「社会問題を解決する仕事には、NPO以外にどんな選択肢があるのだろう?」
「社会貢献活動やボランティアを仕事にするには、どんな方法があるのだろう?」
こんな疑問にお答えします。
フリーランス国際協力師の原貫太です。大学在学中にNPO法人を起業し、2019年からはフリーランスに転向して途上国支援の仕事をしています。
社会問題に関わる仕事として、一番に思いつくのはNPO法人への就職です。僕は大学4年生の時に自らNPO法人を起業し、アフリカ支援を仕事にしました。
しかし、社会問題の解決を仕事にする方法は、NPO法人だけではありません。他にも様々な選択肢が存在します。
YouTubeでも解説しました。動画のほうが理解しやすい方は、こちらをご覧ください。
社会問題の解決を仕事にする7つの選択肢
社会問題に関わる仕事がしたい人は、以下7つの選択肢から検討してみましょう。
- 公益法人に就職する
- 社会的企業に就職する
- 企業のCSR担当者になる
- NPOや社会的企業を起業する
- 投資家として社会貢献する
- プロボノとしてNPOを支援する
- フリーランスで社会貢献する
公益法人に就職する
社会問題の解決に関わる仕事、一つ目の選択肢は「公益法人に就職する」です。
公益法人という言葉は聞き慣れないかもしれませんが、NPO法人のような団体を総称して「公益法人」と言います。
公益、つまり公にとって有益な法人という意味で公益法人です。
もちろん一般企業も自社のビジネスを通じて消費者の課題を解決していますが、基本的には企業は自分たちの利益を最大化することがミッションです。
一方でNPO法人のような公益法人は、構成員、NPOの場合は正会員の間で利益を分配することが認められていません。
株式会社だと株主の間で利益を分配することが認められていますが、NPOでそれをやったらダメです。
あくまでも自分たちの事業から生まれた利益は、社会問題の解決に使うことが求められます。
ただ、公益法人というのはNPO法人だけを指すのではありません。NPO法人以外にも一般社団法人や一般財団法人といった団体も公益法人に含まれます。
また、法人格を持っていなくても、任意団体として社会問題の解決に関わっている団体もあります。
例えば「あしなが育英会」という親を失った子どもたちをサポートする著名な団体がありますが、あしなが育英会も実は最近まで、ずっと任意団体で活動していました。今は一般社団法人の法人格を持っています。
社会問題の解決を仕事にする方法として、ベストなのは公益法人に就職することですが、決して簡単ではありません。新卒採用を行っている団体は少ないですし、専門性や実務経験がないと就職できない団体も多いです。
NPO法人やNGOに就職したいは、以下の記事もあわせてチェックしてみてください。
➡NGOに就職するなら学歴は必要か?【実は学歴より大切なものが3つある】 - 原貫太の国際協力ブログ
社会的企業に就職する
社会問題の解決に関わる仕事、二つ目の選択肢は「社会的企業に就職する」です。社会的企業はソーシャルビジネスと言い換えることもできます。
NPOもソーシャルビジネスも、どちらも社会問題を解決することを目的に事業を行う点は共通しますが、NPOは事業を行うための資金を寄付、つまり外部に頼る一方で、ソーシャルビジネスは基本的には事業を通じて生み出した資金をやりくりして社会問題を解決します。
もちろんNPOの中にも事業を行ない、しっかりと利益を出しながら活動している団体もあるので一概に言うことはできませんが、NPOとソーシャルビジネスの基本的な違いは資金を寄付などの外部に頼るか、それとも自分たちの事業で生み出すかです。
最近の学生だと「ビジネスを通じて社会貢献したい」という人も増えてきていると思うので、そういった人はNPOより、社会的企業に就職することを考えてみてください。
企業のCSR担当者になる
社会問題の解決に関わる仕事、三つ目の選択肢は「企業のCSR担当者になる」です。
CSRとはCorporate Social Responsibilityの略称で、日本語では企業の「社会的責任」と訳します。
企業の社会的責任とは、企業が自社利益だけを追求して事業を行うのではなく、従業員や消費者、環境などあらゆる利害関係者に配慮したり、寄付や環境保全活動にも取り組むことで、より良い社会作りをしようという企業の責任を指します。
会社によってはCSR部署という専門部署を設けている場所もあるので、就職したい企業が見つかったら、その会社はCSRを掲げているかチェックしたり、CSR部署が置かれているか確認してみましょう。
面接の際に「将来的には御社のCSR部署に配属され、積極的に社会貢献活動に関わりたい」といった話をするのもありだと思います。
ただ、近年はCSRという考え方は少し古くなってきていて、CSRではなくCSVを推進する企業が増えてきました。CSVとはCreating Shared Value、日本語では「共有価値の想像」と言います。
CSRとCSVについて詳しく知りたい人は、こちらの記事をご覧ください。
➡仕事を通じて社会貢献する3つの方法【CSR・CSV・プロボノとは?】 - 原貫太の国際協力ブログ
NPOや社会的企業を起業する
社会問題の解決に関わる仕事、四つ目の選択肢は「NPOや社会的企業を起業する」です。
特に学生の方、大学を卒業してすぐにNPO法人に就職することは難しいですが、自分で起業すれば、間違いなく社会問題の解決に関わる仕事ができます。
僕自身は大学4年生で就職する道を捨てて、難民を支援するためのNPO法人を起業しました。株式会社とは違い、NPO法人の起業には最初の資本金が必要ないため、お金がない学生でも実現可能です。
