原貫太公式ブログ「世界まるごと解体新書」

アジア・アフリカでの活動からニュース解説記事、仕事論まで。※本ブログの内容は個人の見解によるものです。

大学生の国際協力で「現地訪問」と「座学」はどちらが大切か?


スポンサーリンク


僕がアフリカやアジアの発展途上国における経験について語ると、多くの人から「やっぱり現地を見ている人は違う。『座学での学び』ではなく、実際に現地を訪問して、何が起きているのかを自分の目で見ないとダメですよね。」と言われる。

f:id:KantaHara:20170716181238p:plain

 

僕はこう思う。「現地訪問」と「座学」、どちらもやろう。なぜなら、(当然だが)それぞれにメリットが存在するからだ。

 

実際に現地を訪問しないと分からないことは沢山ある。これまでウガンダ、ブルンジ、バングラデシュといった国で様々な支援・取材などに携わってきた僕が断言しよう。ネットや新聞、教科書からは決して伝わってこない「ナマ」の音や匂い、人々の表情。切り抜かれた一部ではなく、その場に自分の身を置くことで初めて感じ取ることができる雰囲気。

 

また、今の時代、Googleで検索すればシリアの内戦であろうとバングラデシュの貧困であろうとインドネシアの環境破壊であろうと、誰でも情報を得ることができる。ライターやコラムニストは、現地で取材をしなくてもネットの情報を使えば記事を執筆することができるし、それによって生計を立てている人もいる。だからこそ、誰にでも情報へのアクセスが保証されている今の時代においては、「"誰が"情報を発信しているか」に一層の価値が置かれるのだ。その意味で、現地に足を運び一次情報に触れている人の「発信」には、ライターやコラムニストのそれよりも価値があり、僕のSNSやブログが多くの人の目に留まる一因はきっとそこにある。

 

 

一方で、ネットや新聞、教科書といった「座学」のメリットも沢山ある。当然だが、自分の身体は一つしかないし、金銭的に負担もかかるため、関心のある地域をすべて現地訪問することはできない。危険な地域に足を運ぶことも難しい。だから、(特にスマホを使って)その場に座っていながらでも世界中の出来事を知ることができる「座学」からしか得られないことは沢山ある。

 

残念ながら、たった数日間の現地訪問ではその国・地域が抱えている問題の本質や全体像に気付くことは難しい。長期休暇を使って発展途上国を訪れた大学生の中には、「現地で子どもたちの笑顔を見たら、それまで抱いていた『困っている人』というイメージが崩れて、活動する意義を見失いました。」という人も時々見られるが、それはほとんどの場合、その数日間では彼らの「笑顔」の裏に隠された問題にまで目を向けられていないからに過ぎない。

 

「ナマ」の一次情報に触れることは大切だが、それを補完するためにも、プロのジャーナリストや研究者が発する情報を頼ることも大切だし、大学での授業を通じてより専門的に理解を深める必要もある。

 

これまで様々な「国際協力」に取り組む大学生と出会ってきたが、僕の印象として、「現地での学び」もしくは「座学での学び」のどちらか一方に偏ってしまっている人が多い。学生団体を通じて発展途上国に何回も足を運び現地を見てきたが、大学でのアカデミックな勉強を疎かにしている人。大学ではレポートをバンバン書いて成績も優秀、JICAや国連機関を志望しているが発展途上国には一度も足を運んだことがない人。「現地訪問」と「座学」のどちらにも全力で取り組んでいる人は、意外と少ないものだ。

 

もう一度言うと、「現地での学び」「座学での学び」それぞれに良い所があるからこそ、どちらにも取り組むことが大切だ。現地で子どもたちの笑顔を見たら活動する意義を見失った人はもっと座学で理解を深めると良いし、勉強を頑張り過ぎて大学に飽きかけている人は現地を訪問してみると良い。

 

---

そんな僕の「現地での学び」と「座学での学び」をふんだんに詰め込んだ一冊『世界を無視しない大人になるために 僕がアフリカで見た「本当の」国際支援』電子書籍版は定価500円で販売中!第一章までをこちらで全文無料公開中です