東南アジアの旅行先として人気のあるカンボジアですが、初めて訪れる人は治安を心配すると思います。
ポルポト政権による虐殺や地雷問題など、カンボジアに危険なイメージを持つ人もいますが、現在のカンボジアは治安がとても安定しています。
フリーランス国際協力師の原貫太です。カンボジアは初めての途上国旅行にもおすすめの国。僕もプノンペンとシェムリアップに行ったことがあります。
これからカンボジアを旅行する人向けに現地の治安事情を解説します。カンボジア在住の日本人の声も掲載しました。出発前にぜひご一読ください。
- カンボジアの治安、外務省が出す2019年最新情報は?
- プノンペン・シェムリアップの治安は?
- カンボジア旅行者が注意すべき6つの安全対策
- リスク管理はしっかりやろう
- 日本人在住者が語るカンボジアの治安(バッタンバン州)
- さいごに
カンボジアの治安、外務省が出す2019年最新情報は?
外務省の海外安全ホームページによると、2018年8月18日現在カンボジアの治安は以下のようになっています。2019年6月26日現在カンボジアの治安は以下のようになっています。
「海外安全ホームページ」より転載
プノンペンやシェムリアップを含め、カンボジア全土で治安レベルは1「十分注意してください」となっています。
この治安レベル1はほとんどの途上国で出されています。東南アジアであればフィリピンやミャンマーといった日本人が多く生活する国でも、国土のほとんどがこのレベルです。
カンボジアの治安に対する「十分注意してください」の意味は、殺人や誘拐など凶悪犯罪に巻き込まれる可能性も決してゼロとは言えないけど、それ以上にスリやひったくり、置き引きなどの軽犯罪に「十分注意してください」と理解して問題ないでしょう。
海外で殺人などの凶悪犯罪に日本人が巻き込まれるのは2、3年に一回程度と聞いたことがあります。しかし表沙汰にならないだけで、スリやひったくりといった被害に遭っている日本人はたくさんいます。
実際、2019年6月19日には在カンボジア日本大使館から「ひったくり等への注意」という通達も出ていますね。僕の知り合いにもカンボジア旅行中、スリ被害に遭った人がいます。
カンボジアの治安を心配する人はスリやひったくりなど、軽犯罪のリスクを頭に入れておいてください。
プノンペン・シェムリアップの治安は?
カンボジアを旅行する人のほとんどが滞在するプノンペンとシェムリアップ。基本的に、どちらも治安は安定していると考えて問題ありません。
まずプノンペンですが、急激な都市化によって貧富の格差が広がっており、またストリートチルドレンをはじめ路上生活者もいることから、治安の悪さをイメージする人もいるでしょう。
基本的にはプノンペンでも、スリ、窃盗、置き引きといった軽犯罪が主な問題となっています。お金を持っている日本人観光客はターゲットになりやすいので、最低限の注意事項は守って行動しましょう。
また、観光地として有名なシェムリアップですが、海外旅行者も多く、プノンペンより治安は良いと言われています。しかし、プノンペンと同様、軽犯罪に巻き込まれないための最低限の注意は払いましょう。
【補足】カンボジアでは”ぼったくり”にも注意しよう
カンボジアの治安事情とは少し離れますが、ぼったくりにも気を付けて下さい。
メニュー表の備え付けられたお店なら問題ありませんが、露店で何か買い物をする時は、口頭で店主に値段を聞く必要があります。
こちらが観光客であることに気づくと、定価の二倍以上の値段を言いつけてくる人もいます。できる限り、値切り交渉をしましょう。この交渉も意外と楽しいです。これもカンボジア旅行の一つの醍醐味ですね。
カンボジア旅行者が注意すべき6つの安全対策
カンボジアは治安が安定していると言っても、日本と同じような感覚で過ごすのはよくありません。カンボジア旅行者ができる6つの安全対策を紹介します。
人ごみで長時間滞在しない
どの国でも、人がごった返している場所は治安が悪いと言われています。スリにとっては絶好のスポット。カンボジアも例外ではありません。
特に、バスターミナル。ストリートチルドレンや路上生活者も集まりやすいです。暗くなった日没後、人がごった返している場所では、スリや窃盗といった軽犯罪に外国人旅行者が巻き込まれる可能性も考えられます。
