原貫太の国際協力ブログ

フリーランス国際協力師原貫太のブログです。国際協力やNPO・NGO、アフリカ、社会問題などのテーマを中心に解説しています。

国際協力を学ぶ人におすすめの大学は?履修すべき授業は?【国際協力師が解説】

「大学で国際協力を学びたい。おすすめの大学はどこだろう?」

「国際協力の仕事に就くため、大学ではどんな授業を履修するべきだろう?」

 

こんな悩みにお答えします。

 

フリーランス国際協力師の原貫太です。国際機関やNGOなど特定の組織には所属せず、フリーランスで国際協力をしています。

国際協力 大学

ウガンダの子どもたちと原貫太

 

進学先の大学・学部選びに迷っている高校生や、大学でどんな授業を履修するべきか知りたい大学生の方は、この記事を参考にしてください。

 

※国際協力業界では理系出身の人も求められていますが、僕自身が学生時代は完全なる文系人間だったので、今回の記事では理系学部に関しては考慮していません。ご了承ください。

 

 

国際協力を学ぶ人におすすめの大学は?

近年は国際関係学部やグローバルスタディーズ学科を設置する大学も増えてきたため、国際協力の入り口であれば、多くの大学で学ぶことができます。

 

ただ、この記事では専門的に国際協力学部・学科を設置している大学や、僕の周りにいる国際協力関係者の出身大学、さらには国際協力を学ぶ現役学生から聞いた大学を紹介します。

 

早稲田大学

難関私大を目指す人なら、国際協力を学ぶ大学として早稲田大学は強くおすすめします。

 

学生時代に国際協力NGOを起業し、現在はフリーランスとして国際協力に取り組む僕は早稲田大学文学部の出身です。

 

早稲田大学は主専攻以外にも副専攻を履修することが可能で、僕が学生の時は平和学やグローバルリーダーシップ学などを勉強していました。

 

現在も「社会貢献とボランティア」「サスティナビリティ学」などを学ぶことができるようですね。

 

主専攻で国際協力や国際関係を勉強する場合は政治経済学部を目指すのが一番ですが、早稲田大学ならたとえ主専攻にできなくても、副専攻やオープン科目で国際協力を学ぶことができます。

 

オープン科目とは、他学部の学生でも受けることができる授業のことです。誰にでも開かれているため「オープン」と名前が付いています。

 

僕自身は文学部社会学専攻でしたが、副専攻やオープン科目を活用し、国際協力関係の授業をたくさん履修していました。

 

早稲田大学は海外留学プログラムも充実しているため、交換留学生として海外の大学で国際協力を勉強するチャンスもあります。

 

早稲田大学の副専攻紹介ホームページはこちら

 

上智大学

上智大学の総合グローバル学部も、国際協力や国際関係を学べる大学として有名です。

 

「国際協力に興味ある」と僕にコンタクトしてくれる学生にも、上智大学総合グローバル学部の学生さんは多い印象です。

 

上智大学グローバル総合学部では、国際関係論系または地域研究系のメジャー(主専攻)一つに加えて、その領域とは異なる領域をマイナー(副専攻)として選択します。

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上智大学総合グローバル学部HPより引用

 

国際協力の世界をマクロとミクロ、両方の視点から勉強することができる学部と言えるでしょう。上智大学総合グローバル学部のホームページでも、

 

どんな“現場”でも
グローバルとローカルの双方向視点で“解”を見つけ、
現実的に“カタチ”にしてゆくプロフェッショナルを育てる。

 

と、そのコンセプトを謳っています。

 

上智大学総合グローバル学部のホームページはこちら

 

京都精華大学

京都精華大学は2018年、西アフリカ・マリ出身のウスビ・サコ氏を学長に起用したことで大きな話題になりました。

 

日本の大学でアフリカ出身者を学長に起用するのは、史上初めてです。

toyokeizai.net

 

京都精華大学は2021年4月に国際文化学部グローバルスタディーズ学科を設置予定です。

 

さすが学長にアフリカ人を起用するだけあり、大学としてもグローバル人材の育成に力を入れていることが分かります。

 

京都精華大学国際文化学部グローバルスタディーズ学科のホームページはこちら

 

桜美林大学

桜美林大学には学部としては珍しい国際協力専攻が設置されており、僕の周りにいる国際協力師(国際協力を仕事にする人)の中にも、桜美林大学の出身者はチラホラいます。

 

貧困や人権、地球環境など、世界が抱える様々な問題を実地研修も含めて学ぶだけではなく、職業人として国際協力に関わる人の育成も目的にしています。

 

