原貫太の国際協力ブログ

フリーランス国際協力師原貫太のブログです。国際協力やNPO・NGO、アフリカ、社会問題などのテーマを中心に解説しています。

アフリカの経済格差はどれだけヤバい?富裕層と貧困層の違いを写真で解説

フリーランス国際協力師の原貫太です。東アフリカのウガンダ共和国で生活をしています。


アフリカに関わりはじめて4年以上が経ちますが、現地で生活すればするほど、アフリカ大陸が抱える経済格差の恐ろしさには気づかされるばかりです。

 

田舎に足を運ぶと貧困層の人たちが一日100円以下で生活していると思えば、首都では現地人のお金持ちが外車を乗り回していたり、高級レストランでパーティーをしていたりします。

 

アフリカにおける経済格差は、日本の経済格差とは比べ物にならないほど大きいです。僕が生活するウガンダの写真を使いながら、富裕層と貧困層の生活の違い、さらにはアフリカの経済格差の実態を解説します。

 

 

YouTubeでは現地の映像や写真を使いながら解説しています⇩

 

アフリカの経済格差はヤバすぎる。富裕層と貧困層の違い

アフリカにおける経済格差の実態を理解してもらうために、僕が現地で撮影した富裕層と貧困層の写真を紹介します。

 

まずは、アフリカの富裕層の人たちがどんな生活をしているのか。こちらの写真をご覧ください。

アフリカ 経済格差

 

アフリカ 経済格差

 

これはウガンダの首都、カンパラにある高級ショッピングモールで撮影した写真です。一階の広場にはVRやPS4で遊べるアミューズメント・スペースもあります。一回のプレイ料金は約100円です

 

他にも、このショッピングモール内には現地の富裕層や外国人向けのカフェも入っており、こんな美味しそうなチョコレートケーキも食べられます。値段は一つ450円です。

アフリカ 格差

 

 

その一方で、車で北に10時間くらい移動して田舎に行くと、こんな景色が広がっています。

アフリカ 格差

 

この写真は乾季に撮影したものです。雨がほとんど降らず、この地域では干ばつの影響によって数年に一度食糧危機が起きています

 

生活している人の大半は貧困層。子どもたちの栄養不足も深刻で、5歳の誕生日を迎えられずに亡くなってしまう子どもがたくさんいます。

 

また、都市部の富裕層はペットボトル詰めされた飲料水を口にしていますが、田舎の貧困層はそんなものを買える余裕もなく、川で汲んできた濁っている水を口にしているのが現状です。

 

彼らのほとんどは、一日100円以下の生活を送っています。つまり、富裕層がショッピングモールもアミューズメントに課金するお金が、彼ら貧困層の一日、いや下手すれば数日分の生活費なのです。

アフリカ 格差

ドロドロに濁った水をろ過せず、そのまま飲む子どもたち


僕はこういった田舎に出張ベースで足を運び、貧困層に対する支援を行っていますが、首都に戻ってくるたび、まるで途上国から先進国に移動してきたかのような感覚に襲われますね

 

この気が遠くなるような経済格差を嘆くだけでは何も変わりませんが、都市の富裕層も田舎の貧困層も両方を目にしている人間だからこそ、そのギャップには戸惑います。

 

ちなみにアフリカにおける「絶対的貧困」に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。貧困問題に興味のある方は、こちらの記事もあわせて読んでみてください。

絶対的貧困とは?アフリカの写真11枚と一緒に、そのリアルな実態を解説 - 原貫太のブログ

 

アフリカの経済格差を象徴するようなニュース

先日、こんなニュースが大きな話題になりました。

 

国際非政府組織(NGO)オックスファムは4日までに、アフリカ大陸で上位3人の大富豪が持つ資産が全人口の約半数に当たる貧困層約6億5千万人の資産を合計した額を上回るとの報告書を発表した。
(「アフリカ富豪3人が富独占 6億人の貧困層資産上回る - 産経ニュース」より引用)

 

アフリカにおける経済格差をまさに象徴するニュースです。衝撃ですね。

 

アフリカ大陸には、紛争や貧困で苦しむ地域がいまだ多く存在しますが、その一方でグローバル市場に取り込まれ、近年は世界中の企業が市場獲得に奔走しています。

 

これからの数十年は、とんでもない勢いで経済成長していくことが予想されているのです。そうなると、経済成長の恩恵を受けられる人々とそうでない人々の間の経済格差は、ますます開いていくことが考えられます。

 

経済格差を示すジニ係数上位はアフリカ各国が占めている

 一つの国における経済格差を示す指標として、ジニ係数と呼ばれる指標があります。

 

このジニ係数は数値が大きければ大きいほど国内の貧富の格差が深刻であることを意味するのですが、ランキング上位の国々はそのほとんどがアフリカです。

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南アフリカ共和国、ナミビア、ザンビア、中央アフリカ共和国、レソト、モザンビーク、ボツワナなど、こういったジニ係数の高い国々では国内、特に首都と田舎の間の経済格差が深刻なのです。

 

アフリカの経済格差はなぜ生まれるのか?