カンボジア滞在中、人ごみでの長時間滞在は避けましょう。
ホテル選びは慎重に。出発前にネット予約しよう
大学生にも人気の旅行先、カンボジア。節約を意識するばかり、セキュリティや周辺の事情を考慮せずに宿泊先を決めてしまう人がいます。
例えば、外出中にホテルの部屋に置いた貴重品を持っていかれてしまうケース。中には、鍵を持つ従業員が部屋に入って盗み、そのままとんずらしてしまうことも。
僕はカンボジアに到着後にホテルを決めるのではなく、出発前にエクスペディアを使って予約しました。カンボジアでも、ネットに情報を掲載するホテルの方がしっかりしており、また既に宿泊した人による評価や周辺の治安事情も確認できるからです。
交通安全に気をつける
カンボジアの治安というと、犯罪の危険性をすぐに思い浮かべるかもしれません。
しかし、カンボジアのような途上国旅行で最も危険性の高い有事は、殺害や誘拐、強盗ではなく、交通事故です。長らくアフリカで活動してきた僕も、交通事故が一番の危険だと感じています。
カンボジアを旅行した時、他の途上国と比べると、交通秩序が保たれている印象を受けました。が、それでも日本と比べたら、たくさんの危険が潜んでいます。クラクション、めちゃくちゃ鳴らされていますね。
旅行者のほとんどは三輪タクシーの「トゥクトゥク」を使うと思いますが、中には荒っぽい運転をする人もいます。危険だと感じたら、運転手に
”Safe driving, please”(安全運転でお願い)
”We are not hurrying up, so go slowly”(僕たちは急いでないから、ゆっくり行こう)
などと伝えましょう。これからカンボジアを旅行する人は、治安について調べる際、交通事情も一緒に調べてみるといいでしょう。
カンボジア人でも寄り付かない場所は避ける
言うまでもありませんが、カンボジア人でも寄り付かない場所には、興味本位でも足を運んではなりません。その意味で、カンボジア到着後、ホテルのスタッフに「このあたりに治安の悪い場所はある?」と訊いてみるのもいいでしょう。
例えばカンボジアの場合、スタディツアーやボランティア活動ならともかく、売春宿が立ち並ぶエリアやスラム街(貧困地区)が広がるエリアは治安もよくないため、旅行者は気軽に近寄るべきではありません。
荷物管理はしっかり
カンボジア旅行中の方、カバンのチャックが開きっぱなしになっていないか、今すぐ確認してください。
僕はチャックが多数あるリュックサックを使用していることもあり、時々一部だけ開きっぱなしになっていることがあります。マジで気を付けます…。
カバンのチャックはしっかりと閉め、また人がたくさんいる場所など少しでも危険を感じたら、背負うのではなく、前に抱えるようにしましょう。
また、レストランで食事をする時も、カバンは自分の目の届く場所に置いたり、身体と常に触れている場所に置くようにしましょう。カンボジアのような途上国を訪れる時の鉄則ですね。僕は足と足の間に挟みながら食事をするようにしています。
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ネット環境を常に保つ
カンボジアの治安が心配な人は、滞在中、ネット環境を常に保つことが一つの安全対策になります。移動中もネット環境があれば、道に迷った際、すぐに調べることができます。
僕はSIMロック解除したiPhone6sに現地で購入したSIMカードを挿して使っているのですが、中にはSIMロック解除できないスマホを持っている人もいるかもしれません。
そんな人たちは、カンボジア旅行用にSIMフリーのスマホを一つ用意しましょう。
SIMフリーのスマホを一つ持っておけば、カンボジア以外の国に旅行した時にも、現地のSIMカードさえ買ってしまえばネットに繋げますからね。イオシス のような中古サイトを使えば、SIMフリー機種も安く購入できます。
「現地でちゃんとSIMカードを購入できるか不安…」「カンボジアに行くためだけにSIMフリーのスマホを買うのはもったいない…」という人たちは、海外Wi-Fiレンタル をフィリピンに持っていくのもありです。
