先週、9日間のフィリピン旅行を終えて日本に帰国した原貫太です。
大学在学中、途上国での国際協力活動に幅広く携わってきましたが、ここ最近はアフリカ→アフリカ→アフリカ…と3回連続のアフリカ。ということで、今回は久しぶりの東南アジア訪問だったのです。
それはさておき、現地からこんなツイートをしたら思ったよりも反響がありました。
旅行のみならず、ボランティアやスタディツアーでも東南アジアを訪問する大学生は増えています。僕自身、初めての途上国は、大学一年生の時に参加したフィリピンのスタディツアーでした。
アフリカ、東南アジア、両地域で活動経験のある身として、大学生の多くがアフリカではなく、東南アジアを旅行している7つの理由を考えてみました。ちなみに、批判する意図は全くないので悪しからず。
①航空券が安い
まず、航空券の安さです。LCCの発達もあり、東南アジア諸国への航空券はここ最近死ぬほど安い。
今回のフィリピン旅行は羽田⇔マニラで取得しましたが、往復で3万5000円でした。バニラエアをはじめとしたLCCがセールをやっている時、例えば観光地としても有名なセブ島であれば、往復1万円もかからない時もあるとか。いくらなんでも安すぎる。沖縄や北海道よりも、セブ旅行した方が安く済みますね。
カンボジアやベトナムといった東南アジア諸国でも、多少遠回りするかもしれませんが、4~5万円出せば航空券は買えるでしょう。
一方でアフリカはというと、例えば大学生の旅行先としても人気のルワンダや、僕が活動していたウガンダであれば、最低でも12~13万円はかかります。昨年1月にエチオピア航空でウガンダに渡航しましたが、この時の93,000円は”破格”でした。
ほとんどの大学生は、アルバイトで稼いだお金を使って渡航します。東南アジア諸国への航空券の安さは、経済的に制約の多い大学生にとって手が出しやすいのです。
②治安が良い
東南アジアの治安の良さも理由の一つでしょう。外務省の海外安全ホームページを見れば、ほとんどの国でレベル1「十分注意してください」になっています。ベトナムに関して言えば、危険情報は発令されていません。”レベル0”です。(2018年3月14日現在)
一方で、日本人のアフリカに対するイメージをランキング化したら、その上位には必ず「治安が悪そう」がランクインするでしょう。実際に治安の悪い地域もたくさんあります。
南スーダンや中央アフリカ共和国、ソマリアといった紛争地域は当然、レベル4「退避してください。渡航は止めて下さい。」になっています。まぁ、これらの紛争地域に足を運びたいと考える大学生は皆無だと思いますが。
旅行先としても有名なウガンダであっても、国境付近はレベル3「渡航は止めて下さい。(渡航中止勧告)」が目立っています。(いずれも記事執筆時点)
一方で、一言で「アフリカ」といっても、当然ながら全ての国・地域で治安が悪いわけではありません。例えば、「アフリカのシンガポール」と称されるルワンダは治安の良さで有名ですし、それにウガンダだって、首都カンパラの治安は悪いものの、田舎に行ったら治安はめちゃくちゃ良いです。
もちろん、東南アジアにも治安の悪い地域は存在します。例えば、イスラム系武装勢力が蜂起しているフィリピンのミンダナオ島など。
ただ、一般的にアフリカは治安が悪いというイメージを持たれているし、実際に東南アジアは治安が良い地域が多い。これもまた、大学生が東南アジアに足を運びやすい理由でしょう。
③日本人が多い
旅行者、移住者問わず、東南アジアにはたくさんの日本人が滞在しています。コネクションの作りやすさや口コミ・情報の多さから、大学生にとっても旅行するハードルが低いのです。
セブ島を旅行している時、「地元の人たちと同じ生活感を体験したい」ということで、乗り合いバスのジプニーを使っていたのですが、途中で日本人の旅行客4人が乗り込んできました。聞いた話によれば、セブ島に旅行する日本人は年間で40万人。あちらこちらから日本語が聞こえるわけです…。
タイやフィリピンであれば日系企業も多数進出しているため、現地で日本食にあるつくのも簡単です。吉野家や一風堂は、フィリピンでも多数見かけましたね。
