「街頭でやっている募金活動に意味なんかねーよ!その時間にバイトして稼いだお金を寄付したほうが効率よくね?」
そんな意見をたまに目にすることがあります。
街を歩いていると、慈善団体やNPOが募金活動していることがありますよね。お金を入れた経験がある人も多いと思います。
結論を言うと、街頭での募金活動には、
- 募金活動の過程で、市民に対して社会問題を啓発する
- 募金活動をやってくれる人の社会参加を促す
という2つの意味があります。NPOに長く関わってきた経験から、募金活動が持つ2つの意味を解説します。
募金活動の意味① 募金活動の過程で、市民に対して社会問題を啓発する
例えばアフリカの問題に取り組むNPOが、街中で募金活動をしているとします。この場合、募金活動をする意味は「現地の支援に使うためのお金を集める」だけではありません。
アフリカで起きる紛争や貧困といった問題の原因は、アフリカの中だけに存在するのではありません。日本を含む先進国の経済活動が、意図する・しないに関係なく、アフリカの問題を直接・間接的に引き起こしている要因となっています。
資源問題がその一つの例ですね。詳しくは「アフリカの内戦がなくならない2つの原因【アフリカの中ではなく、外を見よう】」の記事をご覧ください。
募金活動は決して、お金を集めるだけがその目的ではありません。市民社会から募金を集める過程で、問題が起きている原因や解決方法を多くの人たちに啓発し、国際協力や社会貢献の輪を広げていくこともまた大切な目的です。
社会課題は、課題として認知された時に初めて社会課題となるからです。
情報が広がるスピードを考えれば、インターネットを利用した募金活動のほうが、よほど優れています。でも、街頭で行う募金活動では、募金をしてくれた方ひとり一人に直接チラシを渡したり、一対一で話をしたりすることができますよね。
市民に対する社会問題の啓発、その「深さ」を考えれば、街頭での募金活動にも意味があるのです。
募金活動の意味② 募金活動をやってくれる人の社会参加を促す
街頭での募金活動、もう一つの意味は「募金活動をやってくれる人の社会参加」にあります。
社会課題の解決がミッションである慈善団体やNPOは、いかにしてその活動にたくさんの人を巻き込んでいくのか、市民の社会参加を促していくかが大切になります。
専従のスタッフになるのは難しくても、休日の午後3時間だけ、ボランティアとして募金活動に参加する。募金活動は参加のハードルが低いため、学生や主婦でも気軽に関わることができます。
実際に募金活動に関わり、体を動かした人は、社会問題に対する当事者としての意識を強く持つようになります。僕の知り合いにも、高校生の時に街頭に立って募金活動をしていた人が、大人になってからはNPOで働いている人がいます。
「募金活動に意味はない」と思っている人も、ぜひ一度参加してみてください。そのNPOが掲げているビジョンや解決したい社会課題に対して、より強く意識を持てるようになるはずです。
でも、僕は街頭募金にお金を入れない
偉そうなことを書いておきながら、僕は街頭での募金活動にはお金を入れません。
マンスリーサポーターとして毎月NPOに寄付したり、クラウドファンディングにお金を入れたりすることはあります。でも、街を歩いている時に募金活動を見かけても、募金することはありません。
なぜか?その理由は、募金をするなら「募金をする者の責任」として、自分のお金がどんなインパクトを出しているのか、しっかりと見届けたいからです。
その意味で、募金、というよりも寄付は、継続することが大切だと考えています。
つり銭感覚でポッと募金し、その後のお金の使い道や効果に関心を持たないのは、募金した者としての責任がなっていません。
そうではなく、NPOの活動に継続的に募金をしながら、同時にその団体の活動報告にも目を通し続けることで、そのNPO自体やそのNPOが取り組む社会課題に関心を持ち続けることが大切だと僕は思います。
国際協力のレジェンド的存在であり、元国境なき医師団の日本理事でもある山本敏晴さんは、自身のブログで以下のように語っています。
結局、
募金をする、ということは
募金をしたお金が
どのように、将来、使われるのか?
ということに
それぞれの人が、「責任」を持つ
ということが、何よりも大切になる。
この責任を持つ、という感覚が無いならば
募金をしても、あまり意味がない(「山本敏晴のブログ」より引用)
募金活動にも意味はあるが、僕はお金を入れない
もう一度まとめると、募金活動の意味は
- 募金活動の過程で、市民に対して社会問題を啓発する
- 募金活動をやってくれる人の社会参加を促す
にあります。
一方で、僕はマンスリーサポーターやクラウドファンディングのパトロンとしてはしょっちゅう募金をしていますが、街頭募金にお金を入れることは基本的にはありません。
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