おすすめはイモトのWiFi 。一日980円~レンタル可能です。出発30日以上前に予約すると早割が適用されます。
リスク管理はしっかりやろう
ここまで、カンボジアの治安事情と旅行者できる安全対策を紹介しました。
一方で、どんなに用心しながら過ごしていても、カンボジアのような途上国旅行に予期せぬハプニングは付き物。リスクをまったくのゼロにすることは不可能に近いです。
だからこそ、日本のような治安は期待できないカンボジアに足を運ぶ際は、海外旅行保険に加入しましょう。カンボジアで働くNGO職員も、渡航の際には保険に加入しています。
現地で何かのトラブルに巻き込まれ、海外旅行保険に加入していなかったために旅行が台無しになるのはもったいないですからね。保険内容にもよりますが、一週間のカンボジア旅行なら保険費用は2,000円~4,000円です。
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日本人在住者が語るカンボジアの治安(バッタンバン州)
僕の友人であり、NGO職員としてカンボジアに駐在する延岡由規さん(2018年3月現在)が、カンボジアの治安事情を解説してくれました。治安に関する「ナマ」の声、2018年版です。
延岡さんはプノンペンでもシェムリアップでもなく、北西部のバッタンバン州で生活していますが、日本人在住者から見たカンボジアの治安事情は、きっと参考になるはずです。
「わたしが生活をしているのはカンボジア北西部のバッタンバン州です。約1年ほど住んでいますが、治安の面で特に危険な目に遭ったことはありません。
ただし、夜間はひとりで出歩かない、貴重品は分散して管理する等々、カンボジアに限らず、海外で生活する上で必要な安全管理は行なっています。
首都プノンペンや観光地であるシェムリアップでは、スリや盗難など、いわゆる一般犯罪、日本人をターゲットにしたいかさま賭博の詐欺などが発生していることは聞いております。また、最近よく耳にするのはひったくりです。斜めがけの鞄などを強引に掴まれ、奪い取るまでバイクで引きずられるような事件もあるので、移動の際は手荷物に十分な注意が必要です。
都会では最近、タクシー配車アプリも徐々に普及しています。スマホの画面を見ながらタクシーを待っている間に、ひったくりに遭うことも容易に想定されますので、歩きスマホは極力控えた方が良いですね。」
さいごに
カンボジアの治安は全般的に安定しており、初めての途上国旅行におすすめの国です。
一方で、スリや窃盗、置き引きといった軽犯罪には注意しましょう。旅行者の場合、最低限の注意事項さえ守っていれば、カンボジア旅行は充実したものになるはず。アンコールビールがとにかく美味しいので、ぜひ飲んでみてください。
なお、記事でお伝えしたカンボジアの治安は、あくまでも「今は」です。カンボジアの場合、政治体制の移行や選挙に伴い、治安が急変する可能性もゼロではありません。
カンボジアの治安に関する最新情報は、外務省の海外安全ホームページをチェックするようにお願いします。
【追記】カンボジア旅行の費用を3,000円節約する方法
日本のような治安は期待できないカンボジア。リスク管理のため、カンボジア旅行をするなら海外旅行傷害保険への加入は必須だとお伝えしました。
しかし、保険費用が加わってしまうため、旅費は高くなってしまいます。例えば、一週間のカンボジア旅行なら、保険代は3,000円が平均的な値段です。
保険費用を節約したいなら、海外旅行傷害保険が付帯されるクレジットカードの持参をおすすめします。年に数回海外旅行をする僕は、三井住友VISAクラシックカード 、EPOSカードの二枚を使っています。
海外旅行傷害保険付帯のクレジットカードをカンボジア旅行までに作っておけば、保険費用で支払うはずの3,000円を”0円”にすることが可能になるのです。二枚持ちしておけば、保険の心配をする必要もなくなるでしょう。
※なお、盗難やATM吸い込み被害、また一時的な利用不可になる可能性を考慮し、海外旅行には2枚以上のクレジットカードを持っていくのが鉄則です。2枚目、3枚目のクレジットカードとしても、EPOSカードをご検討ください。
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