原貫太オフィシャルブログ

アフリカでの活動から起業/仕事論、海外生活のノウハウまで。※本ブログの内容は個人の見解によるものです。

ストリートチルドレンの現状、生活、原因、問題点…話も聞いた

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経済成長著しい発展途上国の都市部に足を運べば、必ずと言って良いほどストリートチルドレンと出会います。

 

これまで僕は、アジアやアフリカの発展途上国に何度も足を運んできましたが、ストリートチルドレンを目にしない国の方が珍しいと言っても、過言ではありません。

ストリートチルドレン
バングラデシュ首都ダッカで撮影したストリートチルドレンの男の子

 

 

この記事を読んでいるあなたは、「ストリートチルドレン」という言葉を聞いてどんなイメージを持つでしょうか?

 

多くの人は、「ストリート」「チルドレン」という言葉から連想できる、「路上に暮らす子ども」や「親がいない子ども」などを思い浮かべるかもしれません。が、ストリートチルドレンは、必ずしも帰る家がなかったり、親がいなかったりというわけではないのです。ストリートチルドレンの中には、家族と一緒に路上で暮らす子もいれば、家族が暮らす家があって時々そこに帰ったり、夜だけ家に帰るという子もいるのです。

 

一言でストリートチルドレンといっても、国や地域、それぞれの環境によって、様々な立場に置かれた子どもたちがいるのです。僕がこれまでに出会ったストリートチルドレンのストーリーを織り交ぜながら、ストリートチルドレン問題を徹底解説します。

 

 

 

 

ストリートチルドレンの定義

ストリートチルドレン

 

そもそもストリートチルドレンとは、どのような子どもたちを定義するでしょうか。UNICEF(ユニセフ/国際連合児童基金)によれば、ストリートチルドレンとは

 

  1. 貧困家庭から家計を支えるために路上に働きに来ている者
  2. 家族を離れ、あるいは失い、子どもだけで生活をしている者
  3. 家族全員が路上に暮らしている者

 

定義されています

 

 

他にも、ストリートチルドレンの定義には

 

自分の家族から離れて生活し、ストリート・空き家などが広義の意味での実質的な家となり、成人による保護や監督を受けていない状態にあること。(1982年 ジュネーブ国際子どもカトリック会議)

 

本来ならば、大人たちから十分に保護され、監督されるべきである年齢であるにもかかわらず、家を離れて路上で暮らしている子どもたちのこと。(『国際協力の地平-21世紀に生きる若者へのメッセージ』)

 

などがあり、様々です。現在までに、ストリートチルドレンの統一された定義は存在しません。

 

 

ストリートチルドレンの人数、世界全体では1億人以上

ストリートチルドレン

ストリートチルドレン。バングラデシュで撮影。

 

現在、世界には1億人以上のストリートチルドレンがいると考えられています。

 

その一方で、ストリートチルドレンの定義は様々であること、またストリートチルドレンは場所を変えながら転々と生活することから、正確な人数を把握することは難しいと言われています。

 

世界、とりわけアフリカやアジアの開発途上国では人口は増加傾向にあり、また都市化も急激に進んでいく中で、ストリートチルドレンの人数はさらに増えていくでしょう。

 

 

ストリートチルドレンは男の子ばかり?

ストリートチルドレン

ストリートチルドレン。ルワンダで撮影。

 

ストリートチルドレンの大半は男の子であると言われています。実際、僕がこれまで出会ってきたほとんどのストリートチルドレンが男の子でした。

 

その理由としては、以下4つが挙げられます。

 

①家庭での役割が少なく出稼ぎが可能だから

ストリートチルドレン

 

アフリカやアジアの途上国では、文化や伝統から、家庭の仕事は女性(女の子)が担当するものと信じ込まれている地域も存在します。そのため、例えば家族の中から誰かが出稼ぎの必要に迫られたとき、ほとんどの場合は男の子が選ばれます。

 

そして、都市へ出稼ぎにやってきても住む家が無く、ストリートチルドレンになるのです。

 

②働き手となれるから

ストリートチルドレン

 

ストリートで暮らすことになっても、まずは仕事を手に入れなくてはなりません。しかし、まだ幼いストリートチルドレンがやれる仕事といえば、日雇い労働など体力が必要なものがほとんど。また、非公式な仕事(ゴミ拾いや電車の乗客の荷物運びなど、誰かに雇ってもらわなくともできる仕事)でも、その多くが体力を必要とする仕事です。

