原貫太の国際協力ブログ

フリーランス国際協力師原貫太のブログです。国際協力やNPO・NGO、アフリカ、社会問題などのテーマを中心に解説しています。

国際関係学は仕事で生かせない【国際関係学を学ぶ人にどうしても伝えたいこと】

「国際関係学を大学で勉強して、それを生かせる仕事に就きたい」という大学生がたくさんいますが、残念なお知らせがあります。

 

アメリカの大学でも日本の早稲田大学でも国際関係学を死ぬほど勉強した僕ですが、国際協力の仕事に就いた今、国際関係学の知識を生かせる場面がほとんどありません。

国際関係学を生かせる仕事

南スーダン難民支援に取り組んでいた時の原貫太

 

国際関係学は、国際協力を仕事にしたい人ならドンピシャな学問と思われがちですが、少なくともNGOを起業して草の根の国際協力活動に携わる今、国際関係学の知識が仕事で役立つことはほぼないです

 

僕の具体的な体験談を紹介しつつ、それでも国際関係学を仕事に生かすとしたら、どんな職種があるのか、学生の間に何をやっておくべきか、考えてみたいと思います。

 

 

国際関係学を死ぬほど勉強した学生時代

国際関係学を生かせる仕事

アメリカ留学中は国連本部にも足を運んだ

 

国際関係の仕事をしたい大学生なら、ドンピシャに思える国際関係学。僕は早稲田大学とカリフォルニアの大学で、ゴリゴリに国際関係学を勉強しました

 

早稲田では国際政治学や紛争解決論の授業を履修し、留学したカリフォルニアの大学では国際関係学の基礎理論を学ぶ”International Relations”(国際関係論)などの授業を受けていました。

 

それこそ、アメリカ留学中は毎週200ページ近いリーディング課題が出されたり、国際関係学のエッセイもバンバン書かされたりしました。

 

アメリカ留学中の最終成績は4段階で3.75だったので、大学時代はかなり国際関係学を勉強した人間だと自負しています。

 

国際関係学を仕事で生かす場面、なくねーか...

国際関係学を生かせる仕事

南スーダン難民の方たちから話を聞いている様子(写真右が原貫太)

 

学生時代は国際関係学を死ぬほど勉強した僕ですが、国際協力NGOという国際関係のド真ん中で起業した今、そこで得た知識を仕事で生かす場面がほとんどありません。

 

国際関係学の知識よりも、ブログ運営で培った文章力や発信力の方が、よほど仕事に生きています。

 

また、僕自身は「起業」という道を選んだため、必要性を感じるのは圧倒的にビジネススキルです。実務レベルで考えると、国際関係学の知識なんかよりもビジネスの知識の方が、よほど必要に感じます。

 

国際関係学は、国際協力や国際開発の世界を広く、浅く勉強するだけの学問。大学で国際関係学を勉強したところで、何の「専門性」にもならないことを実感しています。

 

国際関係学を直接的に生かせる仕事は何がある?

国際関係学を生かせる仕事

2020年からはフリーランスとしてアフリカ支援をしている

 

僕自身はNGOを起業し、草の根の国際協力活動に携わっている人間のため、正直国際関係学の知識を仕事で生かせる場面はほとんどありません。

 

もしあなたが、国際関係学の知識を直接的に生かせる仕事に就きたいなら、以下のような職種を検討してみてください。

 

  1. シンクタンク職員
  2. 国際機関や政府機関の職員
  3. NGOのアドボカシー担当

 

シンクタンク職員

シンクタンク(Think Tank)とは、日本語に訳すと「頭脳集団」です。政府や民間企業の意思決定などをサポートするために、色んな領域の専門家たちが集まった頭脳集団です。

 

特に政府関係のシンクタンクの場合、政策決定などに力を貸すためには、昨今の国際情勢や国際関係に対する鋭い見識がなければなりません。

 

そういったシンクタンクで働く場合は、国際関係学の知識も直接的に生かせると思われます。

 

国際機関や政府機関の職員

国際協力の仕事をしたい、かつ国際関係学の知識を直接的に生かせる仕事がしたい人は、国際機関や政府機関で仕事をする方がまだマシかなと思います

 

僕のようにNGOを起業して草の根の国際協力活動に関わる場合、国際関係学を生かせる仕事は非常に少ないです。

 

もちろん国際関係学の知識があるに越したことはありませんし、世界情勢を正しく見つめるためにも、国際関係学の基本的な知識は必要だと思います。

 