桜美林大学国際協力専攻プログラムのホームページはこちら

 

拓殖大学

拓殖大学にも、学部としては珍しい国際協力コースがあります。僕の知人でもあり、西アフリカのベナンで事業をする内藤獅友さん@Naikel0311も拓殖大学のご出身ですね。

 

拓殖大学国際学部国際協力コースのホームページはこちら

 

青山学院大学

青山学院大学の地球社会共生学部では国際協力を学ぶことができます。

 

僕が国際協力NGOを起業した時も、青山学院大学地球社会共生学部の学生がボランティアとして活動を手伝ってくれていました。

 

青山学院大学地球社会共生学部のホームページはこちら

 

津田塾大学

津田塾大学学芸学部には「多文化・国際協力学科」があります。2019年に誕生した比較的新しい学科です。

 

津田塾大学多文化・国際協力学科のホームページはこちら

 

横浜市立大学

公立大学としては横浜市立大学も有名です。

 

かつては国際総合科学部にグローバル協力コースがありましたが、2019年4月に国際総合科学部を国際教養学部、国際商学部、理学部の3学部に再編しています。

 

横浜市立大学国際教養学部のホームページはこちら

 

立命館大学

関西の私立大学としては立命館大学も有名です。立命館大学の国際関係学部には、グローバル・スタディーズ専攻や、国際秩序平和プログラム・国際協力開発プログラムなどがあります。

 

国際協力NGOテラ・ルネッサンスの創業者である鬼丸昌也さんは立命館大学の出身者です。

 

立命館大学国際関係学部のホームページはこちら

 

関西学院大学

関西学院大学の総合政策学部にはグローバルキャリアプログラム・国際協力コースがあります。

 

関西学院大学の国際協力論の授業で、僕も一度講演をさせていただきました。

 

関西学院大学総合政策学部のホームページはこちら

 

東京外国語大学

将来的にNGO職員になって、途上国で草の根の国際協力に関わりたい人なら、東京外国語大学もおすすめです。

 

マイナー言語を勉強しつつ、同時に国際関係論を学ぶことで、グローバル・ローカル両方の視点から草の根の国際協力に関わることができます。

 

 

以上で紹介した大学はほんの一例です。

 

一点だけお伝えすると、国際協力は非常に分野横断的な仕事・分野です

 

そのため国際学部を設置している大学に進むなら、国際協力学科やグローバル学科、さらには地域研究科など、学科が細かく分かれている大学に進むことをおすすめします。

 

国際協力を仕事にするなら大学で何を勉強すべきか?

国際協力 大学 おすすめ

ウガンダ北部で南スーダン難民の支援に携わっていた時

 

紹介した大学は国際関係学部が中心でしたが、将来的に国際協力を仕事にしたい人なら、国際関係論以外の勉強もぜひ取り組みましょう。

 

僕自身のキャリアが「NGO起業→フリーランスで国際協力」のため、今回は「現場で草の根の国際協力に携わりたい人が、大学で何を勉強すべきか?」という視点で、僕のおすすめの学問を紹介します。

 

国際関係学以外の分野を専攻したい人や、オープン科目で他の学問にも手を出してみたい人は参考にしてください。

 

文化人類学

一つ目のおすすめは、文化人類学です。草の根の国際協力に携わりたい人なら、現場で文化人類学的な視点が必要になる場面がよくあります。

 

文化人類学とは、「文化」という概念を中心に、人間の行動や生活の様子を観察することで、その地域に根づく文化や社会のしくみを研究する学問です。

 

インタビュー調査をしたり、時には現地の人たちと一緒に生活したりしながら、研究を行うことが特徴です。

 

例えば僕が活動する東アフリカのウガンダ共和国では、国際機関やNGOなどの援助関係者が足を踏み入れないディープなエリアにも、文化人類学者が研究で入っている場合があります。

 

草の根の国際協力に携わる一つの楽しさは、日本とは全く違う文化や人々の生活に触れられる点にあります。発展途上国でフィールドワークをして、その内容を卒業論文や卒業研究にするのもありですね。

 

外国語

二つ目のおすすめは、外国語。

 

これは簡単に思いつくかもしれませんが、英語やフランス語などのポピュラーな言語というよりは、発展途上国でしか使われていないマイナーな言語をイメージしています。

 

NGO駐在員としてミャンマーで働く知人がいるのですが、その方は大学でビルマ語を勉強したことが一番役に立っていると話していました。草の根の国際協力なら、言語は実務でもすぐに役立ちますね。

 

