはどんなメリットがあるのだろう?」
こんな疑問を解決します。
50mクロールの生涯ベストが24秒20の原貫太です。今回の記事では、近年多くのトップスイマーが導入する「2軸クロール」をわかりやすく解説します。
2軸クロールに興味のある人は、この記事を読んでもらえれば2軸クロールの基本的な知識を理解できるはずです。
2軸クロールとは何か?
2軸クロールとは、左右の肩関節・股関節を結んだ2つの軸を基準にしながら泳ぐクロールを指します。
日本では古くから1軸クロールが主流とされてきましたが、近年はクロールの泳法も研究が進んでおり、今では2軸クロールで泳ぐスイマーが増えているようです。
1軸クロールとの違いは?
2軸クロールでは体の右肩・右股関節と左肩・左股関節にある2本の軸を基準に泳ぐのに対して、1軸クロールでは頭の頂点から体の中央を貫く1本の軸を基準に泳ぎます。
僕がスイミングスクールでクロールを習った時は、2軸クロールではなく1軸クロールを教えられました。
「頭のてっぺんからお尻の穴にかけて、1本の『串』が通っているイメージを持って泳ぎなさい」こんな指導をされた人も多いのではないでしょうか。
僕が高校生スイマーだった時(2010年~2012年)、2軸クロールはすでに注目され始めていましたが、水泳部の友人はみんな1軸クロールで泳いでいたと思います。
しかし近年は、効率よく、楽に泳ぐなら1軸より2軸クロールがいいと言われるようになりました。
★関連記事★
クロールを速く泳ぐコツは?50mクロール24秒の元スイマーが解説 - 原貫太のブログ
2軸クロールの特徴は?
体の左右、2本の軸を基準に泳ぐ2軸クロールの特徴は、「ローリングしない」「S字プルではなくI字プルで水を掻く」ことにあります。
体をローリングしない
「クロールを泳ぐときは体をローリングするべき」と考えている人は多いでしょう。
たしかに体の中心に軸を置く1軸クロールでは、その軸を基準に体をローリングし、手が入水する位置は頭の先になります。
しかし、2軸クロールでは体の左右に2本の軸を作りながら泳ぐため、ローリングはしません。手の入水位置は頭の先ではなく、それぞれの肩の延長線になります。
現役時代、ストロークを少しでも長くするためローリングを意識していた自分としては、体をローリングしない2軸クロールの泳ぎ方を知った時は衝撃でした。
S字プルではなくI字プル
2軸クロールでは、体の左右に通した軸と平行に、後ろに真っすぐ手を掻くI字プルで泳ぎます。「ストレートプル」と呼ばれることもありますね。
1軸クロールでは、水に入水した手を胸とおなかの下を通すようにかくS字プルで泳ぎます。僕が初めてクロールを習った時も、S字プルを教えられましたね。
S字プルとI字プルはどちらが速く泳げるか長年論争されてきましたが、2016年に筑波大学や東京工業大学の研究チームが「S字ストロークは効率が良いため中長距離向き、I字ストロークは速度が出るため短距離向き」という研究結果を発表しています。
2軸クロールのメリットは?
近年はトップスイマーの多くも導入し始めている2軸クロール。どんなメリットがあるのでしょうか?
体幹がぶれにくいため、水の抵抗が生じにくい
2軸クロールでは、体をローリングせず2本の軸を基準にして泳ぐため、体幹がぶれにくくなります。
そのため水の抵抗が生まれにくく、結果としてスピードも上がりやすいのです。
体をローリングしながら泳ぐ1軸クロールでは体幹がぶれやすくなるため、水の抵抗も生じやすいと言われています。
水の抵抗が増えれば前に進むためにパワーをそれだけ必要としますし、タイムも伸びにくくなります。
立ったまま手を前方に伸ばし、1軸クロールと2軸クロール、それぞれ泳ぐ真似をしてみてください。
体をローリングしながら腕を回す1軸クロールでは腰やお腹が左右にぶれてしまいがちですが、2軸クロールでは体幹も固定しやすいことが感じられるでしょう。
安定したキックを打ち続けられる
2軸クロールでは、体をローリングしないため体幹がぶれることが少なく、キックも安定しやすくなります。
また2軸クロールでは体を安定させやすいため、息継ぎもスムーズにすることができます。
呼吸時にキックが止まってしまう悩みを持っている人も多いでしょう。僕は中学生の時、何度も「呼吸している時もキックを止めるな」と指導されていました。
しかし、従来の1軸クロールでは体幹がぶれやすいため、これがキックが止まる原因になります。特に呼吸時は体を大きくひねる必要があるため、キックが止まりやすいです。
その点、2軸クロールは体をローリングしないため軸がブレにくく、安定してキックも打ち続けやすいのです。
まとめ
2軸クロールについて解説しました。
水泳はテクニックがものを言うスポーツです。自らの泳ぎ方を研究し、効率の良い泳ぎ方を身に着けることがベストタイムを更新するためには欠かせません。
もっと楽に、速くクロールを泳げるようになりたい人は、ぜひ2軸クロールを研究してみてくださいね。