原貫太の国際協力ブログ

フリーランス国際協力師原貫太のブログです。国際協力やNPO・NGO、アフリカ、社会問題などのテーマを中心に解説しています。

「従軍中は、いつ死んでもおかしくない」 ウガンダ・元子供兵が語る過去と未来(2/2)

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近隣住民との良好な関係-テラ・ルネッサンスの考える「自立」

訓練期間中に、一番幸せだったこと、お気に入りの教科を聞くと、

 

「テラ・ルネッサンスの職員たちが、訓練期間中、私たちにずっと愛情を見せてくれていたことが、一番幸せな事でした。お気に入りの教科は、服飾デザインです。」と答えてくれた。

 

先生の言うことを何一つ聞き漏らすことなく、すべての授業で、すべての知識を獲得しようと、毎回の授業に真剣に臨んだと話す彼女。先生の話を集中して聞き続けていたことが、自分にとっては一番有意義だったそうだ。

 

反政府軍に拘束されていた元子ども兵は、帰還後もコミュニティからの差別や偏見に苦しむことがあるが、ミシェルは、現在暮らしている地域の近隣住民とは良好な関係を築けているとのことだ。私たちが足を運んだ際、近くに住むテラ・ルネッサンスの卒業生がミシェルの家を訪問し、これまでミシェルがその卒業生からミシンを借りていたとの話を聞けたことも、印象的だった。

 

自立という言葉を辞書で引くと、「他への従属から離れて独り立ちすること」とあるが、テラ・ルネッサンスの考えている自立とは、周りから自分を切り離して、独りで立つ(独立)とは同義ではない。むしろ、周囲との関係性の中で、自らの力で自分らしく生きることだと捉えている。彼女の話は、私たちが考える「自立」が、しっかりと体現されていることを感じられるものだ。

 

お金を稼げるようになったら、まずは土地を買いたい

供与式を終えた今の彼女の心境を聞くと、

 

「供与式は本当に素晴らしい時間でした。ミシンを誰かから借りようとしていたこともありましたが、値段が高すぎて諦めていました。だからこそ、自分で収入を産み出すための道具や機械を手にしたいと、ずっと思っていました。神様に感謝しています。道具を使いこなしたいと願っています。」

 

と、恥ずかしそうに笑顔を見せながら答えてくれた。

 

何かに特化することはなく、お客さんが注文した物であれば、男性用のTシャツであっても、女性用のドレスであっても、バッグであっても、どんな物でも作ると意気込みを語るミシェル。

 

「お客さんを多く獲得するために、ビジネスを始めてすぐにでも、皆さんに気に入ってもらえるような最高の商品を作れるように努めます。お店を構えることが出来たら、お客さんにしっかり見てもらえるように、見栄え良く商品をディスプレイできるようにします。知り合いを伝って、自分の商品を宣伝できるようにします。」

 

お金を稼げるようになったら何に使いたいか?という私の質問には、

 

「町で暮らしていて最も大変なことは、家賃を支払う事です。月末になると、家賃を支払えなさそうになる時もあります。もしお金が十分に稼げるようになったら、まずは土地を買いたいです。」

 

と答えてくれた。

 

「子どもたちは、責任感のある人に育てたいです。また私が幼いころにもらえなかったもの、我慢しなければいけなかったことができるようになってほしいです。そしてしっかりと教育を受け、健康に育ってほしいです。」