原貫太の国際協力ブログ

フリーランス国際協力師原貫太のブログです。国際協力やNPO・NGO、アフリカ、社会問題などのテーマを中心に解説しています。

大量生産大量消費いつまで続けるの?アフリカで働く日本人がリアルに解説

僕たち人類は、いつまで大量生産大量消費の生活を続けたいのでしょうか?

 

今のライフスタイルをこれからも世界が続ければ、22世紀に突入する頃には、世界中の資源は枯渇し、環境は破壊され、現代社会は終わりを告げる気さえします。

 

人類が大量生産大量消費を続けている限り、僕らの子ども、またその子どもの世代に「美しい地球」を残すことは、不可能に近いでしょう。

 

フリーランス国際協力師の原貫太(@kantahara)が資源問題や食糧問題を具体例に挙げながら、不条理な世界の現実を解説します。

 

 

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大量生産大量消費は地球資源の「予算」を切り崩すことで成り立つ

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大量生産大量消費の生活は、地球にある自然資源の「予算」を切り崩すことによって可能になるライフスタイルです。

 

これは2016年の話になりますが、地球が一年間で再生できる水や食料、清浄な空気など、一年間で割り当てられている自然資源の「予算」が8月8日に使い果たされたと、国際環境NPOグローバル・フットプリント・ネットワーク(GFN)が報告書を出していました。

 

GFNは当時、以下のような声明も出しています。

 

我々人類は、海と森林が吸収できる量よりも多くの二酸化炭素を大気中に放出しており、またその再生産と再成長よりも早く、海の恵みを枯渇させ森林を伐採している。

エコロジカル・オーバーシュート(Ecological Overshoot=人間の消費量の方が自然の再生産量よりも上回っている状態)を引き起している最も急激な要因は、大気中への炭素の放出である。

 

中国やインドをはじめ、途上国の経済が成長すれば、僕たち先進国が続けてきた大量生産大量消費を築く社会が今以上に増えてしまいます。

 

そうなれば、自然資源の「予算」が使い果たされる日はさらに早まってしまうでしょう。

 

大量生産大量消費の社会が存在する一方で世界から飢餓はなくなっていない

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南スーダン難民居住区で筆者撮影


先進国や途上国の裕福層が大量生産大量消費のライフスタイルを営む一方、未だに世界では飢餓が大きな問題になっています。

 

今世界の飢餓人口は7億9500万人いるとされています。実に、9人に1人が飢餓に苦しんでいる計算です。

 

また、毎日約3万人の子どもが飢餓や栄養不足を原因に亡くなっています。例えば、アフリカの南スーダンを具体例に考えてみましょう。

 

紛争と経済崩壊の影響によって、アフリカの南スーダンでは今年2月に飢饉が宣言されました。国連機関は10万人が飢餓に直面、また100万人が飢饉寸前の状態に追い込まれていると発表しています。

 

僕が活動するウガンダ北部の南スーダン難民居住区でも、配給される食糧は毎月たったの12キロ。「一日一回しか食べられない家族もいる」と話を聞いていました。

 

大量生産大量消費のライフスタイルがあたりまえの国がある一方で、この時代も世界から飢餓はなくなっていません。

 

食糧が公平に分配されたら、理論上飢餓は起きない。

こういった世界の飢餓問題に対して「地球全体の人口が増えているのだから、食糧が行き渡らないのは仕方がない」という意見もありますが、これは大きな誤解です。

 

毎年、世界では約25億トンもの食糧が大量生産されていますが、これを世界人口の70億人で割ると、一人当たり約357キロの食糧になります。

 

この量は、人間が生存に必要な量(200キロ/年)の約1.75倍にあたるのです。つまり、世界の人々が食糧を公平に分配することができれば、理論上では飢餓は起こらないのです。

 

途上国の人口が急増していることを飢餓問題の原因に挙げる人がいますが、これも違います。

 

飢餓が起きている国であっても、その国の人々が食べるための自給食料が生産されていないにもかからわず、先進国に輸出する用の食糧や、また家畜飼料などの生産が優先されているケースが存在するからです。

 

食べ物を大量生産大量”廃棄”する日本

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戦後の高度経済成長期以降、日本でも大量生産大量消費のライフスタイルが浸透しました。

 

ただ、例えば食べ物を例に考えてみると、日本では大量生産大量消費ではなく大量生産大量”廃棄”が続けられています。

 

日本では年間約1,700万トンの食糧が廃棄されており、その中でもまだ食べられるのに捨てられる「食品ロス」は年間500〜800万トンにものぼります。

 

人間が生存するのに必要な食糧は年間約200キロのため、計算上は、日本は約4,000万人が一年間生きられるだけの食糧を毎年廃棄していることになるのです。

 

世界最貧国で見た自然と調和したライフスタイル

大量生産大量消費

今年2月、僕は世界最貧国の一つであるアフリカのブルンジ共和国に滞在しました。大量生産大量消費のライフスタイルからは真反対とも言える国です。

 

農村部に足を運べば子どもたちの着る服はボロボロ。電気も水道も通っていません。物質的には、決して恵まれていない生活が広がっています。

 

しかし、その中でもブルンジの人たちは、日本よりもずっと持続可能な形で、自給自足の生活、言わば自然と調和した生活を送っていました。

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バケツの蓋を転がして遊ぶブルンジの子供

 

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レンガで造られた焼き場で牛肉を焼く男性

 

高度経済成長期を経て、日本は経済的、物質的には豊かな国になったかもしれません。

 

しかし、資本主義システムという大きな枠組みに組み込まれ、大量生産大量消費を極めすぎた僕たちの生活は果たして持続可能なものと呼べるのでしょうか。

 

いい加減私たちは、どう考えても行き過ぎている「大量生産大量消費」の生活スタイルを見直す時期に来ているかもしれません。

 

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