ただ、そういったマイナーな言語は、東京外国語大学をはじめとした一部の外国語専門大学でしか学ぶことは難しいです。

 

また、高校生や大学生の時点で「この言語が使われている、この国の、この問題に取り組みます!」と、一つに絞り切れる人はまずいないと思います。

 

そのため外国語だけではなく、同時に文化人類学や国際関係学、開発学を学べる大学に進むことをおすすめします。

 

★関連記事★

【断言】国際協力に英語は必要です【その理由と英語力の伸ばし方を紹介】 - 原貫太のブログ

 

統計学

三つ目のおすすめは、統計学。国際協力のプロジェクトを設計したり、評価をしたりするために、統計学の知識が活かすことができます。

 

例えば現地の人たちにインタビューを行って、統計的手法を使って何にどれだけのニーズがあるのかを調べたり、活動の成果を測ったりすることができるでしょう。

 

ただ、大学で統計学だけを専門に勉強するのって、それほど多くないと思います。

 

政治経済学部に進学し、統計学の授業を中心に履修しながら、卒業論文では途上国で行ったフィールドワークの調査内容を統計の手法を用いて分析する…といったことをやれば面白いと思います。

 

国際関係論

なんだかんだ言っても、迷ったら国際関係論系の授業を中心に履修すればいいです。

 

ただ、「国際関係学は仕事で役に立たない」の記事でも書いた通り、ぶっちゃけ僕が普段仕事をしている中で、国際関係論の知識を活かす場面はほとんどありません。

 

でも、国際協力に携わる上で、世界の仕組みがどう変わってきたのか、どうなっているのかを学んでおくことは、社会に大きなうねりを生み出すためには必要なことです

 

僕が言っても説得力に欠けるので、国連事務次長のツイートを引用します。

 

 

ちなみに当時は、中満さんにこの引用リツイートをされたことがきっかけで僕のTwitterが炎上しました笑

 

その詳細は以下の記事で書いています。

「国際関係学は役に立たない」のツイートが炎上した件に関して - 原貫太のブログ

 

とはいえ、やはり「国際関係学部」「国際〇〇学部」は、あくまでも国際協力の世界を薄く、広く勉強するだけの学部です。

 

そのため「国際協力に興味はあるけど、まず何をすればいいか分からない」という人にはおすすめしますが、大学卒業後に何らかの現場で使える専門性が欲しい人にはおすすめしません

 

大学で国際協力を学ぶ人はこの記事を鵜呑みにはしないで

国際協力 大学 おすすめ

僕は早稲田大学に通っていました

 

大学で国際協力を勉強したい人に伝えたいことがあります。それは、この記事の内容をそのまま鵜呑みにしてほしくないということです。

 

なぜそんなことを書くのか?理由は3つあります。

 

国際協力と一言で表しても関わり方はたくさんあるから

国際協力と一言で表しても

 

  • 国連職員になって政策作りに取り組む
  • NGOで広報ファンドレイジングを担当する
  • NGOの海外駐在員になる
  • フリーランスとして草の根支援に携わる
  • 開発コンサルタントとしてプロジェクトを管理

 

など、仕事として国際協力に関わる方法は一つではありません。詳しくは「国際協力を仕事にする7つの方法【JICAや国連だけではない!】」の記事を読んでください。

 

国際協力のどんな職種に就くか、どんな国際協力団体で働くかによって、大学で勉強するべき内容は変わります。

 

そのため「国際協力を仕事にするなら、大学で〇〇を勉強すればいい」と断言するのは難しいのです。

 

大学の勉強だけではプロになることは難しいから

これから大学に進んで勉強する人には厳しい話になりますが、大学の学部レベルの勉強だけでは、正直に言って国際協力のプロフェッショナルになることは難しいです

 

即戦力として働けるプロになるためには、大学院に進んで自分だけの専門性を身に着けたり、仕事の現場で実務経験を積んだりする必要があります。

 

国際協力業界で働く人には、大卒なんていくらでもいますからね。

 

そのため「大学でこれを勉強しておけば大丈夫。国際協力の仕事を得られる」と断言することはできません。

 

大学という環境だけではなく、そこを飛び出して様々な環境で自分の能力を磨く必要があります。

 

★関連記事★

国際協力を仕事にするためにやるべき11のこと【今日から行動を開始しよう】 - 原貫太のブログ

 

原の意見を鵜呑みにせず、他の国際協力師の話も聞こう

自分で言うのもアレですが、僕は国際協力に興味のある高校生や大学生には、かなり影響力のある人間だと思います。

 

