小学生の頃、約2年間不登校を経験した原貫太(@kantahara)です。
小学校4年生の時は、友達としょっちゅう喧嘩していたことが原因で、教室に入れない日々が続きました。5年生では一度立て直したものの、6年生になってからは担任と馬が合わず、教室に足を運んだことは数えるほどしかありません。
今となっては本を出版したり、数百人の前で講演をしたり、アフリカで働いたりと、社会からもある一定の評価を貰える人間になりましたが、そんな僕も小学生の時は、「不登校児」だったんです。
そんな体験談を話すとかなりの割合で驚かれますが、意外と社会の最前線で活躍している人の中には、元々不登校だった人が多いんですよ。
僕の不登校時代の経験が、学校に行きたくないと感じている子どもたちや、不登校の子どもを抱える親御さんの力になれば幸いです。
- 「不登校」は小学校3年生から始まった
- 4年生で不登校に。教室に入れなくなった。
- 6年生は完全な不登校。林間学校も卒業式も出なかった。
- 「精神科に診てもらった方がいい」とすら言われたけど
- 小学校2年生の時、すでに”変わった子”と言われていた。
- 中学生では「元不登校」なんか匂わせないほど、楽しい毎日。
- 今ではアフリカで働いたり、本を出したり、テレビに出たり。
- 不登校は悪いことではない。自分に”価値”がある証拠くらいに思えばいい。
- さいごに
「不登校」は小学校3年生から始まった
僕の「不登校」は、小学校3年生から始まりました。
「不登校」と、「 」(括弧)を付けたのには理由があります。それは、最初から学校に登校できない「不登校」になったわけではなく、学校には足を運ぶけれど、教室の中に入れない「不登校」から始まったためです。
小学校3年生の夏だったでしょうか。昼休み、友達数人とサッカーをしていた時のこと。ひょんなことが原因で喧嘩が始まり、「僕VS他全員」で口論する状況が生まれました。エスカレートしたらいじめにも繋がりかねない状況ですが、まぁこれくらいのこと、小学生だったらよくある光景ですね。
喧嘩の原因ははっきりと覚えていませんが、多分、僕がワガママな振る舞いをしたか、それを気に入らない子がいたか、そんな感じの原因でした。
それまでは他の子どもたちと何ら変わることなく、毎日教室で授業を受けていた僕ですが、その時ばかりはどうしてか、休み時間が終わっても教室に戻れなかったんです。代わりに、廊下をフラフラしたり、空き教室でダラダラしたり。
思い返せば、これが僕の不登校生活の始まりだったかもしれません。
4年生で不登校に。教室に入れなくなった。
4年生になると、本格的(?)な不登校になります。
僕は小学生の頃から目立ちたがり屋で、自分の思う通りにコトが進まないと、気が済まないタイプの人間でした。
そんな僕が4年生に進級し、同じくらい目立ちたがり屋の男の子と一緒にクラスになったんですね。
彼とはしょっちゅう喧嘩をしました。それが大きな原因となり、上履きのまま学校を飛び出したことが何度も。教室には入れなくなり、代わりに保健室や図書室に通う日々が始まります。
時には、朝から学校に行く気が全く起こらずに、一日中家に引きこもっている日もありました。完全な不登校ですね。
そうそう、こんなこともありました。教室に入れず廊下をぶらぶらしていたら、担任の先生が無理矢理僕の手を掴んで、教室に引っ張り入れたんです。僕は嫌だったから泣いていたし、30人以上のクラスメイトたちがその様子を呆然と眺めていました。
恥ずかしさと屈辱で、その時は死にたくなりましたね。こんな経験もあったからこそ、「教室に僕の居場所はない」と思い、不登校はエスカレートしていきました。
6年生は完全な不登校。林間学校も卒業式も出なかった。
4年生で本格化した不登校生活ですが、5年生の時は恩師とも呼ぶべき素晴らしい先生と出会えたことで、少しずつ教室に入れるようになりました。時々、友達と喧嘩した時なんかには、サボっていたこともありましたけど。
が、6年生になると、僕は完全な(?)不登校生になります。
一番の原因は、担任の先生との不仲です。僕は小学生ながら、自分が納得いかないことは許せない性格で、それなりに生意気な人間でした。視点を変えれば、”自我の強い子”だったかもしれません。
しかし、6年生で担任になった先生は、相手が小学生でもお構いなくズケズケ物申すタイプの人だったため、今度は先生としょっちゅう喧嘩することになりました。
そして、先生と喧嘩ばかりしていれば、当然クラスメイトとも馴染めないようになります。いつの間にか、僕は不登校児になっていました。
6年生で学校に通った思い出は、ほとんどありませんね。夏の林間学校も出なかったし、もちろん社会科見学なんかにも不参加。しまいには、みんなと同じ卒業式には出席せず、校長室で”一人”卒業式をやってもらっていました。
「精神科に診てもらった方がいい」とすら言われたけど
6年生で不登校になった時、小学校のとある先生から「精神科に診てもらった方がいい」と言われたことがあります。
