水泳の練習って、マジでキツイですよね。それなのにタイムが伸び悩むスランプに陥ると二重苦です。
僕も現役選手だった時、高校2年生の夏にスランプが訪れました。水泳部でキツイ練習を毎日こなしてきたのに、タイムは伸び悩んでいる。
当時はメドレーリレーのレギュラーから外され、人生初の「補欠」を経験しました。その前年には1年生ながら、インターハイに出場していたにもかかわらず。
今回の記事では、僕がスランプに陥った体験談を紹介しながら、タイムが伸び悩むキツイ時期、いわゆる「水泳のスランプ」をどうやって乗り越えるかを紹介します。
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タイムが全く伸びない…初めての水泳スランプ
中学一年生で水泳部に入り、2年間で50m自由形のタイムを12秒も伸ばすなど、僕の水泳ライフは順調な滑り出しを見せました。
高校生に上がってからもタイムは伸び続け、一年生ながらメドレーリレーのアンカー泳者(自由形)として、2010年の沖縄インターハイに出場しています。
しかし、そんな順風満帆に思えた僕の水泳ライフにも、初めてのスランプが訪れました。
高校2年生の夏です。シーズンで一番大切な県大会、そのメドレーリレーの自由形泳者を決める選考で、僕は友人のS君にコンマ数秒で負けてしまいました。
敗因はいくつかありますが、簡単に言えばS君がみるみるベストタイムを更新していた一方で、僕のタイムは高校一年生の時から大して伸びていなかったからです。
結果、S君が加わることになったメドレーリレーのチームは関東大会にコマを進め、僕は人生初の補欠として参加することに。プライドが傷つきましたね。
水泳のスランプは、肉体的にも精神的にもきつい
経験者ならわかると思いますが、水泳のスランプってマジできついです。
ベストタイムは全然伸びない。それなのに、練習は超きつい。泳いでいる時も「何のために練習しているんだろう」と憂うつな気分になる…。
サッカーや野球と違い、水泳は個人スポーツです。自分一人の努力やメンタルが、そのままパフォーマンスとして現れます。
だからこそスランプに陥ったら、最後は自分で何とかしなくてはなりません。競技としての特性上、他のスポーツと比べても水泳のスランプは、きついんです。
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水泳のスランプを乗り越える5つの方法
タイムが伸び悩み、練習にも身が入らない。そんなスランプを乗り越えるために、水泳選手は何をすればいいのか?
当時の経験も踏まえながら、5つ紹介します。
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一流スイマーもスランプになると理解する
水泳のスランプを乗り越えるためにできること、一つ目は「一流スイマーもスランプに陥ると理解する」です。
僕が水泳の現役選手だった頃は、北島康介さんが北京オリンピックで2種目金メダルを獲得するなど、日本水泳界の第一線で活躍していました。
そんな北島選手であっても、何度もスランプを経験しています。「チョー気持ちいい」の名言も飛び出たアテネ五輪後はモチベーションが保てず、翌年の日本選手権では敗北。
その後、入院するほどの病気や怪我も経験しました。
一流の水泳選手になれば、メディアからも追いかけられます。スランプに陥っていたらスポーツ新聞にも叩かれるでしょう。ほとんどの水泳選手には想像もつかないほどのプレッシャーを感じているはず。
そんな一流スイマーであっても、スランプに陥る時があるのです。だから、安心しましょう。そして彼らがどうやってスランプを乗り越えたのか、学びましょう。
僕自身もスランプに陥ったり、モチベーションが上がらなかった時には、北島康介さんの本を読んでいましたね。
水泳は個人スポーツ。スランプの時こそ周りを意識しない
水泳のスランプを乗り越えるためにできること、二つ目は「水泳は個人スポーツ。スランプの時こそ、周りを意識しない」です。
水泳は己との勝負です。レースでは8人や10人で競いますが、陸上と違って身体がぶつかり合うこともなければ、サッカーや野球と違いチームメンバーと連携する必要もありません。
そう、水泳は個人スポーツです。スランプに陥った時こそ、周りを意識し過ぎないようにしましょう。