 

そのため、相対的に女の子よりも、男の子の方が働き手となれるのです。女の子のストリートチルドレンの中には、上記したような仕事ではお金を稼ぐことがあまりできないため、仕方なく売春に手を染める子もいます。

 

③"冒険的"だから

ストリートチルドレン

 

僕が実際に出会ったストリートチルドレンに、こんな子がいました。

 

都会を見たくて田舎からバスに乗ってきたはいいけど、帰り方が分からなくなっちゃった。それに、もう一回バスに乗るだけのお金も無い。だから、そのまま都会に住み着くことになって、今は路上で寝泊まりして働きながら生活をしている。

 

もちろん、ストリートチルドレンが生まれる原因の多くは貧困ですが、ほんの少しの"冒険心"から、ストリートチルドレンになってしまう子もいるのです。

 

「親から離れて暮らしたい」と思春期の男の子らしい(?)動機から家出をしてみた。そしたら、他の子どもとの共同生活が思ったよりも楽しかったので、そのまま路上で生活を続けることになり、ストリートチルドレンになったという子も実際にいました。

 

④ストリートチルドレンの女の子は被害に遭いやすいから

ストリートチルドレン

 

もちろん、途上国にはストリートチルドレンとして生きる女の子も少なからず存在します。しかし、女の子の路上生活には、多くの危険が潜んでいるのです。

 

例えば、悪い大人や他のストリートチルドレンからレイプ(性的暴力)をされたり、誘拐されて売春宿に売り飛ばされたりすることもあります。そのため、できる限り親と一緒に暮らしたり、女の子だとばれないように男装したりするケースも存在します。

 

 

ストリートチルドレンが生まれる原因

ストリートチルドレン

 

ストリートチルドレンが生まれる原因には、大きく2つあります。

 

①親を失う

戦争や自然災害、病気などから親を失い、経済的な問題から自宅に住めなくなり、ストリートチルドレンになります。

 

②家出をする

両親が離婚したり、両親から暴力を振るわれたりと、家庭環境が悪化して家出をする子どもたち、または出稼ぎをするために家出をして、路上暮らしを始める子どもたちが、そのままストリートチルドレンになります。

 

 

ストリートチルドレンが生まれる過程

ストリートチルドレンは、例えば以下のような過程で生まれます。

ストリートチルドレン

 

多くのストリートチルドレンは農村部出身です。貧困や家庭環境の悪化、両親の病死といった原因から家を出ます。都市部にやってきたは良いものの、人であふれているため仕事も少なく、また市場経済で廻っているためお金が無ければ生活していくことができません。

 

家出をして農村部から都市部に移住しても、苦しい生活が続く。路上生活をしながら子どもは働くことで、ストリートチルドレンになっていくのです。

 

 

実際にストリートチルドレンから話を聞いてみた

ストリートチルドレン
ストリートチルドレンにインタビューする筆者(写真右)

 

ストリートチルドレンは、なぜ路上暮らしをすることになったのか。どんな仕事をしているのか。普段はどんな生活を送っているのか。

 

あまり知られることのないストリートチルドレンの実態。首都だけでも30万人以上のストリートチルドレンがいるバングラデシュを訪れ、実際に話を聞いてみました。

 

 

港で働くストリートチルドレン

ストリートチルドレン
 

港には、船内の掃除、荷物運び、近くの売店への水運びや水汲み、流れ着いたペットボトルの回収といった細かな仕事がたくさんあるため、ストリートチルドレンも多く集まりやすいと言われています。

 

この港では、多くの人が船の整備・清掃、またタバコや食べ物の販売を仕事にしています。周囲の大人に話を聞くと、ストリートチルドレンに対しては「言うことを聞かず悪さばかりする」と、その存在を快く思っていない人が多くいました。

 

現地のNGO(非政府組織)が青空教室(屋外に設置された簡易の非公式学校)などの支援活動を行っていましたが、周囲の大人がストリートチルドレンの親の代わりを担うようなこともないそうです。

 

 

I君のケース

12歳。桟橋に寝泊まりしています。

 

元々は農村に暮らしており、2年生までは小学校に通っていましたが、両親からの暴力や暴言が原因で10歳の時に家出をしました。地元は遠くなく、1年に2回あるイスラム教の祭の際には、地元へと戻るらしいです。

