フリーランス国際協力師の原貫太です。日本とアフリカを往復しながら国際協力の仕事に携わっています。
この記事では、ワールドビジョンが運営する海外支援プログラム「チャイルドスポンサーシップ」の実態を、NPO業界に長年関わってきた立場からわかりやすく解説します。
ネットで検索すると「チャイルドスポンサー うさんくさい」などの候補が出てきますが、チャイルドスポンサーシップは決してうさんくさい寄付制度ではありません。NPO業界でも非常に高い評価を受けています。
チャイルドスポンサーシップの運営母体であるワールドビジョンも、世界屈指の活動規模を誇る国際NGOです。海外支援の仕事に関わる人なら、知らない人はいないと言っても過言ではありません。
実際のチャイルドスポンサーから口コミも寄稿してもらいました。チャイルドスポンサーシップに申し込むことを検討している人は、ぜひ参考にしてくださいね。
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チャイルドスポンサーシップの運営母体ワールドビジョンの実態は?
まずはチャイルドスポンサーシップの運営団体であるワールドビジョン、またその日本支部であるワールドビジョンジャパンの実態について解説します。
一言で表すと、海外支援やNPOを仕事にする人で、ワールドビジョンという団体を知らない人はほぼいないと思います。それくらい規模が大きく、歴史もあり、有名な国際NGOです。
ワールドビジョンは1950年にアメリカで設立され、現在は約100ヶ国で活動を展開する世界屈指の大型国際NGOです。キリスト教精神に基づき、開発援助や緊急人道支援、アドボカシー(市民社会への啓発や政策提言活動)を行っています。
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僕がかつて活動していたウガンダ共和国北部の難民居住区でも、ワールドビジョンは支援活動を行っていました。
当時は隣国の南スーダンで内戦が勃発してすぐの頃です。衣食住を満たすための緊急支援が必要な時期だったため、ワールドビジョンは難民の方たちに食糧配給を実施していました。
また、ワールドビジョンの日本支部であるワールドビジョンジャパンですが、こちらは1987年に設立された団体です。
1999年に特定非営利活動法人(いわゆるNPO法人です)として認証され、3年後の2002年には国税庁から認定NPO法人と認定されています。
日本の国際協力NGOは、1998年に「NPO法」が施行された後に設立された団体が多いため、その10年以上前から活動するワールドビジョンジャパンは老舗団体の一つです。
NPO法人の中には、資金繰りの問題から設立後わずか数年で解散してしまう団体もありますし、存在はするが、実態としてはほとんど休止状態の団体もあります。
そんな中、ワールドビジョンジャパンは30年以上も活動を継続していますから、日本のNPOを代表する団体の一つと言えます。
さらに、ワールドビジョンジャパンのようなNPO法人は日本に約50,000団体ありますが、そのうち所轄庁から認定を受けた認定NPO法人はわずか1095団体しかありません(平成30年11月時点)。たったの2%です。
認定NPO法人の資格を取るため、また継続するためには厳しい審査があります。「たしかな活動実績と信頼性があるから、ワールドビジョンジャパンは認定NPO法人の資格を維持できている」と言えますね。
なお、「ワールドビジョンは宗教団体なのではないか?」という指摘もありますが、布教を目的にした宗教団体ではありません。あくまでもキリスト教精神に基づき、純粋に国際援助活動を行うことが目的の団体です。
ワールドビジョンの団体としての評判や口コミは、こちらの記事で詳しく解説しています。
➡ワールドビジョンの評判は?宗教団体?国際協力のプロが詳しく解説します! - 原貫太のブログ
チャイルドスポンサーシップの実態は?業界視点でわかりやすく解説
国際協力業界で働く立場から、僕なりにチャイルドスポンサーシップの実態をわかりやすく解説します。
ここでは大きく、
- チャイルドスポンサーシップの仕組み
- チャイルドスポンサーシップの金額の妥当性
- チャイルドスポンサーシップの信用性
3つの視点から解説します。
チャイルドスポンサーシップの仕組みは?
ワールドビジョンのチャイルドスポンサーシップは、
手紙や写真でのやり取りを通じて、途上国に暮らす子どもと直接的につながる支援プログラム
が基本的な内容です。この”つながる”という仕組みは、海外支援業界でもとても評価が高いです。
というのも、いくらNPO側が「アフリカでは〇〇万人の子どもたちが学校に通えません」と数字を出したところで、そこで暮らす子どもたちの「顔」は見えてきませんよね。
新聞やテレビで伝えられるニュースだけでは、現地に暮らしている人たちの「ナマの声」がわからないのと同じです。
そのため、発展途上国で起きている問題を伝えるNPOは、できる限り支援を必要としている一人ひとりのストーリーを伝えるように工夫しています。
途上国の子どもと写真や手紙のやり取りができるチャイルドスポンサーシップは、「つながる」という意味では、その最たる仕組みと言えます。
例えばチャイルドスポンサーとして支援する子どもの国で万が一自然災害や戦争が起きたら、支援者はとても心配しますよね。それは、途上国の子どもとつながることができているからです。
こういった途上国の人とつながる仕組みを確立しているチャイルドスポンサーシップは、NPO業界でも非常に評価の高い寄付制度です。
チャイルドスポンサーシップの金額の妥当性は?