僕がスランプを経験している時「水泳部のみんなはタイムを伸ばし続けている…どうして僕はタイムが伸びないんだ…」「S君は今日も絶好調だ…羨ましい…」など、やたら周りを意識していました。
でも、周りを意識したって、自分のパフォーマンスには影響しませんよね。もちろん仲間と励まし合ってキツイ練習を乗り越えたり、レース前に互いを鼓舞し合ったりすることはありますが、それでも最後は自分自身との勝負です。
水泳は個人スポーツ。周りを見渡すのではなく、自分の内面と向かい合いましょう。
”元”水泳選手にスランプの体験を聞く
水泳のスランプを乗り越えるためにできること、三つ目は「”元”水泳選手にスランプの体験を聞いてみる。」です。
僕はスランプに陥った時、水泳部の先生のみならず、自分のお父さんにも相談していました。
僕のお父さんは元水泳選手です。それも、僕なんかよりもずっと速かった。ジュニアで日本代表になったり、大学生で日本選手権に出場したりしています。
そんな父親も、現役水泳選手だった時にはスランプを経験しています。だからこそ、自分がスランプに陥った時には冷静なアドバイスをしてくれました。
時には「スランプに陥ったことさえ、水泳を引退した後はいい思い出になるんだよ。」といったアドバイスも。
僕自身、水泳選手を引退した後にこの記事を書いていますが、当時を思い返すとスランプに陥った日々さえもいい思い出です。「自分なりにでも頭を使い、あの逆境を乗り越えようとしていたのが懐かしいなぁ」と思います。
水泳のコーチや先生は、そのほとんどが元スイマーです。きっとスランプの一つや二つ経験しているでしょう。冷静かつ建設的なアドバイスがもらえるはずなので、今スランプに苦しんでいる選手の皆さんはぜひ相談してみてください。
僕自身も現役選手の頃の体験談を書いているので、参考にしてみてくださいね。
➡50m自由形のタイム37秒8だった僕がたった2年で水泳全国中学に出られたわけ - 原貫太のブログ
陸上トレーニングにも力を入れる
水泳のスランプを乗り越えるためにできること、四つ目は「水泳だけでなく、陸上トレーニングにも力を入れる。」です。
水泳選手が行うトレーニングのうち、陸上での筋トレやストレッチを「ドライランドトレーニング」と呼びます。
「速くなるためにはひたすら水中での練習を積めばいい」と思い込んでいる人がいますが、効率的な泳ぎ方を身に付けるためにも、筋力を増大するためにも、水泳選手にドライランドトレーニングは必須です。
スランプに陥っている時、ダラダラ水中練習をこなしているだけでは精神的にも肉体的にもしんどい。僕はタイムに伸び悩んだり、モチベーションが上がらない時は、ドライランドトレーニングにも力を入れるようにしていました。
スランプに陥る原因の一つに「怪我」がありますが、ドライランドトレーニングは怪我予防のためにも有効です。怪我予防のためにも、スランプに陥らないようにするためにも、陸上トレーニングにも力を入れましょう。
自分の泳ぎ方を見直してみる
水泳のスランプを乗り越えるためにできること、最後は「自分の泳ぎ方を見直してみる」です。
無駄に肩に力が入っていたり、ボディポジションが沈んでいたり、水の抵抗が多くなるフォームになっていたりと、間違った泳ぎ方を練習中から続けていると、レースでもその泳ぎ方が出てしまいます。
また、間違った泳ぎ方を続けることは、怪我のリスクにもつながります。もちろん、怪我をすれば練習ができなくなってしまいますし、悪化すれば水泳をやめなければならなくなる可能性もゼロではありません。
スランプに陥った時は、ちょうどいい機会だと思い、今の自分の泳ぎ方を見直すのもいいでしょう。以下の記事も読んでみてください。
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スランプは水泳選手の誰にでも訪れる。頭を使って乗り越えよう
水泳は個人スポーツだからこそ、スランプに陥ると顕著に結果が表れてしまいます。ただでさえ苦しい練習、タイムが伸びずにモチベーションも上がらなければ、もっと苦しく感じるはずです。
僕もスランプを経験しましたが、今思い返せば「スランプは水泳選手の誰にでも訪れるもの。もっと前向きに、頭を使いながら乗り越えるべきだった」と思います。
逆に言えば、スランプをどう乗り越えるかが、水泳のタイムを継続的に伸ばすためには欠かせません。そして、結果的に他の選手との「差」に繋がっていきます。
今スランプに苦しんでいる水泳選手のみなさん、参考にしてくださいね。