 

1日の収入は300~450円。仕事内容は上記したように、清掃やゴミ集めなど。

 

現地NGOが運営する青空教室には通っており、ベンガル語や数字、Social Studies(≒反社会行為抑制のための教育)などを学んでいます。お金を貯めて、将来はバナナ売りなどのモバイル・ショップ(移動型屋台)をやりたいと話していました。

ストリートチルドレン
桟橋で昼寝をするストリートチルドレン

 

A君のケース

元々は農村に暮らしていましたが、母親の暴力や暴言が原因で家出し、ストリートチルドレンになりました。父親はすでに亡くなっており、母親はA君を探しに来たことはありません。また、勉強が嫌いなため、青空教室には通っていません。

 

母親のことを話す際、とても悲しい表情をしていました。通訳が「家に帰りな。」と言うと、黙ってしまいます。

ストリートチルドレン
港で働くストリートチルドレンたち

 

観光地に暮らすストリートチルドレン

ストリートチルドレン
 

こちらは、偉人や宗教的指導者を祀った廟堂です。首都ダッカ市内に複数あり、観光地としても様々な人が訪れるため、ストリートチルドレンも多数生活しています。

 

S君のケース

8歳。両親は離婚し、父親は別の女性と再婚したためいなくなりました。母親は縫製工場で働き、月給約4000円。屋台で働く15歳の兄と5歳の弟がいます。

 

家はマザールの近くにあり、昼間はマザールでヤギを売る仕事の手伝いをしています。収入は毎日120円ほど。そのうちの110円は母親に渡し、10円だけをもらっているようです。

 

家族の生活のために働かなければならないため、小学校には通っていません。「学校に通いたい?」と聞くと、小さく頷いていました。

 

 

J君のケース

ストリートチルドレン
話を聞いたストリートチルドレンたち

 

10歳。父親はリキシャ引き、母親は専業主婦。

 

以前は学校に通っていましたが、経済的な理由で一年前にやめてしまいました。学校に通いたいか聞いてみると、「お金に余裕があれば行きたい」と語っていました。 

 

駅で働くストリートチルドレン

ストリートチルドレン
 

大勢の人が利用するため、荷物運びなどの仕事が存在し、ストリートチルドレンが多く集まります。

 

S君のケース

12歳。本人も正確な自分の年齢を知りません。ストリートチルドレンの中には、自分の誕生日も分からない子どもたちがいます。

 

父親は別の女性を作り蒸発。母親からの度重なる暴力を原因として一年前に家出し、駅で暮らすストリートチルドレンになりました。電車が着くたびに降りてきた乗客の荷物を運び、1回で15~30円受け取ります。1日の収入は100~150円。

 

インタビュー当時、NGOなどの支援は受けておらず、またストリートチルドレンのための施設が存在することも知らないと話していました。

ストリートチルドレン
インタビューに答えてくれたストリートチルドレンのS君

 

 

F君のケース

12歳。農村部出身。

 

父親はすでに死去していて、母親からの度重なる暴力を原因に家出し、ストリートチルドレンになりました。家には帰りたいと思わず、仲間もいないため一人きりで生活しています。

 

駅の利用者の荷物運びをして、1日80~110円稼いでいます。必要なものはあるか聞いてみると、お金と服が欲しいと話していた。

 

 

さいごに

いかがでしたか?ストリートチルドレンのこと、理解できたでしょうか。

 

「ストリートチルドレン」と一言で表しても、僕らひとり一人の名前と顔が違うように、それぞれの子どもが置かれた状況は全く違います。ストリートチルドレンひとり一人が抱えている人生があるのです。そう考えると、「世界に一億人以上のストリートチルドレンがいる」と聞いた時、頭に思い浮かべる光景が変わるのではないでしょうか。

 

 

最後に、ストリートチルドレンに特化した本を2冊紹介します。

 

ストリートチルドレンに関心ある人、ストリートチルドレンのことをもっと知りたい人は、石井光太さん著作『絶対貧困』『レンタルチャイルド』を読んでみてください。現場に足を運び続けた人だからこそ描き出せる、ストリートチルドレン問題の”リアル”が描かれています。

 

そのあまりの不条理さに、大きな衝撃を受けること間違いありません。ぜひチェックしてみてくださいね。