フリーランス国際協力師の原貫太(@kantahara)です。
日本人にとってあまり馴染みのない国、バングラデシュの治安をできる限りリアルに解説します。僕も2度、バングラデシュを旅行した経験があります。
バングラデシュと聞くと、思い返されるのは2016年7月に起きたダッカ人質テロかもしれません。日本人も7名が犠牲になりました。
テロ前後でバングラデシュの治安は変化したのか。バングラデシュを旅行する人はどんな安全対策をすればいいのか。
今回の記事は、バングラデシュで働く日本人の方にも一部寄稿してもらいました。リアルな治安がわかる内容に仕上げています。
これからバングラデシュを訪れる人は、出発前にご一読くださいね。
外務省が発するバングラデシュの治安は?(2020年8月更新)
バングラデシュの治安を調べる時、一度は外務省の海外安全ホームページに目を通しておきましょう。
記事を書いている2018年1月30日時点で、バングラデシュの治安は以下の通り。
記事を更新している2020年8月現在、治安レベルは以下のようになっています。
「海外安全ホームページ」より借用
現地で感じたバングラデシュの治安
僕がバングラデシュを訪問したのは2015年です。当時から首都ダッカは貧富の差が激しく、一般的に治安が悪いと言われていました。
バングラデシュ人の通訳からも「夜は日本人一人では絶対外出しないで」と注意を受けていましたね。
一方で、僕は一人でダッカに1ヶ月滞在した経験もありますが、その間に何かトラブルに巻き込まれたことはありません。どの国でも同じですが、基本的な注意事項をしっかり守って行動していれば、大きな被害に遭うことはほぼないでしょう。
バングラデシュで外国人が歩いていると、物珍しさからか、たくさんの人が近寄ってきます(上の写真参照)。最初は「何かされるのでは?」と怖かったのですが、ストリートチルドレンに囲まれた時も自分の身には何も起こりませんでした。
ただ、外国人がスリなどの軽犯罪に巻き込まれるケースは報告されているため、人ごみでの長時間滞在は避けるようにしましょう。
首都ダッカと田舎の治安には大きな差がある
これはバングラデシュに限った話ではありませんが、途上国では一般的に田舎のほうが治安は良いと言われています。
バングラデシュの首都ダッカでは貧富の格差が大きくなっています。路上生活者も増えており、スリや強盗を働く犯罪組織も活動しているようです。中には生活のために仕方なく犯罪に手を染めるストリートチルドレンもいます。
一方、バングラデシュの田舎ではほとんどの人が農業で生計を立てています。そのため地域内の経済格差も少なく、犯罪のリスクも低いのです。
ただ、2015年10月には、バングラデシュ北部のラングプールで日本人男性が射殺される事件も起きています。現地に適応した生活をしながらも命を狙われたケースとして、国際援助業界には大きな衝撃が走りました。
非常に稀なケースではありますが、田舎滞在中であっても用心するに越したことはありません。
ダッカ人質テロ後、バングラデシュの治安に変化は?
日本人7名を含む20名以上の死者を出したダッカ人質テロ。その後治安当局によるイスラム過激派の摘発が進みましたが、首都ダッカを中心に未だテロの脅威はゼロではないと言われています。
ただ、2018年1月にバングラデシュを訪問した某国際NGOの知り合いは、こんなことを話していました。
「テロが起きる前と比較して、バングラデシュの治安が悪くなった印象はほどんどないし、危険も特に感じなかった。首都ダッカから出ないように注意を受けるけど、むしろダッカにいる方が危険なのでは?」
テロ以降、バングラデシュの治安に関しては色々な情報が叫ばれています。できる限り最新情報に触れるようにしてください。
バングラデシュで働く日本人による治安解説
バングラデシュで仕事をする知り合いから、治安に関する解説記事を寄稿してもらいました。こちらも参考にしてください。
2018年2月現在まで、私は約4年半バングラデシュと関わっている。そのうち、3年半は出張ではなく、現地にどっぷり浸かった生活をしていた。
少しずつ世間の記憶から薄れつつあるバングラデシュでのテロ事件は、2016年7月1日に起こった。テロが起きる前から一年間ほどバングラデシュの治安は不安定で、専門家によると大きなテロ事件が起こっても不思議ではない状況だったようだ。
私がバングラデシュを初めて訪れたのは2013年6月。日本人が道端を歩いていると、まるでハリウッドスターにでもなったかのように現地の人に取り囲まれ、質問攻めにあうバングラデシュが大好きだった。
リキシャと呼ばれる人力車や、電気で走るオートリキシャは、現地の人にとっても私たち外国人にとっても、便利な交通手段だった。
しかし、テロ事件から2年が経とうとする今も、少なくとも私が従事する環境下においては、道を歩くことはもちろんのこと、外食や買い物さえも制限されている。もはや、私が知っている、歩いて現地の人たちと触れ合えるバングラデシュではなくなってしまった。
テロ事件後は、車以外の手段で移動したり、自由に地方に行ったりすることはなくなった。そのため、正直に言えば、バングラデシュに滞在しながらも、治安が悪いかどうかを肌で実感することは難しい。
もっぱら、大使館などから送られてくる治安情報と現地人の情報から判断するしかない。
テロ事件というのは、予知するのは難しく、一度起きてしまえば安全の基準が不明確になる。何度もバングラデシュに足を運んでいると、家族や友人から『バングラデシュの治安はどう?』と聞かれるが、正直に言うと『外を歩くことがほとんどないから、治安が悪いかどうかさえ分からない。
ただ、規制があるということは、不安定な状況が続いているということだろう。』という回答しかできない。
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バングラデシュを旅行する人は何に注意すればいい?
