原貫太公式ブログ「世界まるごと解体新書」

アジア・アフリカでの活動からニュース解説記事、仕事論まで。※本ブログの内容は個人の見解によるものです。

「もう一度人生を変えたい」 社会復帰を目指す元少年兵・少女兵の式典


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テラ・ルネッサンスがウガンダ北部で運営する元子ども兵社会復帰施設。そこに通う8期生たちが1年半の訓練を終えて、昨年11月末には最終試験に合格し、また修了式も行ったことを以前の記事「家族を殺害、性奴隷としての搾取…壮絶な経験を克服する元子ども兵たち」「「修了式」での笑顔と希望 ウガンダ元少年兵・少女兵たちの社会復帰」で伝えた。

 

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昨日、1年半の訓練で木工大工や洋裁のスキルを身に付け、また基本的なビジネスの知識も得た元子ども兵たちが、これから本格的にビジネスを始めていくための道具の供与式(修了式)が行われた。供与式を前にした現地スタッフの声は、「元少年兵・少女兵の社会復帰を前に、アフリカ現地スタッフから魂のメッセージ」をご覧頂きたい。

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受益者である8期生や現地スタッフのみならず、彼ら彼女らの保護者や地元の人々、またNGO関係者など多くの人々が一堂に会する供与式。元子ども兵たちが社会的な繋がりをさらに強め、本格的な社会復帰の道のりを歩んでいくための、大きなターニングポイントになったはずだ。

 

子ども時代に壮絶な経験をした彼ら。反政府軍から脱出し、NGOなどの保護を受けてからまだ数年しか経っていない人がほとんどだが、彼らが一日でも早く社会復帰し、普通の生活へと戻れるように、私も全力で供与式をサポートした。

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供与式で8期生に授与されるミシン(photo by Kanta Hara)

 

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これまでの施設での訓練の様子をまとめた展示を眺める8期生。(photo by Kanta Hara)

 

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来賓のスピーチ中の様子(photo by Kanta Hara)

 

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登壇者の話を真剣なまなざしで聞く8期生。(photo by Kanta Hara)

 

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テラ・ルネッサンス理事長小川真吾さんによるスピーチ(photo by Kanta Hara

 

元子ども兵ジェイド(仮名)の声

訓練期間、私のことを見守り続けてくれた神様に、深く感謝しています。同時に、日本の支援者様、特にテラ・ルネッサンスの支援者様にも「ありがとう」と伝えたいと思います。あなたたちの助けが無ければ、私が1年半の訓練を終えることは難しかったと思います。私が訓練を終えられたのは、日本の皆さまのおかげです。

 

今この瞬間は、私が施設を出て外に行くのに必要な物、ビジネスを始めるために必要な物一式(道具や機械)を手にすることができて、とても幸せに感じています。

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供与式で木工大工用の道具を受け取った元子ども兵の方(photo by Kanta Hara)

 

これから外に出て、テラ・ルネッサンスで培ったスキル―私の場合は木工大工のスキル―を使って、ビジネスを開始します。自分の人生をもう一度変えられるように、そして地元の人たちの生活をも支えられるように、一生懸命に働きます。

 

日本の人たちにメッセージがあります。テラ・ルネッサンスのような支援は、本当に素晴らしいです。だけれども、私たちだけで支援が終わってしまってはいけない。活動が続かなくてはならない。テラ・ルネッサンスが実施するような訓練を必要としている人たちは、まだ他にもいます。だから、これからも活動、そして支援を続けてほしいです。

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供与式で洋裁の道具を受け取った元子ども兵の方(photo by Kanta Hara)

 

 

テラ・ルネッサンス理事長小川真吾さんから元子ども兵たちへのメッセージ

「社会復帰施設にやって来た時の状況や、そこからのプロセスで、色々な苦労-例えば訓練で出来たり出来なかったり-、その山あり谷ありの道のりを歩んできた中で、今日の供与式は、一番のターミングポイントだったと思います。」

 

「今までもそうだけど、これからも色々な問題やチャレンジが出てくる。だけど、『その問題があると何かできない、自分は幸せになれない』ではなくて、『問題があっても人は幸せになれる』『自分の中に痛みや傷があっても幸せになれる』という言葉を、彼ら彼女らにかけてあげたい。」

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供与式でミシンを受け取った元少女兵の方(photo by Kanta Hara)

 

「1年半頑張って訓練をやってきて、修了式も終わり、今は『成功した』『自分は出来た』という自信に満ち溢れている子が多いと思う。逆に、そういう時って『これからは失敗してはいけない』という守りに入ってしまう意識が誰しも出てくると思う。そうすると、外に出て、でも出た時には、環境も違うし、-明日から私たちも色々な場所を回ったら分かると思うけど-、『あれ?思っていたほど、私ってできないんじゃないかな…』という壁に元子ども兵の彼らがぶつかることもあると思う。

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式終了後にダンスを踊る人たち(photo by Kanta Hara)

 

「問題があったとしても、それで全てがダメになるということではない。日本人の私たち含めて、誰しもが問題を抱えている。でも、その中でみんな幸せに生きたり、成功したりしている。いつも言っていることだけど、『一人一人に内在する力がある』と、今日という日にみんなに伝えたかったと思います。」

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供与式後の集合写真(photo by 認定NPO法人テラ・ルネッサンス)

 

編集後記

「"初めての任務として母親の腕を切り落とす"子ども兵の問題は、大学生の私にとって目の前の解決したい問題になった。」で綴ったように、かつてはどこか遠くの世界の出来事にしかすぎなかった子ども兵問題が、今は私の目の前にある。

 

初めて元少女兵の方から直接話を聞いた時から、ちょうど1年。元子ども兵の方々が、少しずつではあるかもしれないが、尊厳を取り戻し、社会復帰の道のりを確実に歩んでいることを感じられた、本当に素晴らしい式典になった。

 

一方で、未だ「子ども兵」は現在進行形の問題として存在している。例えば、自衛隊が派遣されている南スーダンでは、昨年だけでも約1300人の子どもが武装勢力に徴用・徴兵されたと、昨年12月15日に国連児童基金(ユニセフ/UNICEF)が発表している。

 

人は微力ではあるが、無力ではない。この言葉を改めて噛みしめ、日本から12,000km離れたウガンダの地で頑張り続けようと、改めて決意を固めることができた。(原)

 

使用カメラ:Canon デジタル一眼レフカメラ EOS Kiss X7 ダブルズームキット EF-S18-55mm/EF-S55-250mm付属 KISSX7-WKIT 

★「子ども兵問題」のオススメ本★