先日観たテレビで、タイ在住の日本人は4万人以上という事実を知りぶっ飛びました。ちなみに、アフリカ全土で在留日本人は7931人(2016年10月1日現在)。54か国の合計が7931人です。まだまだフロンティアですね~。
④文化や風習が近い
同じアジア圏ということで、東南アジアの文化や風習には馴染みやすいです。
それに、旅行客もたくさんいることから、日本語が通じる人もたくさんいます。看板には英語や中国語に加え、日本語が書かれていることもしばしば。また、片言の日本語で「ヤスイヨ!」「オニイサンオニイサン、ミテミテ」なんて客引きも多い。
アフリカであれば、Japanから連想するイメージは、大体が”TOYOTA”か”HONDA”。道を歩いていても「ニーハオ!」と声をかけられます。僕らがルワンダ人とウガンダ人の見分けを付けられないのと同じように、彼らアフリカの人たちは、中国人と日本人の違いが分からないのです。
文化や風習の近い東南アジアであれば、日本人旅行者にとっても溶け込みやすいのでしょう。
⑤食事が日本人の舌に合いやすい
これは個人的な感想になりますが、東南アジアの食事は日本人の舌に合いやすい。フィリピン滞在中はほぼ毎日ローカルレストランで食事をしていましたが、味付けといい塩加減といい、とにかく美味い。
ちょっとしたカフェやショッピングモールに入れば、甘いスイーツも食べることができます。日本食だって食べられる。
アフリカも食事自体は美味しいのですが、(地域にもよるものの)日本食レストランはほぼ皆無だったり、またスイーツなんてもんは存在しない地域もたくさんあります。僕が滞在していたウガンダ北部のグルは、チョコレートケーキがパサパサしていました。
⑥マラリアをはじめとした病気の心配が少ない
東南アジアの旅行で必須となる予防接種って、何かあるのでしょうか。
アフリカであれば、多くの国で黄熱病の予防接種が必須です。入国時に、黄熱病ワクチンの接種後にもらえるイエローカードの提示が求められます。僕は他にも、A型肝炎、B型肝炎、そして狂犬病の予防接種を済ませています。
また、マラリアの感染地域も多いため、就寝時に蚊帳は必須です。蚊帳の中に一匹でもかが入っていることに気づいた時には、そいつをぶっ倒すために必死になって戦います。特に停電している時なんかは長期戦を覚悟しなくてはなりません。
マニラでもセブでも、僕が宿泊したホテルのベッドには蚊帳が付いていませんでした。虫刺されはしたけれど、久しぶりに途上国で蚊帳をしないでの就寝。病気の心配が少ないのも、アフリカではなく東南アジアに旅行する大学生が多い理由でしょう。
⑦親の理解を得やすい
大学生であれば、意外とこの理由が大きいかもです。
特に、
・治安が良い
・日本人が多い
・病気の心配が少ない
に関しては、親からの理解の得やすさにダイレクトに繋がっているでしょう。僕も生まれて初めて訪れる途上国がフィリピンではなくウガンダだったら、親に反対されていたかもしれません。
先日出会った大学生も、親に「アフリカに行きたい」と伝えたら、「それだけは絶対に止めろ」と言われたとか。「あんな危険な地域、大学生が一人で行く場所ではない」とかなんとか。
だいぶ偏見がある印象を受けましたが、まぁほとんどの親世代にとって、アフリカは”どこか遠くの世界”です。理解を得にくいというのは納得できます。
関係無いですが、「vol.9-1 途上国で働くと決めた時、周りに心配された?親をどう説得した?(原)」というテーマでも記事を書いているので、参考までに。
まとめ
大学生の多くがアフリカではなく東南アジアに旅行する理由を、
航空券が安い
治安が良い
日本人が多い
文化や風習が近い
食事が日本人の舌に合いやすい
マラリアをはじめとした病気の心配が少ない
親の理解が得やすい
の7つに大別してみました。
僕は東南アジア独特の雰囲気も好きです。けど、言葉にするのは難しいのですが、まだまだ「未知の世界」に包まれているアフリカのほうが、挑戦しがいがあるというか、ワクワク感を感じます。
東南アジアもいいですが、大学生の皆さん、ぜひアフリカにも足を延ばしてみて下さいな!