これからバングラデシュを旅行する方は、最低でも以下6つの安全対策を意識するようにしてください。
もちろんリスクを全くのゼロにすることは難しいですが、それでもこういった対策を気をつけているだけで、テロや犯罪に巻き込まれる可能性を大きく減らせるはずです。
一つずつ解説します。
外国人が集まる飲食店やショップなどへの出入りはできる限り避ける
ダッカ人質テロで標的になったレストランも、外国人がたくさん集まる店でした。当時バングラデシュでインターンしていた友人も、数日前に訪れたばかりだったとのことです。
バングラデシュを旅行する人は、外国人が集まる飲食店やショップなど民間施設への出入りはできる限り避けるようにしましょう。
バングラデシュの生活、文化、宗教を尊重した生活を送る
バングラデシュはイスラム圏の中でも世俗的なほうですが、女性は肌を見せ過ぎない、男性も目立ちすぎる服は着ないなど、現地の生活、文化、宗教を尊重した生活を心がけてください。
旅行者だからと言って、羽目を外した格好をしたり、華美な格好をしたりすることはやめましょう。
外出にはできる限り車を使用する
多少お金がかかっても、公共交通機関ではなく、外出時はできる限り自動車を使ってください。ドライバーはホテルに手配してもらうなど、信頼できる人にお願いしましょう。
旅行者の場合、夜間の一人歩きは大変危険です。夜間移動は特に車を使うようにしてください。
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金曜日の行動には注意する
バングラデシュはイスラム教国です。ダッカ人質テロが起きたのも、ラマダン明けの金曜日の夜でした。
旅行者は、宗教行事期間中や集団礼拝のある金曜日など、注意を必要とする時期の外出は極力控えましょう。
行動パターンを限定しない
旅行より出張の場合にあてはまることですが、バングラデシュ滞在中の行動パターンを固定化しないようにしましょう。
バングラデシュ滞在中はネット環境を保つ
滞在中、ネット環境を常に保つことも一つの安全対策になります。
僕は海外に行く時、SIMロック解除したiPhone6sに現地のSIMカードを挿して使っていますが、中にはSIMロック解除できないスマホを持っている人もいるかもしれません。
そんな方は、バングラデシュ旅行用にSIMフリーのスマホを一つ用意しておきましょう。
SIMフリーのスマホを一つ持っておけば、バングラデシュ以外の国に旅行した時も現地のSIMカードでネットに繋げますからね。イオシス のような中古サイトを使えばSIMフリー機種も安く購入できます。
「現地でちゃんとSIMカードを購入できるか不安…」「バングラデシュに行くためだけにSIMフリーのスマホを買うのはもったいない…」という人は、海外Wi-Fiレンタル を持っていくのもありです。
おすすめはイモトのWiFi 。出発30日以上前に予約すると早割が適用されます。
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リスク管理はしっかりやろう
ここまで、バングラデシュの治安と旅行者ができる安全対策を紹介しました。
一方で、どんなに用心しながら過ごしていても、バングラデシュ旅行に予期せぬハプニングはありえます。リスクをまったくのゼロにすることは不可能に近いです。
だからこそ、日本のような治安は期待できないバングラデシュに足を運ぶなら、海外旅行傷害保険を準備しておきましょう。
現地で何かのトラブルに巻き込まれ、保険に加入していなかったためにせっかくの旅行が台無しになるのはもったいないですからね。一週間のバングラデシュ旅行なら、保険費用は2,000円~4,000円でしょう。
さいごに
バングラデシュの治安について解説してきました。
首都ダッカのテロが起きた直後は心配されたものの、バングラデシュの治安はその前後で特に大きな変化があったとは言えません。
しかし、過激派による活動が世界中で活発化する近年、イスラム圏のバングラデシュに旅行するなら注意は必要です。現地のリアルな情報に触れる努力をしながら、準備にしっかり時間をかけてください。
【追記】バングラデシュ旅行の費用を3,000円節約する方法
記事を読んでくださり、ありがとうございました。さいごに、バングラデシュのような途上国を旅行する時にできる旅費節約の方法をご紹介します。
これは、僕が海外旅行する時にいつもやっている方法です。
記事の中で、日本のような治安は期待できないバングラデシュを旅行するなら、海外旅行傷害保険は必須とお伝えしました。
しかし、当然ですが保険費用が加わってくるため、その分だけ旅費は高くなってしまいます。例えば一週間の旅行なら、3,000円くらいがかかりますね。
できることなら旅行保険には入らず、少しでも旅費を浮かせたいですよね。もし帰国するまで何も問題が起きなければ、支払った保険代は正直もったいない気もしてしまいます…。
でも、行き先は途上国であるバングラデシュです。現地では何が起きるか分かりませんから、安心材料としても何らかの保険は絶対にあった方がいい。
ということで、保険費用を節約したいという人は、海外旅行傷害保険が付帯されるクレジットカードをバングラデシュに持っていきましょう。中でも、一番おすすめなのがEPOSカードです。
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※なお、盗難やATM吸い込み被害、また一時的な利用不可になる可能性を考慮し、海外旅行には2枚以上のクレジットカードを持っていくのが鉄則です。2枚目、3枚目のクレジットカードとしてもEPOSカードをご検討ください。
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