チャイルドスポンサーシップは一口が4,500円と設定されています。一人の子どもを支援するなら毎月4,500円、二人なら毎月9,000円が寄付金額として必要です。
インターネット上の評判や口コミを読むと「毎月この金額は高くない?」「学生には経済的に難しい」といった書き込みも見られます。
1口4,500円というチャイルドスポンサーシップの金額設定ですが、一般的なNPOのマンスリーサポーターと比較すれと、たしかに高いというのが正直な僕の感想です。
多くの国際協力NPOでは、マンスリーサポーターを一口1000円から募集しています。僕がかつて働いていた団体は一口500円から申し込みできました。
そのため、一口あたりの金額が4500円のチャイルドスポンサーシップは、絶対的には高い金額であることは間違いありません。
ただ、途上国の子どもと直接的につながることができるチャイルドスポンサーシップの仕組みを考えたら、一口4500円という金額は個人的には妥当だと思います。
途上国の子どもから送られてくる手紙を翻訳したり、写真付きの成長報告書を支援者に送ったりと、チャイルドスポンサーシップの運営にはある程度のコストや時間がかかるはずです。
職員が10人にも満たない小さなNPOでは、チャイルドスポンサーシップのような寄付制度を運営するのは、まず無理でしょう。ワールドビジョンのような大きな団体だからこそ、チャイルドスポンサーシップの仕組みが成り立つと言えます。
そのことを考慮すれば、一口4,500円という金額設定は、決して高すぎる金額ではありません。
たしかに一口1000円から募集すれば、チャイルドスポンサーの人数はもっと増えるでしょう。しかし、同時に運営コストも増えてしまいますから、支援のクオリティを保つことが難しくなるはずです。
4500円という月額で考えると高く感じるかもしれませんが、一日あたりで計算すると約150円です。自動販売機でペットボトル一本買うのとほぼ同じ金額ですね。
チャイルドスポンサーシップで支援するような途上国の子どもは、その多くが毎日150円以下で生活していますからね…。そう考えると、4500円という寄付金額は理にかなっていると思います。
チャイルドスポンサーシップはうさんくさい?怪しい?偽善?
チャイルドスポンサーシップの実態を調べている人は
「チャイルドスポンサーシップで寄付したお金は、支援活動にちゃんと使われているのか?」
「チャイルドスポンサーシップについてGoogleで調べると『うさんくさい』『怪しい』『偽善』と出てくるけど、信用して大丈夫なのか?」
など、不安になっている人もいるかもしれません。
まずはチャイルドスポンサーシップに寄付したお金が、どれくらい現地の活動に使われているのかをチェックしてみましょう。
チャイルドスポンサーシップのホームページを見てみると、支援金の81.5%が現地事業の活動に充てられていることがわかります。
国際協力業界には「7割の原則」という言葉があります。これは、寄付者から預かった支援金のうち、最低でも7割は現地での活動に使うべきという考えです。
この「7割の原則」から考えてみても、8割以上の支援金を現地に使っているチャイルドスポンサーシップは評価されるべきです。
また、チャイルドスポンサーには写真付きの成長報告書が送られてくるだけではなく、機関誌やメールでも活動報告がされています。
その他にも、ワールドビジョンはTwitterをはじめ、SNSの更新にも力を入れていますね。
もっと言えば、ワールドビジョンジャパンのような認定NPO法人は決算報告書や監査報告書を毎年公開しています。
チャイルドスポンサーシップの実態が不透明で、本当に「うさんくさい」ものだとしたら、ワールドビジョンジャパンは認定NPO法人の資格を継続することはできません。
チャイルドスポンサーシップは、決してうさんくさい寄付の仕組みではありません。信用してもらって大丈夫です。
どうしても心配が拭えないという方は、ワールドビジョンの公式ホームページで公開されている報告書に目を通したり、問い合わせをして資料をもらってみてください。
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ナマの声!チャイルドスポンサーの口コミを紹介
実際にチャイルドスポンサーシップに寄付している方の声に触れることが、信用するための一番の方法かもしれません。
今回はチャイルドスポンサーを10年以上続けている石黒芳樹さん(40代男性)から、チャイルドスポンサーシップの口コミを寄稿してもらいました。
私は、ケニアとラオスのチャイルドスポンサーをしています。毎月、銀行から一定額が引き落とされ、これが彼ら、そして彼らのコミュニティ開発のために使われています。
チャイルドスポンサーシップは、よく里親のような制度と間違われることがあります。しかし、明確に違うことが一点あります。
