原貫太の国際協力ブログ

フリーランス国際協力師原貫太のブログです。国際協力やNPO・NGO、アフリカ、社会問題などのテーマを中心に解説しています。

世界で最も急速に深刻化する難民危機-国連「南スーダン難民支援、資金86%不足」

先月から自衛隊の撤退が始まった南スーダン。今月末までの数回に分けて、施設部隊の約350人全員が帰国する。

 

自衛隊が南スーダンから撤退していくにあたって、一部の活動家やジャーナリストは日本国民の同国に対する関心が薄れていくことを危惧している。その南スーダンでは、故郷を追われ周辺国へと逃れた難民の数が180万人を超え、「世界で最も急速に深刻化する難民危機」とまで呼ばれるようになった。

 

今月8日には、2013年12月に勃発した紛争によって家を追われ、国内外で避難民になった子どもが200万人を超えたと国連児童基金(ユニセフ)と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が発表している。難民(=国外に脱出した避難民)、国内避難民となった子どもがそれぞれ100万人以上おり、実に南スーダンの子ども約5人に1人は家を追われている計算になる。

 

今月16日のRadio Tamazujによれば、スーダンの東ダルフールに位置するコリオ難民キャンプにて、今年2月以降だけでも南スーダン難民359名が飢餓や病気によって亡くなっている。約50,000人を抱えるコリオ難民キャンプでは毎日5人ものペースで難民が病死するなど、深刻な人道危機が続いている。

 

現在最も多くの南スーダン難民が避難しているのは、南に接する隣国のウガンダだ。約90万人もの難民が滞在しており、昨年7月に紛争が再燃してからは1日に2,000~3,000人もの難民が流入するなど、すさまじいペースで難民が生まれている。

 

国連ニュースセンターの発表によれば、周辺国に逃れた南スーダン難民の支援には2017年末までで総額14億ドルが必要とされているが、現在までにはたった14%しか調達できておらず、実に86%にあたる約12億ドルが不足している。

 

自衛隊を巡る議論が日本で盛んだった頃、私がウガンダ北部からツイートした南スーダン難民居住区の様子などは多くの人に拡散され、日本社会の関心が南スーダンの紛争に向けられていたことを強く感じていた。

 

自衛隊が撤退すれば南スーダンに関する報道は大きく減ることが予想されるが、自衛隊撤退によって南スーダンの人々を囲む人道危機が終わるわけでは当然ない。今年夏から国際協力団体コンフロントワールドとして支援事業を立ち上げていく身としても、引き続き同国の状況に目を向け続けたい。