これまでたくさんの方から『世界を無視しない大人になるために 僕がアフリカで見た「本当の」国際支援』の感想をもらいましたが、昨日、これまでで一番長く、そしてまた深みのある感想を、20代女性の方からもらいました。
許可をもらった上で掲載させて頂きます。もっと、もっとたくさんの人に届けたい。
※強調箇所は原による加筆
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この本は、私に、世界で今も苦しい思いをしている人たちの現実を変えるために、きちんと行動しようという決意をさせてくれました。本当にありがとうございます。
就職を前に、今後世界で紛争で苦しむ人、戦争で苦しむ人をなくそうと、そのために生きていこうと決意した時期だったこともあり、原さんのこの本に最後の大きな大きなひと押しをされた気持ちでした。でも恥ずかしながら、自分のそうした意識は漠然としていたので、自分はまずどんな活動をすべきか、本書から(また本書を通して知ったオフィシャルブログから)教えて頂きました。
アムネスティ・インターナショナルさんにて、コンゴの紛争が先進国の消費問題を孕んでいることは知っていたのですが、その問題の大きさに、絶望してしまって、できることはないのでは…と思っていました。しかし、本の中でも、またブログの中でも、「何をしてほしいか・すべきか」を具体的に書いてくださっており(まずはこの本の存在を伝える、感想を伝える、関心を持ち続けるために周辺国へいこう、NGOに連絡を取ろうなど)、それが何よりも自分にパンチを食らわせてくれました。本当にありがとうございました。
原さんのことは、バングラディシュのストリートチルドレンの活動で、以前から存じて上げておりました。しかし、ウガンダでのご活動のことはこの本で初めて知りました。とりわけ、テラ・ルネッサンスさんでのインターン前の葛藤や、日本に戻ってからの意識が薄れていく感覚の記述、日本の生活の方が本当は心地よいといった記述は、国際協力を目指した方のお話からは(あまり)聞かれないような部分であり、そして、恥ずかしながら自分に(同じと申し上げるには本当に失礼な程度ですが)思い当たる節があり、だからこそ、自分の将来に対する決意を促してくれました。こうした行動を起こされる方は、そうした葛藤はあまりないのではないのかと、勝手に思い込んでいた部分がありました。本当に失礼で申し訳ございません。
また、「本当の支援の形」として、テラ・ルネッサンスの活動やその哲学を書いて下さっており、一体何をしているのか、何故しているのかがとても分かりやすかったです。
最後のメッセージとして、「伝える」ことを強調されており、はっとさせられました。私は、いつも、こうした問題を知っても、あまり周りの人に伝えることができないでいます。たいして行動できていない自分なんかが言っても…と思ってしまう部分がありました。
この本を書いて頂いたことへ、感謝しかございませんが、どうしてこんなにも感謝をしているか、少しだけ書かせて頂きます。
私は2019年の春に院を卒業します。現在、就職活動をすすめる中で、二つの選択肢で迷っています。一つは国語科の教師として、日本から戦争を二度と起こさせない、今後起こさないような日本の教育をつくっていくこと。もう一つは、もう少し直接的な形で、国際協力に関わること、とりわけ紛争など人からの暴力に苦しむ方の力になること、です。
実は、教育の機会を誰にも保証したいと、教育という分野で、困っている方の助けになれたら、と、もともと教育の国際開発を志して(正確には国連を志して)、今の大学に進学しました。
大学一年生の時、学生団体で、教育のプログラムを行いにカンボジアの農村を訪れました。そこで出会ったのは、その日食べるものがないというお腹が減っている子どもたちに対し、万全の食料を持った自分たちが”教育”を行うという気持ち悪さでした。教育では貧困は救えない、正しく言えば、今目の前で本当にお腹をすかしている子達の力にはなれないし、今目の前の紛争で傷つく人のためにはなれないし、暴力の前にそれは無力だということでした。(少し語弊がございますが、私は教育に価値がないというつもりでは全くありません。その価値を信じているから、大学院でも研究を続けています。)
恥ずかしながら、私はその経験をした時、原さんのように、今その方たちのために、できることをしよう、と考えることができませんでした。行動できる方を、心から尊敬していました。一方で、私自身は、知識とお金と技術がなければ、今はまだ自分にこうした問題を解決できる力はないと考えました。そして、国内でできることを探し、この分野の問題に取り組むNPOでのインターンをしたり、個人的には寄付をしたり、とその時その時できることを行ってきました。
学生である自分は、今はできる範囲のことをすべきだ、勉強をすべきだという考えに基づいて、日本でできることに重きをおいてきたこと、今となっては、その道筋に後悔はなく、その中で出会った人、とりわけ今の教授からは本当に大切なことを学んでいます。でも、そうして海外から離れる中で、「日本でもできることはある、やるべきこと、取り組むべき問題はある(もちろん、これは事実、実際にそうだと今でも思っています)」「自分の身近な人と幸せな生活をしたっていいじゃない」と国際開発から意識も足も離れるようになっていったことは、事実です。
現在有している問題意識を元に、一国語科の教師としてやりたいことはあります。そしてそれは、本当に大切な仕事だと思っています。とりわけ、民主主義や、公共の場での言葉が、少しずつ破壊されつつある日本の今の状況においては。そこに一生をかける価値がある仕事があると、本気で思っています。
一方で、それはいささか遠回りすぎることに、引っ掛かりを感じる自分もいます。何故今この瞬間にも、人間の暴力によって、苦しむ人がいるのだろうと、悔しくなる自分がいます。(とはいえ、実際、私は原さんのようにすぐに行動する勇気がなかったのですが…)
私は今後、どんな風にこの分野に関わっていくかについて、とても迷っています。国際協力という仕事はかなり真剣に考えていたので、その入り口と方法が多様であることも(一応は)存じています。再来年の4月から、ソーシャルビジネスを行う民間企業で働こうか、紛争解決修士号の大学院のお金を貯めるため、まずは教師として食べていくか、既述したように、国語教師としてやりたいことを貫いてゆくか。
しかし、どのような道のり・方法であっても、何かしらの形でこの分野に関わっていきたいと考えています。まずは、この本を周りの方に紹介することと、現場に行くアプローチを考えることから始めようと、具体的に活動できることはあると、この本にパンチを食らわされました。とりあえずどこかの民間企業に行って修行をして・・・ではなく、自分もこうした活動に関わろうと、そのために活動しようと、最後のひと押しを下さいました。
本当に、こんな風に影響をされた一人間がいたことを、心からの感謝とともに、お伝えしたかったのです。現在の自分の研究と勉強も、本当に本当に本当に遠回りでありながら、しかし自分の目指す社会に少しでも必要なことだと考えておりますので、今はまずここに集中しますが、取り急ぎ、コンフロントワールドのサポーターにもならせて頂きます。そして、まずはこの本の存在を周りの方に伝えていきます。
本当にこのような本を出版して下さって、ありがとうございました。