原貫太の国際協力ブログ

フリーランス国際協力師原貫太のブログです。国際協力やNPO・NGO、アフリカ、社会問題などのテーマを中心に解説しています。

衣服ロス問題とは?原因や対策、できることを日本一わかりやすく解説します

フリーランス国際協力師の原貫太です。

 

あなたは衣服ロス問題を知っていますか?まだ着られるにもかかわらず廃棄されてしまうファッション業界の社会問題「衣服ロス」は、それほど社会に浸透していません。

 

衣服ロス問題に関する衝撃的な事実をお伝えすると、世界では毎秒トラック1台分もの衣類が焼却、あるいは埋め立て処分されているらしいです

 

日本だけでも年間10億着もの新品の衣服が廃棄されている衣服ロス問題。その原因や対策、私たちにできることを詳しく解説します。

 

 

YouTubeでも解説しました。動画のほうが分かりやすいかもしれません。

 

衣服ロス問題とは?

衣服ロス


衣服ロス問題とは、まだ着られるにもかかわらず大量の衣服が廃棄されており、様々な環境問題や経済的損失に繋がっている問題を指します

 

日本だけでも新品の衣服が年間10億着以上も捨てられており、ファッション業界の中で大きな問題となっているのです。

 

昨年、イギリスの高級ブランド「バーバリー」が売れ残った衣服約42億円分を焼却処分したニュースが大きな話題になりました。ファッション業界ではブランドの価値を保護するために、売れ残った商品は焼却処分するのが一般的のようです

 

僕の周りにもファッション業界で働く知人がいますが、やはり焼却処分は実際に行われているとか…。環境問題に意識ある人だと、その様子を見るのがとても辛いらしいです。

 

衣服ロスの問題は、何よりも地球環境に対する負荷が大きいことです。

 

ファッション業界が排出する二酸化炭素の量は、石油産業に続き第2位と言われています。世界全体の二酸化炭素排出量のうち、実に8%以上がファッション業界からの排出。この数字は航空業界と運送業界の合計を越えます。

 

ファッション業界は製造から販売、消費、そして廃棄に至るまでのプロセスで大量に二酸化炭素を排出し、地球温暖化に拍車をかけていると批判されています。

 

また、近年は世界中で「水不足」の問題が叫ばれていますが、例えばコットンを栽培するには大量の水が必要になります。Tシャツ一枚を作るのには約2700リットルの水が必要になると言われており、ファッション業界は水不足の問題にも関係しているのです

 

ファッション産業は、水の汚染問題も引き起こしています。生地の染色は世界で2番目に大きな水の汚染源となっているのですが、染色の過程で汚染された水が水路や川にそのまま流されるためです。

 

ただでさえ環境負荷の大きいアパレル産業ですが、それにもかかわらず大量の衣服を毎年処分しています。

 

もちろん焼却処分すれば大量の二酸化炭素を排出しますから、ファッション産業はとにかく色々な場面で環境破壊、ひいては気候変動の問題にかかわっているのです。

 

衣服ロスの原因は?

衣服ロス

 

衣服ロスの原因は大きく二つあります。一つは近年ファストファッションが普及し、大量生産大量廃棄のビジネスが根付いたから。もう一つは、生産期間の長さに比べて、販売期間が短いアパレル業界独特の構造があるからです。

 

衣服ロスの原因① ファストファッションが普及したから

近年ファストファッションが普及したことが、衣服ロスの大きな原因です。

 

値段の安い服を大量に生産し、大量に販売することで売り上げを維持、拡大しようとしたのがファストファッションです。

 

しかし、売れ残った分はたとえ新品だとしても処分されてしまいます。そのため、大量の衣服ロスが発生しているのです。

 

衣服ロスの原因② アパレル業界独特の構造があるから

アパレル業界独特の構造にも衣服ロスの原因があります。

 

アパレル業界では、企画から販売までの生産期間の長さに比べて、実際に販売する期間は短いという構造があります。

 

近年はSNSやマスメディアの影響もあり、衣服の流行がものすごい勢いで変化しているため、商品の入れ替えが年々早くなっています。

 

