何かの分野で一番になりたい。そう考えていた自分にとって、 佐藤航陽さんの著作『未来に先回りする思考法』に書かれた一節は、あまりにも衝撃的でした。
一番になること自体を目標にできるのは、すでに誰かがルールをつくっておいてくれたおかげです。一番を目指しているようでは、その時点で「永遠の二番手」なのかもしれません。プレイヤーは、逆立ちしてもルールそのものにはかなわないからです。本当に一番になりたいのなら、自分自身がルールをつくり、誰もいないフィールドに飛びこんでください。
佐藤 航陽 ディスカヴァー・トゥエンティワン 2015-08-27
何かの分野で一番になりたい。僕もそう思っていた
どうせ起業するなら、何かの分野で一番になりたい。僕もかつてはそう考えていました。
僕は大学に通いながらNPO法人を起業しています。それだけでも珍しく、珍しさゆえの価値があるかもしれません。
でも、同じ業界を引っ張ってきた先輩たちの二番煎じになっている限り、起業する意味なんかない。同じことを低いレベルでやるくらいなら、一番を牽引する組織に入ってしまったほうが良い。
だからこそ、何か一つの分野では一番になりたい。学生起業した僕は、そうやって闘志を燃やしてきました。
一番になる人は二番の人よりも注目されるから
一番になりたいと思う動機の一つに、「誰よりも注目してもらえるから」というのがあると思います。
一番になる人が二番の人よりも注目されるのは、あたりまえのことです。承認欲求の強い人であればあるほど、注目されるためにも一番になりたいと願うでしょう。
例えばオリンピックの100メートル走。優勝のウサイン・ボルト選手と、準優勝の選手であれば、どちらにCM出演を依頼するかは明白です。
例えば水泳の平泳ぎ。もう引退しましたが、北島康介選手のことはみんな知っているはずです。国内の大会だけではなく、世界大会でも常に一番になる人でしたから。
でも平泳ぎの二番目の人って、なかなか出てこないですよね?
何かの分野で一番になる人は、二番の人よりも圧倒的に注目されるのです。だから、多くの人は一番になりたいと望みます。
一番になりたいと思える時点で、もう一番にはなれない
せっかく起業するんだし、いつかはこの業界で一番の人間になりたい。
そんなことを考えている時、メタップス代表佐藤航陽さん著作『未来に先回りする思考法』を読んで、自分の中に大きな衝撃が走りました。
一番になること自体を目標にできるのは、すでに誰かがルールをつくっておいてくれたおかげです。一番を目指しているようでは、その時点で「永遠の二番手」なのかもしれません。プレイヤーは、逆立ちしてもルールそのものにはかなわないからです。本当に一番になりたいのなら、自分自身がルールをつくり、誰もいないフィールドに飛びこんでください。
一番になりたいと思って他のプレーヤーとの競争に躍起になっていても、それは既に誰かがルールを作ってくれていたおかげ。その分野でいくら努力を続けたとしても、本当の意味で一番になる日は永遠に訪れない。
例えば日本一のYouTuberになるため他のYouTuberと争っていても、そもそも日本でYouTuberという仕事を広く知らしめたヒカキンさんには、いつまでも勝てないということです。
”真の一番”になるためには、まだ誰もいない分野に先駆者として飛び込んでいき、後から入ってくるプレーヤーたちが従うことになるルールを自ら創り上げる心意気がなくてはならない。
その「ルール」すらを最初に創り上げられる人こそが、本当の意味での一番になれる人。そんなことに気づかされました。
一番になりたい動機が承認欲求を満たすことにあるなら、やめよう
何かで一番になりたいと考えている方。もし、その動機が「自分の承認欲求を満たすこと」にあるのであれば、今すぐやめた方がいいです。
親に認められたい。友達にすごいと思われたい。社会に自分の名を轟かせたい。そういった承認欲求がある限り、あなたは自分だけの人生を送ることはできていません。
なぜなら、他人から認められたいという承認欲求がある限り、自分の軸ではなく、他人の軸を基準にしながら生きることに繋がるからです。
何かの分野で一番を目指す限り、ほぼ永久的に誰かと争い続けることになります。現在一番に君臨している人を抜かす必要があるし、仮にあなたが一番になったとしても、二番手三番手の人に追い抜かされないよう、常に戦い続けなければなりません。
承認欲求のせいで、ただでさえ他人の顔色を伺いながら生きているというのに、さらに熾烈な争いに巻き込まれる人生を送っていたら、間違いなく心は消耗していきます。
そんな「消耗する人生」を送るくらいなら、誰もいない分野に飛び込み、自ら新境地を開拓して、本当の意味で一番になる人生を目指すほうが、よほど生きやすくはないでしょうか?
フリーランスになってから、一番になりたい気持ちもなくなった
この記事を出した時から一年が経った2018年末、うつ病になったことが原因で僕は起業したNPOを離れることになりました。
そして、2019年からは組織に所属しないフリーランスに転向し、現在は日本とアフリカを往復しながら個人で仕事をしています。
不思議なことに、フリーランスになってからは「一番になりたい!」といった気持ちは、綺麗さっぱり無くなったんですよね。
組織に属さず、基本的にはすべての仕事が一人で完結できる働き方なので、人間関係で悩むことがありません。そのため「競争」しなくてはならない場面も、ほぼないんですよね。
それに、僕は「フリーランス×国際協力」という、今まで誰も挑戦してこなかったような新しい働き方を体現しています。佐藤航陽さんが『未来に先回りする思考法』の中で書いたように、誰もいないフィールドに飛び込んだからこそ、誰のことも目指す必要がありません。
一番になりたいという気持ちは全くないのに、自然と一番になることができました。
人生は誰かと競争するためにあるのではありません。だから、プレッシャーによって自分が苦しめられるくらいなら、そもそも「(他人と比較した上での)一番になりたい」という気持ちは、なくてもいいと僕は思っています。
それでもなお、「唯一無二の存在になりたい」「誰も挑戦したことのない分野で、真の一番になりたい」と思うのであれば、起業やフリーランスといった働き方に挑戦し、まだ誰も足を踏み入れたことのない分野に挑戦してみてはいかがでしょうか。
さいごに
一番になる人と一番になれない人の決定的な違いは、最初にその分野に飛び込んだ人かどうか、その時点で決まってしまう。一番になりたいと思える時点で、あなたは永遠の二番手であることを物語っているのです。
この本を読んでいなかったら、数年後の自分の在り方が大きく変わっていたと思います。未来に先回りし、”真の一番”になりたいという人は、ぜひ読んでみてくださいね。
佐藤 航陽 ディスカヴァー・トゥエンティワン 2015-08-27
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