「原くん、君は弱い。本当に弱い。でも、その弱さが僕は好きで、応援したくなる」
ある人からかけてもらった言葉だ。その時の僕は、まだ未熟で、プライドが高くて、その弱さを受け入れることができなかった。
起業して、少なくとも形式的には組織のトップに立つようになってから、変わったことがある。
人の話を、しっかりと聞くようになった。一昔前だったら、余計なプライドが邪魔して、自分の正当性を貫くことに必死だったのに。最近では、話を聴く前から余計な先入感を持つことをやめて、まずは相手の言うことを聞こう。そんな姿勢を持つようになった。
正しい、正しくないは関係なく、他人からの評価は「絶対」なんだ。たとえ、自分が何を考えていようとも。
誰かと言い合いになったり、喧嘩したり、そんな時は相手の責任を追及するんじゃなくて、まず自分に責任があると思う癖を付けよう。そのために、いつも心に余裕を持っておこう。そっちの方が気が楽だ。それに、他人を変えることよりも、自分が変わることの方がよほど簡単なことだから。
僕だって人間だ。だから、どうしても許せないこと、気に食わないこともある。カッとなってしまって、心ない言葉を言ってしまうこともある。そんな時は、相手に今までしてもらって嬉しかったこと、今までで感謝したことを思い出そう。そうすれば、少しずつ怒りも収まって、冷静になれる。
起業したり、恋愛したりすると、これまでは心のどこかで避けてきた「人間関係」について、嫌でも考えるようになる。
僕は、これまでの大学生活、人間関係なんて深く考えてこなかった。心のどこかで、世界の不条理に立ち向かう僕は孤独なんだ、それがカッコいいことなんだと、一人で殻を被っていた。
だけど、国際協力だって、結局は人と向き合う仕事だ。自分が心を開くから、相手も心を開いてくれる。そこに、余計なプライドはいらない。
23歳にもなると、自分の考えもしっかりしてくるし、プライドだって自然と芽生えてしまう。だからこそ、そんな年齢になっても歯に衣着せず、悪い所、変えるべき所をちゃんと言ってくれる人の存在って、有難い。
人間誰しも、言われたくないことを言われれば、反発してしまいそうになる。だけど、そんな人にこそ、心から感謝できる人間でありたい。