アフリカ 格差

ウガンダ首都カンパラの様子。筆者撮影。


アフリカの経済格差はなぜこれだけ大きいのか?その原因は様々ですが、ここでは一つの原因として「資源の呪い」という言葉を解説します。

 

「なぜアフリカには資源が豊富に眠っているのに、いまだに貧しい地域が多いのだろう?」そんな疑問を持ったことがある人もいるかもしれません。

 

本来であれば、鉱物や石油といった資源が豊富な国は、経済的に発展し、その国の市民は裕福な生活を手に入れているはずです。

 

しかし、現実を見てみると例えばコンゴ民主共和国やシエラレオネ、南スーダンといったアフリカの国々では、レアメタル・ダイヤモンド・石油などの資源が豊富なのに、どの国も紛争に苦しみ、国民の大多数が貧しい生活を送っています。

 

こういった国々では汚職が蔓延し、資源関連の利権に絡んでいる大企業や権力のある政治家には大金が入っていきます。

 

しかし、一方で地元の市民らは資源を巡った紛争に巻き込まれたり、資源採掘のために低賃金かつ劣悪な環境で働かされたりしているのです

 

また、国の経済が資源に依存しており、その他の産業が伸びていきにくい構造であることも、貧困層が豊かになれない原因です。

 

資源開発には多くの予算や人員が割かれる一方で、その他の産業は発展しにくいため、国の大多数を占める貧困層は仕事にありつくことができません。

 

さらに、資源を確保するために過度な開発が進み、土地が荒廃することで、その周辺地域の住民が貧困に苦しむという問題も起きています。

 

実際に僕が生活するウガンダでも、金を採掘するために現地住民の強制立ち退きが行われているといった話を耳にしたことがあります。

 

資源が豊富な国における紛争や貧困、経済格差の現状は、レオナルド・ディカプリオ主演の映画『ブラッド・ダイヤモンド』を観ればイメージがしやすいです。僕も観ましたが、「資源の呪い」の一端を理解する上ではとても良い映画です。

 

なお、アフリカの紛争がなくならない根本的な原因は、以下の記事で詳しくまとめています。このブログの中で、最も読まれている記事の一つです。

アフリカから紛争(内戦)が無くならない2つの原因を解説します - 原貫太のブログ

 

サハラ砂漠を境にアフリカの北と南では経済格差がある

アフリカ 格差

アフリカ大陸北部に位置するサハラ砂漠

 

もう一つ、アフリカにおける経済格差を考える上で大切なことがあります。それは、サハラ砂漠より北のアフリカとサハラ砂漠より南のアフリカでは、大きな格差があるということです。

 

こちらの図を見てください。

アフリカ 格差

『Levels and Trends in Child Mortality Report 2019』より

 

こちらはユニセフによる報告書を抜粋したものです。内容は「1990年から2019年における5歳未満乳幼児死亡率」の統計を表したものになります。

 

これを見るだけでも、2018年のNorthern Africa(北アフリカ)の5歳未満乳幼児死亡数が1000人中28人であるのに対して、Sub-Saharan Africa(サハラ砂漠以南アフリカ)の死亡数は78人と約3倍の開きがあります

 

多くの場合、5歳未満乳幼児が亡くなる原因は下痢やマラリアといった予防可能なものですから、サハラ砂漠以北のアフリカとサハラ砂漠以南のアフリカでは、基本的な医療に対するアクセスにも大きな格差が存在するのです。

 

アフリカでは都市内における経済格差もすごい

最初の4枚の写真でも説明したとおり、アフリカの多くの国では都市と田舎の間にトンデモナイ経済格差が存在します。

 

その一方で、一つの都市の中における経済格差も甚大です。

 

例えばウガンダの場合、首都カンパラの高級住宅街に足を運べば、何百万円もする外車を乗り回している現地人もいます。そういった人は、例えば国連機関の現地職員であったり、外資系企業の現地マネージャーだったりします。

 

ちなみにアフリカの某国で働くウガンダ人国連職員に月給を聞いたら、20,000米ドルらしいです。日本円で、約230万円。

 

ウガンダシリング(1円=33シリング)ではありません。新米のローカルスタッフでも、国連職員なら日本円で毎月30万くらいは貰っています。

 

一でダウンタウンに足を運ぶと、路上で生活しているストリートチルドレンやホームレスがたくさんいます。彼らはその日を生き延びるために、ペットボトルなどのごみ拾いや物乞いをして生計を立てているのです。

アフリカ 格差

ウガンダ首都カンパラの様子。筆者撮影。

 

そういった日雇い労働は、良くても一日数百円にしかなりません。

 

比較的治安がいいと言われているウガンダも、首都のカンパラは窃盗やスリが多く、被害に遭っている人がたくさんいます。

 

ただ、「明日食べる物があるかわからない」と切羽詰まっている人間が、何百万円もする車を乗りこなしたり、何万円もするブランド品を身に着けている富裕層を目の前にしたら、そりゃあ犯罪の一つや二つ起こす気にもなってしまいますよね。

 

アフリカで長く生活してきて、そういった経済格差の現状を理解するうちに、生きるために犯罪を犯す人間の気持ちが少しだけわかるようになってきました。

 

さいごに アフリカの経済発展の背景には深刻な経済格差がある

現地で撮影した写真を使いながら、アフリカにおける経済格差を解説しました。

 

アフリカが経済成長するにつれて、豊かな生活を手に入れる人が増える一方、その発展の陰には深刻な経済格差も生まれています。

 

特に都市における格差は顕著に拡大しており、富裕層に対する貧困層の不満が膨れ上がれば、犯罪として帰結する可能性もあります。

 

アフリカで問題になっている「絶対的貧困」に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。学術的な定義だけではなく、貧困のリアルな実態がわかる内容です。あわせてご覧ください。

絶対的貧困とは?アフリカの写真11枚と一緒に、そのリアルな実態を解説 - 原貫太のブログ