その一方で、社会問題の解決がメインの事業になるため、起業してすぐに大きな利益を出すことは難しいです。最初の1年から2年は無給、多くても月5万円から10万円程度の給料しかもらえないと考えてください。
★関連記事★
NPO法人の給料はいくら?どこから出る?元NPO職員がわかりやすく解説 - 原貫太の国際協力ブログ
近年はNPO法人の起業をサポートする中間団体も非常に多いですし、昔と比べるとNPO法人に関係する書籍もたくさん出回っているので、決して難しくはありません。
また、NPOではなく株式会社を起業して、ソーシャルビジネスを行うことも可能です。僕の周りでも学生をしながらソーシャルビジネスを起業している知り合いも最近は増えてきました。
就職ではなく、起業するというのも選択肢として考えてみてください。
投資家として社会貢献する
社会問題の解決に関わる仕事、五つ目の選択肢は「投資家として社会貢献する」です。
まず知っておいてほしいのは、資本主義社会では投資家や金融の世界が大きな影響力を持っているということです。世の中のお金の動きを変えることにも貢献しなければ、社会に大きなインパクトを与えることはできません。
実際にNPO業界でも、金融を通じた社会問題の解決を加速させようという動きがあります。
覚えてほしい言葉は二つ、SDGs投資とESG投資です。
SDGs投資とは、簡単に言えば企業がSDGsに取り組む姿勢を投資で応援することです。
2015年に国連は、国際社会の持続可能な開発目標、通称SDGsとして2030年を期限とする17の目標を定めました。
このSDGsには、世界中のあらゆる形態の貧困に終止符を打ったり、格差や不平等を解消したり、気候変動を食い止めたりする目標が含まれています。
近年は企業もSDGsの推進に力を入れています。SDGsに積極的に取り組んでいる企業を投資で応援するのがSDGs投資です。
もう一つ注目されているのが、ESG投資。ESGとは「環境を意味するEnvironment」「社会を意味するSocial」「企業統治を意味するGovernance」それぞれの頭文字を取ったもので、「ESG投資」というように「投資」をくっつけて使われます。
ESG投資では、その企業の財務の状況だけを見て投資を判断するのではなく、例えば
- その企業がいかにエコでクリーンな事業をしているか
- 環境問題に加担してはいないか
- 役員にどれだけの女性を起用してジェンダー平等を達成しようとしているか
- 法律を遵守して事業を行っているか
など、環境・社会・企業統治という観点から、その企業に投資する価値があるかどうかを判断することを意味します。
投資家としてSDGs投資やESG投資を推進することも、社会問題の解決に関わる一つの方法です。
プロボノとしてNPOを支援する
社会問題の解決に関わる仕事、六つ目の選択肢は「プロボノとしてNPOを支援する」です。
プロボノとは、プロのスキルを活用したボランティアです。会社員として働く方、普段の仕事を通じて身に着けたスキルや専門性があるなら、休日の時間を活かし、NPOにプロボノとして関わりましょう。
例えば会社でマーケティングの仕事に関わっている人は、NPOが資金調達に取り組むのをサポートできます。
会社で経理職を担当している人なら、経理に関する専門知識や効率の良い作業方法を知っているはずです。NPOの会計業務をサポートすることができます。
あくまでもプロボノ自体はボランティアですが、自分が日頃取り組んでいる仕事を直接的に活かして社会問題の解決に関わることができるため、六つ目の選択肢として紹介しました。
本業の仕事で培ったスキルや知識を使って社会問題に関わりたい人は、応援したいNPOにプロボノとして関わってみましょう。
フリーランスで社会貢献する
社会問題の解決に関わる仕事、七つ目の選択肢は「フリーランスで社会貢献する」です。つまり、この記事を書いている僕のような働き方をする方法です。
フリーランスとして社会問題の解決に関わり続けている僕の仕事の柱は、大きく二つあります。一つが発展途上国での支援活動、もう一つがインターネットを使った情報発信です。
一つ目の発展途上国での支援活動は、このブログでも何度も紹介してきたようなアフリカでの貧困層の支援活動を指します。
二つ目のインターネットを使った情報発信は、僕の場合はブログでの執筆活動やYouTubeでの動画投稿を指します。
社会貢献やボランティアは一般的には収入になりにくいと考えられていますが、ブログやYouTubeを使って情報発信をすることで、自らの収入を作り出すことができます。
ボランティアが仕事になる理由については、こちらの記事で解説しています。
➡ボランティアを仕事にする人が増える、そんな時代がもうすぐ来る。なぜか? - 原貫太の国際協力ブログ
さいごに
社会問題の解決を仕事にする7つの選択肢を紹介しました。
社会問題の解決が仕事になると、困っている人の役に立っている実感を日々得やすいため、仕事に対するやりがいも感じやすくなります。
特に今の若い人たちには、お金を稼ぐことより、社会に役立つ仕事をしたいと考えている人が多いはず。
僕のブログでは社会貢献やボランティアに関する解説記事を多数載せているので、ぜひ他の記事も読んでみてください。
こちらの記事もよく読まれています。あわせてご覧ください➡ボランティアを仕事にする人が増える、そんな時代がもうすぐ来る。なぜか? - 原貫太の国際協力ブログ
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