頭おかしい、って思われたんでしょうね。「どうして周りの子どもたちみたいに、普通に授業が受けられないの?」「どうして周りの子どもたちみたいに、普通に学校に通えないの?」と。
言われるがまま、後日、僕は母親と一緒に大学病院の精神科に足を運びました。そこで先生に言われたこと。
「何ら問題ない。むしろ、凄くしっかりした子だ。」
小学校2年生の時、すでに”変わった子”と言われていた。
僕が不登校になり始めたのは小学校3年生から。でも、その前の2年生の時。当時の担任から、こんなことを言われていたらしいです。
「この子は自我がしっかりしている。心の成長も早いから、今の学年にいることが可哀想。もっと高学年の人と付き合わせるべき。」
この話は、中学生くらいになった時に母親が教えてくれました。良い意味で、”変わった子”と思われていたそうです。
たまたま同じ時期に、たまたま同じ地域に生まれただけで、性格も価値観も異なる30人以上の子どもが狭い部屋に閉じ込められるのが、小学校です。そして、担任の先生を選ぶ権利もない。
そう考えれば、クラスに馴染めない子どもや、学校に行きたくない子どもが出てくるのは、当然のこと。それにもかかわらず、「周りの子と同じように振舞えない=悪いこと」と思われてしまうのは、どう考えてもおかしい話ではないでしょうか。
中学生では「元不登校」なんか匂わせないほど、楽しい毎日。
小学生で2年間も不登校になったため、母からは「中学生になった後も、何かのきっかけでまた不登校になってしまうのではないか…」と心配されていました。
僕は中学受験をしたため、地元ではなく、電車で約40分かかる私立中学に進学しました。環境が変わった時、それにうまく適応できずに不登校になる子どももいるため、母はそれを心配していたのかもしれません。
が、中学生になってからは、「元不登校」なんか匂わせないほど楽しい毎日が始まります。
男子校というサバサバした環境が正解だったのかもしれませんが、入部した水泳部の活動に没頭していったことが良かったのだと思います。もちろん、時には友達と喧嘩することもありましたが、同じように受験を乗り越えてきた中学生の集まりのため、お互いに冷静になって話し合ったり、仲直りしたりすることができていましたね。
今ではアフリカで働いたり、本を出したり、テレビに出たり。
小学生で不登校になった時は、「この子は変わっている。」「どうして他の子どもたちと同じようにできないの?」「精神科に診てもらった方が良い。」とまで言われた僕ですが、環境の変わった中学校・高校では、何ら問題なく学生生活を過ごせました。
高校卒業後は早稲田大学に進学し、このブログの大きなテーマでもある「国際協力」にも出会い、アフリカの難民支援にも携わりました。有難いにことに、本も出版したり、テレビで特集を組んでもらったこともあります。
不登校は悪いことではない。自分に”価値”がある証拠くらいに思えばいい。
正直、不登校だった時は、自分自身に絶望しかけたこともありました。どうして僕は他の子どもと同じようにはなれないのか。どうして僕は、変わっていると思われてしまうのか。
でも、あれから10年以上たった今では、不登校だった経験すらも自分の自信に繋がっています。
社会一般的に「不登校は悪いこと」なんて思われがちですが、僕はそんな風には思いません。むしろ、少数の人しか経験できないことだし、不登校になる人には「他の人とは違う」価値があるとすら思います。
だって、人の”価値”というものは、他の人と”違う”からこそ、生まれるものだから。
社会の最前線で活躍している人の中にも、元引きこもりや元不登校の人はたくさんいます。家入一真さんなんて、中学生では登校拒否・引きこもりを経験し、高校一年生ではいじめに遭って中退しています。つまり、最終学歴は中卒。
それでも、今ではcampfireをはじめ、日本の事業家として最先端を走っています。
中二から登校拒否、引きこもりになってしまい全てを拒否する僕に、「こんな本があるよ」「こんな作家が今度展示をするよ」と機会を与え続けてくれた親に感謝をしている。親や大人がやるべきことは、自分の人生や価値観を押し付けることではなく、機会を与え続けることなのだと、親から学んだ。
— 家入一真 Kazuma Ieiri (@hbkr) 2018年3月18日
さいごに
不登校を一度経験すると、「変な烙印を押されてしまうんじゃないか」「このままずっと、社会復帰できないのではないか」と不安になってしまうかもしれません。
でも、そんなことは決してありません。小学生で不登校だったけど、中学生・高校生では充実した毎日を送り、大人になった今もこうしてブログを書けている僕が、そのことを証明しています。
不登校の子どもを抱える親御さんも、子どもの将来を考えると、不安になったり、焦ったりするかもしれません。でも、子どもが不登校になりそうな時、不登校になった時、親がするべき対応は「まずは気持ちに寄り添い、味方になってあげた上で、学校以外の『機会』を提供してあげること」です。
(関連記事:小学生で学校行きたくないと思った僕がした3つの行動。不登校は悪いことではない。)
僕の不登校の体験談が、これを読んでいる誰かの背中を支えられれば幸いです。