「発展途上国の子どもたちを支援するNGO(国際ボランティア)に興味がある。NGOって具体的にどんな仕事内容があるのだろう?」
こんな疑問にお答えします。
フリーランス国際協力師の原貫太です。2016年から約3年間、NGOのスタッフとして国際協力の仕事をしていました。
NGOに興味はあるけど、具体的にどんな仕事内容があるのかわからない…。そんな人は多いと思います。
NGOの仕事内容は海外での支援活動だけと思われがちですが、そんなことはありません。むしろ国内での資金調達や広報など、バックオフィス業務に携わる人のほうが多いです。
NGO(非政府組織)とは?
NGOについて詳しく知らない方向けに、最初にNGOの基本情報を整理しておきましょう。
NGOとはNon Governmental Organizationの頭文字を取った略称で、日本語では「非政府組織」と言います。
政府ではなく民間の立場から、発展途上国の貧困や戦争、環境問題を解決するために活動している団体がNGOです。
日本では多くのNGOがNPO法人格を取得しているため、「NGO職員になる=NPO法人の職員になる」と考えて差し支えありません。
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NGOとは何か?日本一簡単に、わかりやすく解説【元NGO職員が書きました】 - 原貫太の国際協力ブログ
NGOの仕事内容は?
NGOの仕事内容は大きく二つ、海外での業務と国内での業務に分かれます。
海外ではプロジェクトの管理や現地スタッフの雇用などマネジメント業務が中心となり、国内では資金調達や広報、さらには活動を知ってもらうための啓発活動が主な仕事となります。
海外での業務内容
日本のNGOに就職して海外(発展途上国)で働く場合、海外駐在員という形で現地に派遣されることになります。
NGOの海外駐在員の仕事内容を一言で説明すると「マネージャー」です。もしくは「何でも屋」と表現することもできます。
現地プロジェクトを管理したり、プロジェクトの実施に向けて関係者と調整をしたり、現地スタッフの雇用をしたりなど、海外駐在員の仕事はマネジメント業務が中心です。
その他にも、現地プロジェクトが寄付金や助成金によって実施されている場合、活動報告のレポートを書く業務もあります。
実際に僕がNGOスタッフとしてアフリカで仕事をしていた時は、財団に提出するための報告書を書いたり、活動の様子を写真に収めて報告書に載せる仕事などを行っていました。
ウガンダでのある一日。朝8時に起床し、朝食を食べながら溜まったメールの返信。その後は事務所に出向き停電した部屋で会計処理。エクセルに入力した金額が合わずに焦る。昼食後は支援物資の買い出しへ。たった数百円であっても粘り強く店主と交渉。炎天下で汗だくになりながら砂糖450キロを購入
— 原貫太 / フリーランス国際協力師 (@kantahara) September 21, 2017
購入した大量の支援物資をトラックに積み、倉庫に保管。その後は再び会計処理、さらにはニーズ調査で使う調査シートを200枚以上コピーして、現地スタッフと一緒に3枚一組でホチキス留め。時々、難民居住区にいる現場スタッフからの電話に応対。夕方5時に事務所を出てホテルに戻りベッドに倒れこむ
— 原貫太 / フリーランス国際協力師 (@kantahara) September 21, 2017
また、NGOの中には春休みや夏休みなどの長期休暇に、日本からスタディツアーを受け入れている団体もあります。
その場合、ツアー客の訪問に向けて車やドライバーを手配したり、宿泊先を予約したり、現地滞在中のスケジュールを決めたりなどの「裏方仕事」もあります。
もちろんNGO職員になれば貧困層の支援に関わる仕事もありますが、基本的にはNGOの海外駐在員は「何でも屋」であり、マネージャーのような立場で働きます。
認定NPO法人テラ・ルネッサンスという団体のウガンダ駐在員である鈴鹿達二郎さんに普段の仕事内容をインタビューした記事もあるので、こちらも読んでみてください。
⇒NGO駐在員がアフリカ人から学んだ、人と”繋がる”生き方【鈴鹿達二郎さんインタビュー】 - 原貫太の国際協力ブログ
国内での業務内容
NGO職員としての仕事は海外だけではありません。
むしろNGO職員のうち、海外で仕事をするのは全体の1割~2割程度です。ほとんどのNGO職員は国内でのバックオフィス業務が中心になります。
例えばプロジェクトを行うために必要な寄付を集めるファンドレイジングをしたり、幅広く支援者を集めるための広報をしたりと、PR関係の仕事に携わる人がいます。
他にも財団や公的機関から助成金をもらってプロジェクトを行っていたら、駐在員から送られてきたレポートを元に活動報告をしたり、次の助成金獲得に向けて応募用紙を作ったりする人がいます。
さらに、自分たちが取り組んでいる問題を色んな人に知ってもらうために講演会やイベントを企画したり、そこでの売上や集まった寄付金を管理する経理の人もいます。
こういった国内での仕事は「バックオフィス業務」といった呼ばれ方をされ、途上国で実施している支援プロジェクトを続けるためには欠かせない大事な仕事です。
NGO職員のうち、全体の8割~9割はバックオフィス業務に従事しています。「NGOに興味はあるけど、海外には行けない」という方も、国内の事務所で働くことはできるのです。
NGOの仕事内容を知りたいならインターンをやろう
NGOの仕事内容は多岐に渡りますが、特に国内事務所で働く場合、一般企業のサラリーマンとそれほど大差はありません。
株式会社ではなく特定非営利活動法人(NPO法人)に就職して働くことになりますが、基本的な雇用形態にも大きな違いはないです。
NGO職員を特別な仕事として捉えている人もいますが、現実的には「NGO職員=サラリーマン」と考えてもらって差し支えありません。
とはいえNGOが普段どんな仕事をしているのかは、外からだと分かりにくいですよね。
「NGO職員は全員が途上国に渡航し、現地で支援活動をする」そんな誤ったイメージを持っている人も多いです。
NGOの仕事内容について詳しく知りたい方や、将来的にNGOで働くことを視野に入れている方は、まずはNGOのインターン生になることをおすすめします。
僕自身は学生時代にテラ・ルネッサンスというNGOでインターンをしましたが、実際に組織の中に入ってみて初めて、NGOの仕事内容を具体的に理解することができました。
その後大学在学中にNGOを自ら起業しましたが、インターン経験がなければ不可能だったと思います。
インターン先のNGOを選ぶ基準についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、あわせて読んでみてください。
➡NGOでインターンするなら、どう団体を選ぶべき?4つの判断基準を紹介します - 原貫太の国際協力ブログ
NGOの仕事内容にマッチする人材になろう
新卒採用など定期的に人材募集しているNGOは少なく、欠員や事業拡大の際に社会人経験のある人を採用している団体がほとんどです。
NGOは採用の際、NGOの仕事内容とマッチしたスキルや経験のある人材を求めています。
そのため、インターンなどを通じて具体的にどのような仕事内容があるのかを知ることが、NGO職員になるための一つの近道です。
NGOに就職するための具体的な方法はこちらの記事で解説しているので、あわせて読んでみてください。
➡NGOに就職するには?元NGO職員が必要なスキルや具体的なフローを解説します - 原貫太の国際協力ブログ
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