そのため、衣服の需要を予測することが難しく、とりあえず大量に生産し、売れ残ったら処分するという構造ができてしまっているのです

 

ファッション業界も売れ残った服をセールで裁こうと努力しているようですが、流行が終われば服は売れにくくなりますし、在庫を倉庫で管理していたら維持費もかかります。

 

そのため、たとえ新品の衣服だとしても処分しなければならず、衣服ロスが発生しているのです。

 

衣服ロスの対策は?私たちにできることは三つある

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アパレル業界は世の中のトレンドに大きな影響を与えているため、衣服ロス問題の解決は決して簡単なことではありません。

 

しかし、一人一人の意識と行動を変えることが、衣服ロス問題の解決に繋がります。私たちにできることとして、衣服ロス問題の対策を二つ紹介します。

 

衣服ロスの対策① 一着を大切にする

僕は服装に全く興味ない人間なので、大学1年生の時に買った服をいまだに着ています。5年以上着ている服もありますね

 

「物理的に着られなくなるまで同じ服を着続ける」が僕のポリシーです。なので同じズボンを6年間履き続けていたら、アフリカでサファリツアーをしている最中にお尻がパッカリ破れました。

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僕みたいにボロボロになるまで大切にする必要はないと思いますが、ファストファッションの安いジーンズを何枚も買うくらいなら、ちょっと高いお金を出してでも、何年も使えるジーンズを一本買った方がいいですよね。

 

長期的に見ると、そちらの方がお買い得だと思います。

 

お昼の番組なんか見ると、よく芸能人がファッション対決をやっていますよね。「今年の流行りはこれ!」「このスカートが今年っぽい!」と、やたら服のトレンドを強調しています。

 

でも、そもそもなぜ流行りに乗る必要があるのでしょうか?毎年同じ服じゃダメなのでしょうか?

 

ファストファッションの登場により、衣服は誰の手にも届きやすくなりました。2014年に消費者が購入した衣類は、2000年に比べて60%も増加したという報告もあります

 

その一方、製造された衣類の85%が毎年ごみとして処分されています。衣服ロスの問題を解決するためには、消費者一人ひとりの意識が変わることが何よりも大切です。

 

今自分の手元にある衣服をできる限り長く、大切に使い続けましょう。

 

衣服ロスの対策② まだ着られる洋服はリユースやリサイクルにまわす

一つ目の「一着を大切にする」はリデュース、二つ目はリユース&リサイクルです。まだ着られる衣服は知人に譲ったり、リサイクル会社に買い取ってもらうなどしましょう。

 

最近ならメルカリなどのアプリを使って、ほしい人に簡単に売ることができます。もし自宅に全然着ない衣服があるなら、処分に回すのではなく、そういったリユースに回してください。

 

衣服ロスの対策③ 修理をしてくれるメーカーの服を選ぶ

衣服がもたらす環境問題やファッション業界の廃棄問題に関心を持つようになってから、僕はPatagoniaで服を買うようになりました。

 

パタゴニアはペットボトルのリサイクルから服を製造したり、積極的に環境問題に取り組んだりと、ファッション業界の中では異色の存在ですよね。

 

パタゴニアは服の修理をしてくれます。そのため破れたり汚れたりしても買い直す必要がなく、衣服ロスに繋がる心配も少ないです。

 

僕はPatagoniaの大ファンですが、最近は環境問題に配慮し、修理をしてくれる服のメーカーも増えてきました。

 

そういったメーカーから積極的に衣服を買うようにするなど、環境問題に加担しないよう気をつけているアパレルの服を買うのも、消費者としてできることの一つです。

 

衣服ロス問題を理解したら、周りに伝えよう

知れば知るほど問題の根深さに気づかされる衣服ロス問題。まずはこの問題を知り、周りの人たちに伝えてください。

 

衣服ロス問題は、私たちの生活と決して無縁ではありません。むしろ分かりやすい社会問題の一つですね。

 

衣服ロスに対して今日から自分に何ができるか、考えるきっかけになれば幸いです。