実際に僕のTwitterやYouTubeには、現役高校生や大学生から「大学で何を勉強するのがおすすめですか?」と、頻繁に質問が届きます。

 

この記事を読んだ人が僕の意見をそのまま鵜呑みにして、他に検討したり、自分で調べたりせずに進路を決めてしまうのは、良いことだとは思っていません。

 

なので、この記事を書くにあたっては、本当に慎重になりました。

 

あくまでも今回の記事の内容は、僕の一意見として受け止めてください。さっきも書いた通り、国際協力には多様な関わり方があるからこそ、色んな人から意見を聞くことが大切だと思います。

 

宣伝になりますが、僕が運営する「原貫太のオンラインサロン」では、様々なバックグラウンドで国際協力に携わる人が講演をやったり、みんなで一つのテーマで勉強会をやったりしています。

 

Zoomを使って「結局、国際協力を仕事にしたいなら大学では何を勉強するべきなのか?」というテーマでディスカッションもやっています

 

色んな視点から国際協力を学びたいという方は、ぜひご検討ください。

peraichi.com

 

草の根の国際協力をやりたい学生に伝えたいこと

国際協力 大学 おすすめ

ウガンダ北部で行っていた公衆衛生プロジェクトの様子

 

おすすめの大学や大学で勉強すべき学問は紹介しましたが、最後に3つほど、特に途上国のフィールドで草の根の国際協力をやりたい人に伝えたいことがあります

 

とにかく現場に出ろ

はい、これです。とにかく現場に出てください。最初はスタディツアーでも一人旅でもいいから、まずは問題が起きている現地に行きましょう。

 

もちろん大学で学べることもたくさんあります。文化人類学の論文を一本読むだけでも、相当ディープな内容を学べるはず。

 

でも、国際協力の仕事に就きたい人には、とにかく現場に出てほしいと思います。ここで言う「現場」は、アジアやアフリカなどいわゆる発展途上国のフィールドです。

 

僕たちが最終的に向き合うことになる存在は「人」です。僕が国際協力の道を志すことが出来たのも、大学生の間にバングラデシュやウガンダで現地の人たちと向き合ってきたから。

 

机の上の勉強だけでは感じることのできない「国際協力の魅力」がそこにはあります。教科書を閉じて、現場に行きましょう。

 

大学の勉強を「仕事で役に立つか」で決めなくていいのでは?

特に今の高校生や大学生は、短期的に実務で役立つものばかりを追い求めている傾向があります。

 

彼ら自身が悪いのではなく、日本の新卒一括採用などの就職システムが原因だとは思いますが。

 

でも、大学で勉強する内容を「仕事で役に立つか、役に立たないか」という判断基準だけで決めなくてもいいのではないでしょうか?

 

特に国際協力は、人生をかけて挑むような大きなテーマ。国際協力は仕事ではなく、一つの生き方です。どこで何が役立つかなんて、予測を立てるのは難しい。

 

だから、短期的な損得で学ぶ内容を決めるのではなく、あなたの純粋な興味や好奇心で勉強する内容を決めてもいいのではないかと、僕は考えています。

 

大学の勉強だけではなく、本をたくさん読もう

国際協力の仕事に就いている人は、本を出している人が多いです。

 

もちろん大学のようなアカデミックな環境でしか学べないこともたくさんありますが、すでに国際協力の仕事に就いている人から聞く体験談には、また違った学びがあります。

 

ぶっちゃけ「将来のキャリアに直結するか」という視点で考えると、大学で勉強するよりも本をたくさん読んだ方がいい気もしますね。

 

以下の記事では国際協力に関するおすすめの本を紹介しているので、ぜひあわせて読んでみてください。

国際協力おすすめ本32選 入門書から常識をブチ破る本、洋書までドドンと紹介 - 原貫太のブログ

 

さいごに

国際協力を勉強したい人におすすめの大学や、将来的に国際協力を仕事にしたい人が勉強すべき学問を紹介しました。

 

国際協力は非常に広い分野のため、この大学のこの学科に進学すれば大丈夫という、100%の正解は存在しません。

 

ご自分でも各大学の要綱などを参考に、進学したい大学を見つけてみてください。

 

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ネットで手に入る国際協力の情報は、それほど多くありません。特に、実際に働く人たちの"ナマ"の声に触れられる機会は少ないですよね。

 

原貫太が運営するオンラインサロン「Synergy」には、青年海外協力隊やNGO職員、国際協力に関わってみたい学生や会社員まで、80名以上のメンバーが所属しています。

 

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