原貫太オフィシャルブログ

アフリカでの国際協力活動から新時代の働き方、情報発信術まで。※本ブログの内容は個人の見解によるものです。

元少年兵として、父として-15年間反政府軍に拘束されたウガンダの友人

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友人を紹介させてほしい。昨日の帰り道も、一緒にトラックの荷台に乗って帰ってきた友人だ。

 

現在私が滞在するウガンダ北部では、1986年以降、政府軍と反政府軍との紛争が続き、90年代以降には反政府軍の一つである「神の抵抗軍(LRA/Load's Resistance Army)によって、推定3万8千人もの子どもたちが誘拐され、戦闘へと駆り出されてきた。その多くは10歳前後に誘拐されており、拘束期間中、少年は危険な前線に送られ、少女の多くは男性兵士との強制結婚によって子どもを出産している。

(関連記事→「"13歳で誘拐された元少女兵"の壮絶過ぎる体験談 生き別れた子どもと再会することを夢見て」

www.kantahara.com

 

子ども兵士の80%は誘拐から1年未満に軍隊から脱出し保護されると言われているが、中には10年以上もの間拘束され続けている者もいる。このような状況で帰還した元子ども兵たちは、身体的、精神的に大きな傷を負っており、自主努力では就業することも、基本的な衣食住を満たすこともできず、経済的に大きな困難を抱えているのだ。


また、元子ども兵は地元の村々での襲撃にも加担させられており、帰還後、地域住民から加害者とみなされ憎しみの対象になることもあり、社会的にも脆弱な状況に置かれている。

 


現在、ウガンダ北部の治安は安定し、一時期は200万人以上いた国内避難民(IDP/Internally Displaced People)の帰還も完了しているが、未だにLRAに拘束された多くの子ども兵が隣国の中央アフリカ共和国やコンゴ民主共和国東部での戦闘に駆り出されたままである。例えば、昨年6月には国連が「LRAは2016年始めの3か月で中央アフリカ共和国での襲撃と誘拐の勢いを強めている」旨を発表している。国連安全保障理事会に提出されたレポートでは、LRAによる42件の襲撃が報告されており、2016年第一四半期だけでも民間人6人の殺害と子ども252人の誘拐が起きた。

 

今日は、そのLRAに15年間拘束され続けた元子ども兵であり、私の仲良い友人でもあるクリス(仮名)(34歳)を紹介したい。

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木工大工に取り組むクリス(写真左)(photo by Kanta Hara)

 

15年間、反政府軍に拘束された

少年兵の場合、重い荷物を運ばさせられたり、偵察に派遣されたりするほか、前線での戦闘や弾除けに使われることもある。クリスには障害はないものの、帰還後には右脚に残っていた銃弾を取り除く手術を受けている。

 

また、クリスは13歳で誘拐され28歳で脱退するまでの実に15年間拘束され、現在では34歳と年齢も高いため、受け入れ時には他の8期生と上手くやっていく事ができるかが心配されていた。現地スタッフも「訓練を受けて色々と吸収できるか、不安な面があった」と話している。

 

8期生のリーダー的存在

しかし、今では8期生の中のリーダーを務めており、いつも落ち着き、皆が調和しながら訓練を受けられるよう役割を果たしている。先日行われた道具の供与式では、8期生代表のスピーチも担当した。

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供与式で8期生代表のスピーチをするクリス(photo by Kanta Hara)

 

(関連記事→「「もう一度人生を変えたい」 社会復帰を目指す元少年兵・少女兵の式典」

 

自分に自信を持った

「今の私は、過去から随分と変わったと思います。テラ・ルネッサンスで訓練を受ける前は人生が終わってしまっていて、もう成功しないと感じていました。そして30歳を超えて訓練を始めて、他の人たちと一緒に勉強できないかもしれないと思い、訓練を受けるのがとても怖かったです。でも今は、成功できると思うし、それで家族を支えることができると感じています。」

 

クリスが「成功できる」と思えるように変わった理由は、自分に自信を持てるようになったからだ。

 

「少しずつ、お客さんから注文をもらい始めています。溶接道具を入れる箱や松葉杖など、初めてお客さんの商品を作り、お金をもらったときが一番嬉しかった。テラ・ルネッサンスから貰った作業着を着て町を歩いていたら、町の人が声をかけてくれて、それが初めてのお客さんになったのです。」

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(photo by 認定NPO法人テラ・ルネッサンス)

 

彼には16歳と13歳の娘がいるが、テラ・ルネッサンスで職業訓練を受けている今は養えないため、叔父・叔母の家で育ててもらっている。「遠いところに住んでいて、時々叔父が元気だと電話で知らせてくれます。1年前に会って学費を払い、制服も買ってあげたけれど、現在はほとんど助けてあげられていないです。」

 

テラ・ルネッサンスの施設を旅立った卒業生から受ける刺激も大きい。「卒業生からは今の仕事をどう進めているかを聞いたり、また生活が良くなってバイクも買えるようになったという話を聞いたりして、自分も頑張ろうと思うことができます。」

 

休暇中にも関わらず、施設に足を運び、お客さんから注文された商品を作るクリス。責任感が強く、リーダーを務めている彼は、仕事にも熱心で真面目だ。

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駐在員の鈴鹿と話をするクリス(photo by Kanta Hara)

 

「訓練を終えたら、頑張って木工大工の仕事を続け、収入を得られるようになり、奥さんと一緒に、自分で子供たちを育てていきたいです。」

 

施設で会う度に、私の挨拶に笑顔で答えてくれるクリス。時々、現地の言葉であるアチョリ語も教えてくれる。

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クリスたちと原(photo by 認定NPO法人テラ・ルネッサンス)

 

最後に、クリスから日本の支援者様へのメッセージを貰った。

 

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ウガンダの人々と友好関係を築いて下さる日本の皆様、特に私たちの訓練を支えて下さるテラ・ルネッサンスの支援者様のご親切に、ありがとうと伝えたいと思います。

 

お願いがあります。テラ・ルネッサンスが行うような支援を必要としている人は、私たち以外にもまだ沢山います。だから、支援を続けてほしいと思います。

 

いつか皆様にお会いしたい。どうかまたウガンダに足を運んでください、話をしましょう。そして、これからも協力し続けましょう。

 

ありがとうございます。

 

※動画の視聴はこちらから

 

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