8期生の元子ども兵たちが1年半の訓練を終えて、先日修了式(道具の供与式)を終えたことを「「もう一度人生を変えたい」 社会復帰を目指す元少年兵・少女兵の式典」でお伝えした。
今後、8期生の中には、テラ・ルネッサンスも事務所を置くグル市内でビジネスを開始する者もいれば、各自の地元に戻ってビジネスを開始する者もいる。
今日は現地スタッフと共に、グル市内から車で約2時間かけて、「"13歳で誘拐された元少女兵"が語る壮絶な体験談 生き別れた子供との再会を夢見て」でも紹介したリンダさん(仮名)の地元へと足を運んだ(フィールド調査自体は約6時間かかり、全く舗装されていない道を車で駆け抜けるなど、非常にタフな一日となった…)(↑の記事でも紹介したように、女優石原さとみさんがNHKドキュメンタリーでウガンダを訪問したことをきっかけに、二人の仲は良い)。
リンダさんは、これからお店を開くための場所を確保するという事もあり、ウガンダ事務所長のジミーさんとリンダさんの夫が、地元のマーケットへと足を運び、店を開く場所のレンタル代をオーナーと交渉することに。
私も同伴し、どのように交渉が行われているのか知ろうとしたが、外国人が同伴していると「お金を持っている」と思われてしまうため、今回は同伴しなかった(させてもらえなかった)。テラ・ルネッサンスのウガンダ事業は現地スタッフ中心で運営されているため、その強みを活かし、中途半端に「外国人」が関わることなく、地域の人たちがオーナーシップを持って活動する大切さを、この場でも改めて感じた。
レンタル台の相場は1ヶ月約40,000〜50,000UGX(日本円で約1,200円~1,500円)。交渉によっては25,000UGXになることもあるらしい。交渉の結果、リンダさんのレンタル料は45,000UGX/1ヶ月に。場所が影響しているようだが、ジミーさん曰く、比較的高いようだ。
6ヶ月間はテラ・ルネッサンスが彼女の代わりにお金を払うが、大切なことは、いずれ彼女が「自立」して、レンタル代も自分自身で払えるようになることだ。ビジネスの企画立案やマイクロ・クレジットの提供など、テラ・ルネッサンスもサポートを続けるが、彼女たちが「依存」ではなく「自立」できるように、その周囲の環境を整えてあげることが、私たち支援する側の大きな役割だろう。
「リンダが自立して、自分でお店を構えていくための最善の方法は、これからの数ヶ月で洋裁店をしている知り合いを地域内で作り、一緒にお店を借りて、一緒にビジネスをすることだろう。」と施設長のジミーさんは話す。人と人との「繋がり」が強い農村部では、このように「協働してビジネスをする」というのはよくあることだが、反政府軍である神の抵抗軍(LRA)から帰還した元子ども兵の中には、地元のコミュニティから差別や偏見を受けるなど、疎外されてしまうこともあるため、継続して彼女の状況を見つめ続けることが必要だと感じた。
ちなみに、テラ・ルネッサンスの元子ども兵社会復帰支援プロジェクトは、一期生あたり3年間かけて行う。他NGOなどによるプロジェクト、特に内戦終結後すぐに行われていたものに比べると、この3年間という期間は比較的長い方だ。簡単な職業訓練を行って半年で終わってしまうものや、または職業訓練はしっかりするものの、その後の彼らのビジネスまで細かくサポートするプロジェクトというのは過去に例が少なく、テラ・ルネッサンスが2005年からプロジェクトを開始した時、「彼ら彼女らが自立するためのビジネスまでサポートする」というのが、この地域、また子ども兵問題の一つ大きな課題になっていた。