しかし、先ほどもお伝えしたように、実務レベルでは国際関係学の知識よりも、ビジネスやコミュニティ開発の知識の方が必要度は高いです。

 

もし国際関係学の知識を実務レベルでも活かしたい場合、草の根の国際協力ではなく、国際機関や政府機関に就職し、より大きな枠組みで国際協力に関わる方が相対的に良いと思います(もちろん、どんな仕事を担当するかにも左右されますが…)。

 

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NGOのアドボカシー担当

NGOの中でも、発展途上国で支援活動を行っているようなNGOではなく、例えば人権系のNGOやアドボカシー活動をメインで行っているNGOなら、国際関係学の知識を生かせる仕事も多いはずです。

 

アドボカシーとは日本語では「政策提言活動」と言い、民間の立場から国際機関や政府に様々な政策提言を行う活動を意味します。ロビイングと呼ばれることもありますね。

 

NGOで働くことに興味がある人は、こちらの記事も読んでみてください。

NGOに就職するには?新卒・中途で就職する具体的な方法や必要なスキルを解説 - 原貫太の国際協力ブログ

 

 

以上、シンクタンク職員、国際機関や政府機関の職員、NGOのアドボカシー担当という3つの職種を紹介しましたが、これらの仕事は大学新卒で関わることはかなり難しいです。

 

政府機関職員以外は、基本的には大学院まで進んで、国際関係学の修士号まで持っておくことが最低条件になります。

 

こういった背景からも、国際関係学を大学で学んだ人が、卒業してすぐに国際関係学を生かせる仕事に就くことは難しいということがわかると思います。

 

国際関係学を仕事で生かすならやっておくべきこと

将来的に国際関係学を仕事で生かしたい人は、以下の3つを意識しながら学ぶことをおすすめします。

 

国際関係学を英語で勉強する

国際関係学はイギリス発祥ですし、日本を飛び越えた世界の戦争や平和を扱う学問なので、英語で国際関係学を勉強するのをおすすめします。

 

国際関係学を英語で勉強すれば、BBCやアルジャジーラのニュースも、英語で問題なく読めるようになるはずです。ちなみにアメリカで国際関係学を勉強していた時、僕は毎日10本以上のニュースを英語で読んでいました

 

大学でも英語で実施される国際関係学の授業を探したり、または英語で書かれた国際関係学の教科書を探すのがいいでしょう。参考までに、Amazonで購入できる国際関係学の入門書を紹介しておきます。

 

国際関係学の修士号まで取る

国際関係学を仕事で生かしたい、そのための専門性を身につけたいなら、修士号(Master Degree)まで取りましょう。できれば海外の大学院で取得することをおすすめします。

 

ちなみに僕は、起業を決意する前はヨーロッパの大学院で国際関係学の修士号を取ろうと考えていました。国際関係学といえども修士号まで持っていれば、国連やNGOにも就職しやすくなるはずです。

 

国際関係学以外の学問も勉強する

国際関係学だけではなく、別の学問も勉強しましょう。可能であれば2つ学位を取れるダブルディグリー(Double Degree)がおすすめです。

 

政治学や経済学もいいとは思いますが、国際協力の道に進みたい人なら、文化人類学や地域研究(エリアスタディーズ)がおすすめです。

 

僕も今(2019年11月時点)ウガンダ北東部の村の中で働いていますが、実は文化人類学者の人って、こういった奥地にも入って研究している人が意外と多いんですよね…。 

 

国際関係学は国際協力に興味がある大学生には人気の学問ですが、少なくとも大学新卒で国際関係学を生かす仕事はほとんどありません。

 

僕自身は講演や記事執筆、書籍を書中で国際関係学の知識を生かしていますが、かなりレアなタイプです。ぶっちゃけ国際関係学の知識は、国際協力や人道支援に携わる前提、もしくは教養くらいにしか捉えていません。

 

国際協力を仕事にしたいと考えている人は、こちらの記事も読んでみてください。

国際協力を仕事にしたい人は大学で何を学ぶべきか?【4つの学問を紹介】 - 原貫太の国際協力ブログ

 

さいごに

NGOを起業した立場からは、国際関係学が仕事で役立っている場面は、ほとんどありません。

 

しかし、シンクタンク職員や国際機関・政府機関の職員、さらにはNGOのアドボカシー担当であれば、国際関係学を生かせる仕事もあるはずです。

 

国際関係学を仕事で生かしたい人は、英語でも勉強したり、修士号を取ることも見据えて勉強したりと、計画を立てながら勉強に取り組んでくださいね。

 

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