50メートル自由形の生涯ベスト記録が24秒20の原貫太です。全国中学とインターハイに出場経験があります。
そんな順風満帆に思えた僕の水泳ライフですが、高校1年生の時、怪我で水泳の練習ができなくなった時期があります。
肩の故障です。いわゆる「水泳肩」(スイマーズショルダー)になったんですね。夏のシーズン中にもかかわらず、怪我の影響で腕を使った練習はできなくなり、ひたすらビート版でキックの練習をしていました。
今回の記事では、水泳の怪我にはどんなものがあるのか、水泳選手がどうやって怪我のリスクを減らすべきか、調べてわかったことをお伝えします。
- 水泳は怪我のリスクが少ないスポーツだが…
- 水泳の怪我、代表的なものは何?
- 水泳の怪我リスクを減らす3つの方法
- 水泳の怪我リスクを減らすなら、正しいドライランドトレーニングが大切
- さいごに 怪我の後遺症を引きずらないために
水泳は怪我のリスクが少ないスポーツだが…
水泳は野球やサッカー、バスケットボールのように、ボールも使わなければ人とのぶつかり合いもないため、基本的には怪我のリスクが少ないスポーツです。
擦り傷や打撲といった外傷を抱えることは、ほとんどないでしょう。
一方で、水泳は腕を回したり、膝を曲げたりなど、関節をたくさん使います。そのため特に成長期の中学生や高校生の場合、身体の節々に怪我が発生するリスクが高くなります。
やみくもに練習するだけではなく、適切なトレーニングや普段から怪我のリスクを減らす予防を心がけていないと、怪我になる可能性は十分にあります。
僕も怪我をしてからは水中練習だけではなく、陸上でのトレーニングやマッサージも見直しました。
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水泳の怪我、代表的なものは何?
水泳選手が抱える怪我として代表的なものは、
- 平泳ぎ膝(ブレストストローカーズ二―)
- 腰痛
- 水泳肩(スイマーズショルダー)
の3つです。
平泳ぎ膝(ブレストストローカーズニー)
平泳ぎの水泳選手特有の怪我が、平泳ぎ膝。別名、ブレストストローカーズニーとも呼ばれます。
近年主流になってきた「ウィップキック」*では、足を後ろにけり出す時、大きく膝を開くことはしません。少しだけ開いた膝を起点に、水を挟むようにキックします。
※ウィップは「鞭」の英語。泳いでいるときの足の動きが鞭がしなっているように見えることから名付けられた。
ただ、ウィップキックは膝の靭帯に負担がかかりやすいため、膝に怪我が発症するリスクが高いのです。
腰痛
バタフライの初心者や、クロール・背泳ぎの上級者に多い怪我が、腰痛です。
僕がスイミングスクールに通っていた時、100mクロールを53秒で泳ぐ先輩も腰痛を抱えていました。練習後は専属のトレーナーからマッサージを受けていましたね。
身体をしならせるドルフィンキックや、身体をねじりながら泳ぐクロールや背泳ぎの一軸泳法では腰に負担がかかりやすいため、たくさん泳げば泳ぐほど、怪我になるリスクが高まります。
水泳肩(スイマーズショルダー)
水泳選手に一番多いケガが、水泳肩。スイマーズショルダーとも呼ばれます。僕もこれでした。
水泳肩は、特にクロールやバタフライの選手に多い怪我です。クロール・バタフライはプルを中心に推進力を得る泳ぎ方ですが、腕を回す際、肩甲骨の靭帯と上腕二頭筋の腱がこすれあい、炎症を起こしやすいのです。
クロールの場合、身体をローリングしながら泳ぐ「一軸泳法」では、自分の体重を自分の肩で支える必要があるため、怪我のリスクが高まるでしょう。
水泳の怪我リスクを減らす3つの方法
僕が怪我のリスクを減らすために見直したことは
- 毎日のストレッチ
- 泳ぎ込みの時はアイシング
- 陸上トレーニング
です。
毎日のストレッチ
水泳の怪我リスクを減らすために取り組んだこと、一つ目は「毎日のストレッチ」です。
怪我をするまで、特に中学生の時は「ストレッチは関節の可動範囲を広げ、水泳のタイムを上げるためにする」くらいにしか考えていませんでした。
しかし、高校生になり身体も大きくなってきてからは、「ストレッチは水泳が速くなるためだけのものではなく、怪我を予防するためにも行うもの」と捉えるようにしました。
