原貫太オフィシャルブログ

アフリカでの支援活動から起業論、トラベルハックまで。

国際機関で働く夢を持つなら絶対に考えてほしいことがある。

国際機関で働く夢を持つなら、考えておいてほしいことがある。

 

高校生であれば、「国際機関で働く」という夢を持つだけでも十分だろう。でも、国際機関に就職し、それを仕事にしたいと本気で考えている人であれば、それだけでは絶対に不十分だ。

 

国際機関と一言で表しても、分野は多岐にわたる。大切なのは、自分が理想とする世界を実現するために、国際機関で働くことが本当に相応しいかを考えること、そしてまた、どの国際機関で、どんな仕事に携わるべきか、そこまでをしっかりと考えることにあるはずだ。

 

憧れだけで国際機関に就職したいと考えている人が多すぎる。

 

国際機関で働くという夢が褒められる高校生

国際機関で働く

 

僕は高校で講演をさせてもらうこともあるのだが、SNSのフォロワーを含め、周りには「将来は国際機関に就職したい」という高校生がチラホラいる。

 

高校生の時からグローバルな視点を持ち、国際機関で働く人間になりたいと言っていれば、周りの大人からは「すごいね!そのために大学受験を頑張ろう!」と褒められるはずだ。とりあえずは、それで終わる。

 

語弊を恐れずに言えば、高校生であればこれでも問題ない。国際機関で働くという夢自体は素晴らしいし、それをモチベーションに大学受験を頑張るのもいいだろう。

 

「少なくとも、国際機関に就職するためには、偏差値の高い大学に入る必要はある」何となくでも、そうやって理解している人がほとんどのはずだ。あながち、間違ってはいない。

 

 

国際機関って、具体的にどこに就職したいの?

国際機関で働く

 

でも、大学生、それも3年生、4年生になると、真剣に自分の仕事を考えなくてはならない時が訪れる。「将来は…」なんて言っていられないのだ。自分の人生を大きく占めることになる仕事を、「今」考えなくてはならない。そんな時が、すべての人に例外なく訪れる。

*ちなみに、大学を卒業した直後に国際機関で働くことは無理だが、この話は別にしたい。

 

その時、国際機関で働くという夢を掲げているだけでは、自分の進路を具体的に定めることができない。ファーストキャリアで就職すべき分野も決められなければ、大学院で専攻すべき内容も考えられない。

 

だから、「国際機関で働く」程度の薄っぺらい夢では、不十分なのだ。もっと真剣に考えよう。もっと具体的に考えよう。もちろん、できることなら高校生にも考えてみてほしい。

 

 

国際機関=国連、ではない

国際機関で働く

 

時々、大学生の中にも「国際機関=国連」と考えている人がいるようだが、違う

 

国際機関と一言で表しても、分野は多岐にわたっている。国際機関の一つである国連だけでも、子どもの問題に取り組むUNICEF、難民問題に取り組むUNHCR、人道問題全般に取り組むUNOCHAなど、たくさんの組織がある。

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国際連合広報センター「国際連合機構図」より借用

 

国連以外にも、国際機関はたくさんある。途上国に対する融資を行う世界銀行(World Bank)、世界最大の人道支援機関である赤十字国際委員会(ICRC)。世界的な人の移動(移住)の問題を専門に扱う国際移住機関(IOM)…。

 

他にも、オックスファムやセーブ・ザ・チルドレンといった大型国際NGOも、広く言えば国際機関に含まれるかだろう。国際機関で働くなら、興味関心だけではなく、専門分野、経験、ニーズ、果たすべき使命…すべてをバランスよく考慮しながら、どの機関で働くのが一番相応しいかを考える必要がある

 

 

「憧れ」だけで国際機関で働くことを夢にしない

国際機関で働く

 

国際機関で働きたいあなた。自分の胸に手を当てて考えてみてほしい。「憧れ」だけで国際機関を目指してしまってはいないだろうか?

