原貫太の国際協力ブログ

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「誰かがやらなければいけない仕事がある」カンボジアで命を落とした青年の言葉

だけれども僕はやる。この世の中に誰かがやらなければならない事がある時、僕は、その誰かになりたい。(元国連ボランティア中田厚仁。享年25歳)

 

誰かがやらなければならない仕事があるー。内戦後のカンボジアへ渡った青年

上で紹介した言葉は、元国連ボランティア中田厚仁氏の言葉だ。 1993年、内戦後のカンボジアに赴き選挙監視員として奮闘したが、最期はゲリラの銃弾に倒れた。25歳だった。

 

彼は幼少期の4年間をポーランドで過ごし、アウシュビッツの強制収容所を訪れたことがきっかけで平和活動に関心を持つ。そして、いつしか国連で働くことを目指すようになった。

 

大学卒業後の1992年。彼は国際連合カンボジア暫定統治機構がカンボジアで実施する総選挙を支援するボランティアに採用され、7月にカンボジアへ渡航した。

 

当時のカンボジアは、まだ内戦が終わって間もない頃だ。現地の治安は当然悪い。命を落とすリスクがあることも重々承知していただろう。

 

しかし、彼は家族の反対を押し切り、公正な選挙を実現するためにカンボジアに向かう。さらに、カンボジア全土の中でも反政府軍と政府の間の衝突が激しい、最も治安の悪い地域での活動を自ら志願した。

 

選挙の重要性について人々に説くため、川にぶつかればフェリーを使い、フェリーが使えなければカヌーを使い、カヌーが使えなければ泳いで村々を回った。

 

しかし、1993年4月8日、中田は活動地を自動車で移動中、何者かによって拘束・射殺された。救援を要請した無線の最後の言葉は、「I'm dying (私はもうすぐ死ぬ)」だったとされている。

 

 

この世界には、誰かがやらなければならない仕事がある

誰かがやらなければいけない仕事

アフリカで難民支援に携わっていた時の筆者

 

中田厚仁さんのエピソードは、僕が国際協力の仕事を始めることにした大きなきっかけになった。

 

アフリカの難民や貧しい子どもたちの支援にあたり、お金がなくて病院に行けない人や学校に通えない子どもたちと接する中で、この世界がいかに不条理であるかを何度も痛感した。

 

生まれた場所によって命の価値が変わってしまう。生まれた環境によって選択できる未来が変わってしまう。

 

だからこそ、この世界には誰かがやらなくてはならない仕事がある。その「誰か」にならなくてはならない人がいる。

 

そしていつも、その「誰か」になるためには勇気がいる。

 

でも、この世界には誰かがやらなければならない仕事がある。その誰かが、今日も世界のどこかで頑張っている。

 

国際協力は、誰かがやらなければならない仕事だ

誰かがやらなければいけない仕事

ウガンダの子供たちに生理用ナプキンの作り方を教える筆者

 

僕がアフリカでやっている仕事は、全くお金にならない。むしろ日本からの航空券や現地で生活費がかかることを考えれば、赤字と言えるかもしれない。

 

自分のことだけを考えれば、日本で優雅に生活していたほうがずっといいだろう。それなのに、なぜ僕はこんなアフリカの僻地まで来て、お金にならない仕事をしなければならないのだろう。

 

それは、自分の取り組んでいる今の仕事が、誰かがやらなければならない仕事なんだと、自分に言い聞かせているからかもしれない。

 

僕は今、ウガンダの貧困層の女の子たちに生理用ナプキンの作り方を教える仕事をしている。

 

活動にあたるお金はすべて日本からの寄付金を充てているが、この仕事に取り組んだことで自分の収入が増えるわけでも、社会的地位が手に入るわけでもない。

 

でも、もし僕がこの仕事をしなければ、ウガンダの彼女たちは生理用品を手に入れることができず、苦しい想いをしていただろう。誰かしらが、そこで彼女たちをサポートしなければならないのだ。

 

だから僕は、この仕事をしている。

 

国際協力の仕事には迷いが付き物だ。日本と比べたら、よほど治安の悪い地域で仕事をすることもある。事件や事故に巻き込まれ、命を落とすリスクも存在する。

 

それでも僕は、この活動は誰かがやらなければならない仕事なんだと自分に言い聞かせ、これからもアフリカで活動し続けるだろう。

 

もしこの記事を読んだあなたが、誰かがやらなければならない仕事をやりたいと思えたら。その一つの選択肢として、「国際協力」の道を志してもらえたら嬉しい。

 

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