怪我を抱える可能性のある部位、僕の場合は肩周りのストレッチを入念にやるようにしました。両手でタオルを持ち、肩を一周させるストレッチや、肩甲骨周りのストレッチには特に時間を割いてましたね。
泳ぎ込みの時はアイシング
水泳の怪我リスクを減らすために取り組んだこと、二つ目は「泳ぎ込みの時はアイシング」です。
特に短い期間でたくさん練習する合宿や、冬場の泳ぎ込み、またブロークンといったMAXスピードで泳ぐメニューをこなした時は、必ずアイシングするようにしていました。
怪我予防のためには、面倒臭くてもちゃんと続ける必要があります。だから僕は、自分専用のアイシングバックを購入し、水泳部のマネージャーに氷を詰めてもらっていましたね。懐かしい。
陸上トレーニング
水泳の怪我リスクを減らすために取り組んだこと、三つ目は「陸上トレーニング」です。
僕は中学3年生の時から少しずつウェイトトレーニングを始めていましたが、筋力を肥大化させるトレーニングだけではなく、怪我予防のためのトレーニングも意識し始めました。
例えば水泳選手に一番多い怪我「水泳肩」を予防するためには、チューブ等を使い、肩回りの筋肉を鍛えておく必要があります。
また、1キロの軽いダンベルを片手で持ち、腕をねじりながら上げ下げする「インナーマッスルトレーニング」もしていました。
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水泳の怪我リスクを減らすなら、正しいドライランドトレーニングが大切
水泳選手が行うトレーニングのうち、陸上での筋トレやストレッチを「ドライランドトレーニング」と呼びます。
「速くなるためには、ひたすら泳ぎ込めばいい」と考えている人がいますが、怪我のリスクを減らすためにも、効率的な泳ぎ方をするためにも、水泳選手にドライランドトレーニングは必須です。
一流選手の多くは、スイム練習の前にインナーマッスルをはじめとしたドライランドトレーニングに取り組んでいます。これらは入念な準備運動になるほか、動きを柔らかくすることにもなるため、怪我のリスクを減らすことに繋がるのです。
僕が通っていたスイミングは、インターハイ優勝選手も輩出するようなスクールでした。そのためスイム練習前には、専門のトレーナーがドライランドトレーニングのメニューを管理してくれました。
怪我のリスクを減らすためにも、正しいドライランドトレーニングを行うことが大切です。以下の記事も参考にしてみてください。
➡水泳ドライランドトレーニング~ケガをしないで速く泳げる身体の作り方~ 【日本体育大学 水泳部コーチ藤森善弘 監修】
さいごに 怪我の後遺症を引きずらないために
水泳選手が怪我のリスクを減らすためにできることをまとめました。
一流選手でもマスターズスイマーでも、怪我をしないに越したことはありません。下手すると、水泳をやめた後も、その後の人生ずっと怪我の後遺症を引きずることになります。
正しい泳ぎ方やトレーニング、マッサージを続けていれば、怪我のリスクは減らせます。参考になれば幸いです。
【追記】効率的な泳ぎ方、ちゃんと勉強していますか?
「練習は頑張っているのに、レースでは思ったようなタイムが出ない…。」
「みんなと同じ練習をしているのに、自分だけベストタイムが伸びていない…。」
水泳は、闇雲にトレーニングをしていればタイムが伸びる競技ではありません。間違った泳ぎ方を続けていれば練習した時間が無駄になるだけではなく、ケガをするリスクもあります。
もし今のベストタイムに満足していないなら、この機会にトップスイマーがみんな導入し始めている「2軸泳法」を勉強してみてください。
アテネオリンピック出場の森隆弘さんをはじめ、元オリンピック代表選手や日本代表コーチの方も推薦しています。
今注目されている2軸泳法について知りたい方、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
➡水泳ベストタイム更新プログラム ~2軸泳法で4泳法に革命を起こす~【日本体育大学 水泳部コーチ藤森善弘 監修】