 

国際協力に携わる時、手段と目的を取り違えないようにしよう。国連で働こうが政府機関で働こうがNGO(非政府組織)で働こうが、そんなものは手段の一つに過ぎない。いつも言っているが、手段と目的を履き違えてはならないのだ。

 

認定NPO法人テラ・ルネッサンスのカンボジア駐在員である延岡由規さんは、国際協力専門マガジン『国際協力師たちの部屋』の中で、以下のように語っている。

 

「国際協力」をすることが目的になっている人がたま〜にいるんですよね。原さんの周りでもいませんか?

例えば、大学に入った新入生が国際協力サークルに入るパターン。入った当初は「途上国の人のために何かしたい」とか、熱い想いを抱いていても、時が経つにつれて次第にそれが薄れていく。サークルに所属している=国際協力に携わっていること自体に満足感というか、ある種の優越感を覚えてしまって、現地の人たちへの想いがなくなりはせえへんけど、気付いたらどんどん冷めちゃってる人っていると思うんですよね。

他にも、青年海外協力隊や国連職員を目指している人なんかもね。それになること自体が目的化していて、その先にあるヴィジョンに雲がかかってしまっている状態の人がいたり。もちろん、憧れとか夢を持ってて素晴らしいと思うんやけど、そこで終わるのがもったいない気がして。

(中略)

繰り返しになるけど、「国際協力」は理想の世界を実現するために、数ある手段の中のひとつに過ぎないってこと。『vol.1-4 そもそも「国際協力」って何?(延岡)』より引用

 

 

国連だけではなくNGOも視野に入れてほしい

国際機関で働く

 

国際機関で働くことに関心ある人の多くが国連を目指すが、そんな人たちに一言だけアドバイスをするなら、国連だけではなく、NGO(非政府組織)で働くことも視野に入れてほしい。

 

僕の周りには、国連、NGOの両方で働いた経験を持つ人もいるが、「NGOに就職した後の方が、自分が本当にやりたい国際協力を実践できている」と話す人が多い。

 

国連は、組織や事業の規模が非常に大きく、広告費も莫大に使えるので、認知度が高くなる。だから、自ずと国連で働きたい人も多い。でも、正義感が強く、それでいてパッションがある人なら、国連ではなく、NGOの立場から国際協力に携わることを勧めたい。どうしても”国際的な機関”に就職したいという人なら、大型国際NGOを視野に入れてみてほしい。

 

国連は、その政治性ゆえに、加盟国の国益や政治的パワーバランスに飲み込まれてしまい、その機能が度々麻痺しているのが現実だ。例えば、シリア内戦における安全保障理事会の機能不全を見たら、一目瞭然だろう。常任理事国五カ国(アメリカ・ロシア・中国・イギリス・フランス)に拒否権があり、要は第二次世界大戦に勝った国に都合のよい体制が敷かれている。

 

一方で、非政府組織であるNGOは、目指すビジョンをベースとして、「世界を良くしたい」という純粋な動機で活動を実施できる。朝日新聞元アフリカ特派員である三浦英之氏のツイートが、そのことを端的に表してくれている。

 

 

もちろん、国連にも様々な役割があるため、すべての機関で機能がマヒしているわけではない。しかし、国際協力は、何も国際機関に就職しないと携われないものではない。今国際機関で働くことに関心を持っているのと同じように、NGOというセクターにも目を向けてもらえたら嬉しい。

 

 

さいごに

「国際機関で働く」という夢自体を否定しているわけではない。国際的な視座を持ち、世界のために働く若い人が増えていくことは、僕も嬉しい。

 

でも、国際機関には、様々な分野や立場が存在する。大切なことは、自分が理想とする世界に近づくために、自分自身の使命を果たすために、国際機関で働くという手段が本当に相応しいのか、もし国際機関で働くのであれば、どの機関に就職するのが相応しいのか、その先までしっかりと考えることだ。

 

国際機関で働くことに関心ある人に、参考にしてもらえたら嬉しい。