原貫太の国際協力ブログ

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社会人の意味を本気で考えたら頭がパンクした話【4つの違和感】

社会人とは何か?ふと疑問が芽生えた。社会人の意味をちゃんと説明できる人はどれくらいいるだろう?

 

僕はまだ早稲田大学に通う学生だが、NPOを起業し、日本中で講演を行い、そして本も出版した。

 

でも、周りの大人からは「原くんも社会人になった後は…」と言われることがある。ということは、これだけ毎日必死に働いても、学生という肩書がある限り、僕はまだ社会人になれていないのだろうか?

 

 

社会人の意味を辞書で調べると…

社会人とはなにか。人によってその解釈は異なると思うが、世間一般で言う社会人とはこんな意味だろう。

 

学校を卒業し、会社に就職することで、親から離れて自立した生活を送る人

 

世間一般の「社会人」の条件は、大きく3つある。

 

  1. 学校を卒業していること
  2. 会社に就職していること
  3. 親に頼らず、自立した生活を送っていること 

 

例えば親が子どもに対して「あなたも社会人になった後は…」と語りかける時、こういった意味が暗に込められていると思う。

 

社会人の意味は学生との違いを考えればわかる…?

社会人の意味を考える上で、学生との違いに目を向けてみよう。

 

学生の場合、学費を払いながら学校に通っている。数十万円から数百万円の学費を払うことによって、授業というサービスを受けられる。その意味で、学生は「お客さん」だ。

 

一方の社会人は、お金(給料)をもらいながら会社に通っている。毎月給料をもらいながら、労働を通じて会社に貢献する。言い換えれば、お金をもらいながら会社、または社会にサービスを提供していると言える。

 

サービスを受ける側か、それともサービスを提供する側か。学生との立場の違いを考えてみると、社会人の意味が何となくわかると思う。

 

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社会人の意味を本気で考えてみたら頭がパンクした

とは言え、これだけで社会人の意味を説明できたとは言えない。なぜなら今の時代は、学生でも起業してサービスを提供する側に回れるし、社会人として働きながら大学や夜間学校に通い、学生にもなれるからだ。

 

社会人の意味をさらに深く考えてみたら、僕の中に4つの違和感が湧いてきた。

 

  1. 社会人って英語に訳せなくない?
  2. 社会人になるには学校を卒業する必要がある?
  3. 社会人経験は会社でしか身につかない?
  4. 社会人とは親から自立した人を指す?

 

社会人って英語に訳せなくない?

社会人を英語に訳すと、どんな言葉になるのだろう。疑問に思い、和英辞典で調べてみた。

 

an adult; an adult [a working, a full‐fledged] member of societyWeblio英和辞典・和英辞典より引用)

 

ん?何かがおかしい…。”an adult”の直訳は「大人」だし、”a member of society”はたしかに直訳で「社会人」を意味するけど、日本語の「社会人」が意味するところとは少し違う。

 

そう。日本語で「学校を卒業し、会社に就職することで、親から離れて自立した生活を送る人」を意味する社会人を直接的に表す英語は、存在しないのだ

 

日本語と英語のバイリンガルであるアメリカの友人にも確認してみたところ、「英語には『社会人』を指す言葉は存在しない」と断言していた。

 

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社会人になるには学校を卒業する必要がある?

社会人という言葉には、「学校を卒業していること」「学生ではないこと」が前提になっている。少なくとも、僕はそう感じる。

 

でも、学生だとしても社会の一員であることに変わりはない。最近は学生でも起業したり、企業の中でインターンしたりと様々な仕事に取り組む人も多い。

 

僕自身も起業してからは、人前で講演をし、取材を受け、テレビに取り上げられ…と、それなりに仕事をしてきた自負がある。

 

学生でも仕事をして、社会に影響を与えている人はいる。でも、学生である限り彼らのことは社会人とは呼ばないのだろうか?

 

逆のパターンもある。会社で数年から数十年「社会人」として働いた後、いったん会社を辞め、大学または大学院に通って勉強する人もいる。彼らは学生に戻ってしまったら、社会人ではなくなってしまうのか?

 

社会人経験は会社でしか身につかない?

僕は進路に悩んでいる時、たくさんの大人から「3年間は会社で社会人としての経験を積め」と言われてきた。

 

でも、改めて考えてみると疑問が湧いてくる。社会人経験は、会社で働かないと身につけられないものなのだろうか?

 

僕は大学在学中、アフリカを支援するNPO法人を起業した。もちろん起業するのは人生で初めてのこと。予算書を作るのも、資金調達するのも、法人化の手続きを進めるのも、すべてが初めてのことだった。

 

それでも様々な仕事に携わる過程で、色々な学びを得た。時には営業をし、時には経理にも携わるその過程で、社会人としての経験は十分に積めていると思う。

 

もちろん会社に就職して働いたら、別の学びを得ていたはずだ。大きな組織がどのように回っているか知れたし、営業の知識も経理の知識も、もっと専門的に学べていたかもしれない。

 

だからといって、社会人経験は会社に就職しないと得られないかと言うと、それは違うと思う。

 

社会人とは親から自立した人を指す?

社会人とは、親から自立した人を指すのだろうか?

 

そもそも「自立」とはどんな意味か。辞書で引くと、「他への従属から離れて独り立ちすること」とある。「親から自立する」と表現すれば、「親への従属から離れて独り立ちすること」を意味するのだろう

 

もちろん、いつまで経っても親の脛をかじっているのはよくない。でも、たとえ親から離れて自立した生活を始めても、何か困ったことがあれば親に頼れる関係が保たれているほうが望ましい。

 

周囲との豊かな関係性を保ちながらも、自分らしく生きることを、本当の意味で「自立」と言うのではないだろうか。「社会人は親との関係を切り離して自立する」のではなく「親との良好な関係性を保ちながら、自らの力で自分らしく生きること」が本当の自立だと思う。

 

その意味で、「社会人とは親から離れて自立した人」にも違和感を抱く。

 

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社会人とは、結局どんな意味?

もし海外の人に「英語で社会人の意味を教えてほしい」と質問されたら、僕はうまく説明できる気がしない。これまで説明してきたように、世間一般で使われている「社会人」という言葉には、多くの矛盾が含まれているからだ。

 

一つ断言するとしたら、何となくで社会人の意味をわかった気になっていると、思考停止人間になってしまう。

 

例えば親から「まずは会社で社会人経験を積んだほうがいい」と言われた時、

 

  • そもそも社会人の意味ってなんだ?
  • 会社に入らないと社会人経験は積めないのか?

 

といった疑問が自分の中で湧かなければ、「そういうものか」と思ってしまい、親に言われるがままに自分の進路を決めてしまうだろう。