原貫太オフィシャルブログ

アフリカでの国際協力活動から新時代の働き方、情報発信術まで。※本ブログの内容は個人の見解によるものです。

なぜアフリカの難民問題を「身近に」感じてもらうべきなのか?

「脱走を試みましたが捕まり、鞭で200回叩かれました」。元少女兵との出会い。アフリカでの原体験を書いた処女作『世界を無視しない大人になるために』Kindle Unlimitedに登録すると30日間のお試し期間に無料で読めます。第一章までをこちらのページで全文公開中です!
紙版の購入は→こちら

 

スポンサーリンク


f:id:KantaHara:20170905040344p:plain

 

国際協力に取り組むほとんどの人は、活動対象である海外、主にはアフリカやアジアをはじめとした途上国で起きている問題を「身近に」感じてほしいと語る。

 

学生による活動には特にこれが多く、先日ウガンダで出会った大学生も、「アフリカの紛争や難民の問題を遠くの世界の出来事として終わらせてしまうのではなく、身近な出来事として捉えてほしい。」と熱く話していた。例えば、ただ「難民問題」という難しい切り口からアフリカを語るのではなく、文化や生活、もしくは誰か一人に焦点を当てたストーリーを紹介することが、身近に感じてもらうためにできることだという。

 

 

でも、よく考えて欲しい。そもそもなぜ、身近に感じてほしいのだろうか?身近に感じてもらうべきなのだろうか?

 

 

身近に感じてもらうというのは、それ自体が目的になるべきではなく、所詮"HOW"、つまり"一つの手段"でしかない。身近に感じてもらった先に達成されるべき「何か」が無くてはならない。ただ身近に感じてもらうこと自体には、意義や価値はほとんどないというのが僕の意見だ。

 

だからこそ、「なぜ身近に感じてもらうべきなのか」という"WHY"、つまり"目的"をしっかりと考えなければならない。

 

 

一つには、"Humanitarian"、つまり"人道的"な目的があるように思う。"Charity"とも言い換えられるかもしれない。先進国である豊かな日本に生まれたのだから、全く違う世界で起きている出来事に目を向けよう、関心を持とう、そしてできることをやろう。これだけ大変な問題が途上国では起きていて、これだけ苦しんでいる人たちがいるのだから、どこか遠くの出来事で終わらせないようにしよう。国際協力に関わるほとんどの人たちは、この良く分からない中途半端な(?)目的だけで終わってしまっている。

 

僕は、国際協力という文脈で「身近に感じてもらう」を語るのであれば、明確に意識すべきもう一つの目的があると思う。

 

 

「繋がり」をリアルに捉えてもらう、だ。

 

事実として、アフリカで起きている問題の多く、特に紛争は、日本を含む先進国の豊かな生活と無関係ではなく、間接的にせよ、その両者には「繋がり」が存在する。

 

例えば、南スーダンでは石油を巡った先進国の利害に翻弄され、紛争が起きているという側面がある。独立前の「スーダン」だった時代からずっと、この国では「石油」という資源をめぐって争いが続いており、さらには日本はこの石油をスーダンから輸入し消費して、僕たちは「豊かな生活」を享受してきた。事実として、アフリカの紛争と日本の生活とでは「繋がり」が存在するのだ。

(関連記事:支援と不条理のジレンマ「変わるべきなのは途上国ではなく先進国」

(関連記事:アフリカの紛争/戦争に関心ある人が絶対に忘れてはいけない2つのこと

 

しかし、僕がいくら講演や記事でこの「繋がり」を分かりやすく解説しても、理屈で説いても、12000Kmも離れている国の紛争は、日本から遥か遠くのアフリカ大陸で起きている出来事は、ほとんどの人にとっては「遠い世界」であり続けてしまう。左脳ばかりに訴えかける内容では、「難しい」と拒否反応を示されてしまうかもしれない。

 

だからここで、身近に感じてもらうことが有効な手段になるのだ。よく言われるように、他人が行動を起こすほどの感動を呼び起こすためには、「右脳から入って、左脳に落としこむ」のが良い。つまり、まずは身近に感じてもらえるであろう難民ひとり一人のストーリーやそこで活動する日本人の想い、葛藤、もしくは面白そうと直観的に感じる内容を届けることで、感性を司る右脳から入り込む。その上で、「けど実はね、アフリカの紛争と日本の生活とでは、○○において繋がりがあり…」と、理屈で納得できるように、言語や理論を司る左脳に落とし込むのだ。

 

 

いつも言っているように、アフリカで起きている問題の根本的解決を図るには、先進国に暮らす僕たちの意識や消費行動を変えていかなければならない。「身近に感じてもらう」というのは、そのための最初の段階として活用する手段として捉えるべきだと、僕は思う。

 

---

「アフリカの紛争に関心があります!」と言われたら、僕は必ず『ぼくらのアフリカに戦争がなくならないのはなぜ?』をオススメしている。今もウガンダに持参し、かれこれ6週目を読んでいるが、アフリカで起きている紛争を理解するのに、これほど分かりやすく読みやすい一冊は他に見たことがない。

f:id:KantaHara:20170822055430j:plain

 

アフリカで紛争が無くならない原因は決してアフリカの中だけにあるのではなく、歴史的背景や先進国の利害と深い関わりがあることを、著者小川真吾さんの現場での経験などを踏まえながら、丁寧な筆致で解き明かしていく。

 

何よりも、ウガンダ北部がまだ内戦中だった頃から現場に入り、元子ども兵士社会復帰プロジェクトをゼロから立ち上げた彼の言葉は、ひとつ一つの重みが他とは全く違う。ぜひ手に取って欲しい。