里親であれば、送金するお金はほぼ全額がその子どもに届きます。一方のチャイルドスポンサーシップでは、私たちが毎月送金するお金は支援するコミュニティに届き、子どもの手に直接渡ることはありません。
チャイルドスポンサーシップでは、通常15年程度の期間を定め、その地域に暮らす人々が基本的な生計を立てられるように支援をするのです。
その間、ワールド・ビジョンからは支援地域がどのように開発されているのか、収支報告とともに毎年レポートが送られてきます。
同時に、スポンサーになっているチャイルドからも手紙が届き、チャイルドの視点から今どのような環境で生活しているか報告してもらうことができます。
いわば、マクロ、ミクロ、両方の視点から支援の成果を実感することができるのです。
私はチャイルドスポンサーシップを10年続けています。それぞれの支援地域は違いますが、
「何もかもはできなくても、何かはきっとできる。」
この想いを共有できる仲間が、北海道から九州まで日本全国にたくさんいます。SNSでのつながりもありますが、私は実際に会ってもいます。
チャイルドスポンサーシップのコミュニティは、とても心地がいいですね。
石黒さんも書いていますが、「チャイルドスポンサーシップに寄付したお金が直接子どもたちの手に届くわけではなく、あくまでも子どもが生活しているコミュニティの開発に使われる」ということを理解しておきましょう。
中には里親制度のように、子どもたちにお金を直接渡したいと考える人もいるかもしれません。
しかし、貧困層の人たちにお金を直接渡してしまうと、それは彼らに「依存」を生み出してしまうことに繋がります。
また、お金の教育をあまり受けていない子どもたちは、4500円という大金を受け取ったとしてもお金の正しい使い道がわからず、一時的な食糧購入などに使ってしまう可能性もあります。
さらには、お金を貰える人と貰えない人の間でトラブルが発生してしまうリスクもありますよね。
そのため、教育や公衆衛生など、その子どもが暮らすコミュニティを包括的に支援する活動にお金を使う方が、結果としては現地の問題解決に繋がるのです。
このあたりはチャイルドスポンサーシップの公式ホームページでも詳しく解説されていますので、あわせてチェックしてみてください。
チャイルドスポンサーになった芸能人・著名人たち
芸能人・著名人の中にも、チャイルドスポンサーとして世界の子どもたちを支援している人がたくさんいます。
プロゴルファーの東尾理子さんや女優の夏木マリさん、またヴィジュアル系ロックバンド「シド」のボーカルであるマオさんらも、チャイルドスポンサーとしてワールドビジョンの活動を支援しています。
他にも『グレイテスト・ショーマン』や『レミゼラブル』に出演したハリウッドスターのヒュー・ジャックマンは、ワールドビジョンの親善大使として精力的に活動しています。
実際にエチオピアの支援地域にあるコーヒー農家を訪問していますね。
チャイルドスポンサーとしてワールドビジョンの活動を応援する芸能人・著名人の方々は以下の記事でまとめています。
➡チャイルドスポンサーになった芸能人8名を紹介【あの超大物ハリウッド俳優も】 - 原貫太のブログ
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ネット上にあるチャイルドスポンサーシップの評判や口コミ
ネット上で見られたチャイルドスポンサーの評判や口コミも掲載しておきます。チャイルドスポンサーの皆さん、途上国の子どもから送られてくる手紙が本当に嬉しいみたいですね。
【結論】チャイルドスポンサーシップはうさんくさくない
チャイルドスポンサーシップの実態について、詳しく解説をしました。結論、チャイルドスポンサーシップはうさんくさい寄付制度ではありません。
一部のブログや掲示板の書き込みには「チャイルドスポンサーシップは怪しい」「チャイルドスポンサーシップなんて偽善だ」などの書き込みもありますが、惑わされないようにご注意ください。
途上国で起きている貧困問題に対して、関心を持つことは誰にだってできます。でも、大切なことは関心を持ち”続ける”ことです。
その意味でも、チャイルドスポンサーシップは関心を持ち続けるための寄付の仕組みとして優れています。
ただお金を寄付したり、物資を送ったりするだけでは、困っている子どもを助けたいという気持ちも長続きしません。相手の「顔」が見えるからこそ、支援の成果を実感することができるはず。
日本でも約5万人がチャイルドスポンサーになっています。この5万人という数が、決してうさんくさい制度なんかではないことを物語っていますよね。
世界の貧しい子どもたちに対して、自分にできることは何だろう。そんな想いを持っている人は、ぜひチャイルドスポンサーシップに申し込んでみてくださいね。
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