国際協力に絶望しかけました。
今日、永田町の参議員会館にて開催された「プロサバンナ事業」に関するJICAとの公開討論会に参加してきました。
そのJICA側の答弁が、ホント酷い。酷すぎる。想像を遥かに下回るレベルでした。
全然噛み合わない。質問とは関係のない返答をする。何よりも、現地の人の立場に全く立っていない。
中継を見た人なら分かると思うけど、誰がどう見てもJICA側の主張はネジ曲がって聞こえた(というか、なんでもっとストレートに答えられないの?)し、市民団体側が投げかけているファクトに対してちゃんとした返答ができていない。
JICA職員が苦し紛れの答弁をする度に、会場から何度もため息や失笑が漏れていました。正直思いましたね。「国会や記者会見でよく見るやつじゃん…。結局、JICAもただのお役所なのか…」と。
これがJICAのすべてではないし、たしかに一面なのだろうけど、ここまで抵抗運動のある事例を抱えながらも十分な情報開示をせず、不透明なままプロジェクトを進めている姿を見ると、「何が世界平和だよ」って心から笑えてきます。
…とはいえ、一つ感じたことがあります。
正直に言って、市民団体側にゴリゴリに理詰めされ、「誰がどう考えても厳しいよね」って状況の中でも、苦しそうに何とか答えているJICA職員を見て、同情しそうになりました。
たぶん、こう答えるように指示されてるんだろうなぁ…と。
この問題は、職員一人ひとりに責任があるというわけではなく、思考停止してしまったシステムによって引き起こされています。ナチス・ドイツによるホロコーストが「普通の人々」によって引き起こされた歴史と同じ。
かの有名な、ハンナ・アーレントの「凡庸な悪」ですね。
きっと、どの職員の方々も家に帰れば普通のお父さんだろうし、世界を良くしたいという思いを持っている(もしくは持っていた)だろうし、悪魔のような人はそこには一人もいない。
だからこそ、この問題に対して出来ることは、市民団体側の僕たちが思考停止せず、考え、声を上げ続けること。一人でも多くの市民の方にこの問題について知ってもらい、JICAにプレッシャーを与えていくこと。
もしそれさえも無くなってしまえば、もっと多くのモザンビークの人たちが苦しむことになります。
プロサバンナ事業の問題に対し、かねてから取り組まれてきた舩田クラーセンさやかさんや日本国際ボランティアセンター(JVC)の渡辺直子さんらには、本当に頭が上がりません。
特に舩田さんの迫りくるような話し方、相手のペースをうまくコントロールした議論の進め方は、圧巻でした。
近日中に今日の映像がJVCやジャーナリズム団体により公開されるらしいので、ぜひ皆さんご覧になってください。出来れば来てほしかったな。あの会場の雰囲気は、言葉では伝えきれない。
「この問題をもっと若い人に伝えてほしい」そう舩田さんから打診されたのが、今回参加することになったきっかけです。
アフリカにいる時、何度も何度も痛感させられた「本当に変わるべきなのは現地の人たちではなく、先進国」。改めて胸に刻み、この問題に本気で関わっていきます。
プロサバンナ事業を追及されている研究者の第一人者、舩田クラーセンさやかさんが書かれた以下の記事もご覧ください。
今の日本政府やJICAにおける「凡庸なる悪」( by アーレント)に抗うには?〜2019年12月、「神は細部に宿る」そして人類の叡智「真実は破壊できず、それ自体が力を宿す」ことを忘れないということ。