原貫太オフィシャルブログ

アフリカでの国際協力活動から新時代の働き方、情報発信術まで。※本ブログの内容は個人の見解によるものです。

「僕の千円をアフリカでの活動に使ってください」学校教育における国際協力学

12月は寄付月間。あなたは「本当に意味のある寄付」ができていますか?

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6月3日(土)、私の母校である逗子開成中学校にて土曜講座「僕らが世界の問題にできること―国際協力人育成講座―」を担当した。全4回あるうちの2回目の今回は「初めての任務として母親を殺す”子ども兵”を知る 」と題し、私が取り組んできたウガンダの子ども兵問題を切り口にして、アフリカで続く紛争と日本をはじめとした先進国の生活との繋がりについて扱った。

 

中学生の生徒たちが「子ども兵」という存在にどのようなイメージを抱いているかのシェアから話を始め、なぜ普通の大学生である私が子ども兵問題に関心を持ったのか、元少女兵アイ―シャさんとの出会い、子ども兵が生まれてしまう要因、帰還した元子ども兵が直面する問題、NGOがどのような活動を行っているかなど、2時間みっちり講座を行った。


植民地時代の歴史や政治的・経済的利害の存在についてまで扱う今回の内容は決して易しいものではなかったが、レクチャーのみならずワークショップを織り交ぜることによって、参加者ひとり一人が積極的に意見を発表してくれた姿がとても印象的だった。講座後に書いてもらった感想文を見る限りでは、一番伝えたかった「アフリカの紛争の原因は決してアフリカの中だけにあるのではなく、先進国に暮らす私たちの生活とも決して無縁ではない」という点がちゃんと伝わったようだ。

 

 

しかし、それ以上に印象に残った出来事があった。


講座終了後、参加していた中学1年生が封筒に入れた千円を私に渡し、「僕の千円をコンフロントワールドの活動に使ってください」と言ってきたのだ。コンフロントワールドは、私が代表を務める国際協力団体。現在は南スーダン難民支援事業の立ち上げに奮闘している。

 

正直に、最初は驚いた。千円札一枚と言っても、中学1年生にとっては大金だと思う。100円お菓子が9個買える(税込)。うまい棒だったら100本買える(税別)。


一瞬迷ったが、最終的には受け取るのを断り、「ありがとう。でも、自分の勉強に使ってください。」と一言伝えた。未来のヒーローである彼には、「成長」を得るための自分自身の投資に充ててほしいと思ったから。

 

でも、その気持ちだけでも嬉しくて、ウルっときそうだった。僕が中学1年生の頃は、千円を寄付するなんて、考えたことすらなかったな、と。100円寄付するのにも躊躇っていた記憶がある。

 

つい数年前までは自分たちと同じ席に座っていた先輩が、日本に暮らしている限り想像もできないような、アフリカで起こる凄惨な紛争について語っている。勉強や部活に忙しい自分たちの「あたりまえ」がある一方で、世界のどこかでは今この瞬間も紛争に苦しめられている人々がいること。教科書や学校の授業では決して触れられることの無い、「もう一つの世界のあたりまえ」が、年齢のさほど離れていない先輩の口から語られる。

 

その姿が、中学1年生の少年にはとても印象的だったのかもしれない。教室には、先日神奈川新聞に掲載された私のインタビュー記事が貼ってあった。どうやら私はいつの間にか、後輩たちにとって「憧れの先輩」になってしまったのかもしれない。

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中学生や高校生を対象に講演をする度に、もしも自分が彼らと同じ頃に、同じ話を聞いていたならと思ってしまう。中学生・高校生の時から、今のように世界に目を向けていたら、その為の機会があったなら、尊敬できる先輩がいたなら、今良い意味で違った自分がいるかもしれない。

 

私が中学生の時は、このような”世界の不条理”を語ってくれる身近な存在が居なかった。貧困や紛争というものはテレビや新聞の中の話であり、自分の生活とは無関係だと思っていた。

 

「発展途上国に足を運び、現地の問題を改善する」だけが国際協力の活動ではない。残念ながら、アフリカをはじめとした発展途上国で起きている紛争や貧困といった問題の多くは、先進国の経済活動によって引き起こされているのが現実だ。持続可能な社会を作るためには、先進国に生きる人々の意識や消費行動を変えていく必要があると考えている。

 

そのために、私よりも若い世代の人に対して講演活動を行うことは、「平和の種を蒔くこと」だと思っている。中学生・高校生の頃に聞いた話が、心のどこかに残り続け、いつの日か花を咲かせる。私が千円を受け取ることのできなかった彼が、いつか共に「世界平和」の実現を担う一員になってくれればと願う。